『聲の形』のあらすじを完全網羅!感動のストーリーとメッセージに迫る

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『聲の形』のストーリー概要

いじめをきっかけに硝子と別れてしまった将也

(C)映画聲の形制作委員会

物語の主人公・石田将也は、小学6年生の時に聴覚障害を持つ少女・西宮硝子が転校してきたことをきっかけに、彼女をいじめるようになります。硝子は「筆談ノート」でコミュニケーションを取ろうとしますが、将也たちは彼女を受け入れることができません。やがて、硝子の補聴器が何度も壊れる事態となり、いじめの犯人として将也が疑われます。将也の母は息子を責めず、補聴器代を弁償。しかし、今度は将也自身がいじめられる立場となり、硝子も転校してしまいます。

高校生になった将也と硝子の再会

(C)映画聲の形制作委員会

中学時代も孤立していた将也は、高校3年生になった今も自分を責め続け、人間不信に陥っています。ある日、将也は自殺を図りますが思いとどまり、硝子の通う手話サークルを訪れ彼女と再会。「友達になってほしい」と伝えますが、硝子の妹に阻まれてしまいます。

将也の成長と仲間との絆

(C)映画聲の形制作委員会

その後、将也は高校の同級生たちと次第に打ち解けていきます。小学校時代に硝子と親しかった佐原や、いじめに加担していた植野とも再び交流を持つようになります。みんなで遊園地に遊びに行った帰り、将也は硝子の自殺未遂を止めようとして川に落ち、意識不明の重体に。硝子は将也への思いを胸に、仲間たちとも和解します。
回復した将也は、「君に生きるのを手伝ってほしい」と硝子に伝え、ようやく自分の殻を破り、涙を流すのでした。文化祭で硝子や友人たちと過ごす将也。彼の戦いはこれからも続いていくのです。

『聲の形』の登場人物とその心情

石田将也 – 過去の過ちと向き合う少年

幼い頃に聴覚障害者の西宮硝子をいじめていた過去を持つ将也。罪悪感から自らを責め続け、人間不信に陥っています。高校生になり、偶然硝子と再会したことで彼女への贖罪を試みますが、一朝一夕にはいきません。しかし、次第に新しい友人関係の中で心を開いていき、硝子や仲間たちとの絆を取り戻していくのです。

西宮硝子 – 孤独と闘う聴覚障害者の少女

将也にいじめられた過去を持つ硝子ですが、聴覚障害を負いながらも前向きに生きています。一方で、他者とのコミュニケーションの難しさから孤独を感じることも。再会した将也との関係修復は容易ではありませんが、彼の成長と共に心を通わせ合えるようになっていきます。

その他の登場人物たちの心の変化

硝子の妹・結絃は、姉を守ろうと一途に将也を拒絶。将也の幼馴染で寛容な永束は、彼を支える良き理解者となります。
かつて硝子をいじめていた植野は、過去の過ちと向き合い必死に償おうとする姿を見せます。硝子の小学生時代の友人・佐原は、将也と硝子の仲を取り持とうと奔走します。
それぞれが後悔と反省、優しさと希望の感情を抱えながら、互いに成長し、心の距離を縮めていくのです。

『聲の形』の見どころと注目ポイント

繊細に描かれる登場人物たちの心情変化

本作の最大の魅力は、登場人物一人一人の心理描写の細やかさと深さにあります。いじめの加害者であった将也の苦悩と贖罪の思い、被害者の硝子の孤独と再起への願いなど、複雑に入り組んだ感情の機微が絶妙に表現されています。みずみずしい思春期の揺れ動く心が、何気ない表情の変化や仕草、目の動きなどから巧みに描き出されるのです。

聴覚障害を持つ硝子を通して描かれる”コミュニケーション”というテーマ

聴覚に障害を持つヒロイン・硝子との交流を通して、私たちは改めて“人とのコミュニケーションの難しさと大切さ”を考えさせられます。彼女の孤独な心情や、健聴者との間に立ちはだかる感覚のずれ、そして手話を通して紡がれる心と心の触れ合いが、硝子の視点から丹念に描かれているのも見どころです。

美しい作画と演出が生み出す感動の名シーン

京都アニメーションならではの美麗な作画も本作の魅力。柔らかな色彩と繊細なタッチで描かれる、登場人物たちの表情の機微。風に揺れる髪や木々、夕日に染まる空など、情景描写の数々も印象的です。
共感を呼ぶストーリーと相まって、ラストシーンに至るまで何度も感動的な名場面が描かれます。

将也の叫びのシーンと恭子の手話

作品のクライマックスともいえる、川で意識を失った将也が目覚め、硝子の前で感情を爆発させるシーン。「俺は何もできねぇ…」と叫び、すすり泣く将也の涙は、彼の長い贖罪の旅の終着点を示しています。
また、母親の恭子が息子に宛てて「あなたを守る。信じてる。大好き」と手話で語りかけるシーンも感動的です。
無限の優しさと共感力を感じさせてくれる、忘れられない名シーンの数々。繰り返し味わいたい、『聲の形』ならではの見どころです。

『聲の形』が伝えたかったメッセージ

“手話”を通して描かれる心と心の通い合い

本作が最も描きたかったテーマの一つが、”言葉を越えた心と心のコミュニケーション”の大切さではないでしょうか。聴覚障害者の硝子にとって、手話は彼女の心情を表現する大切な手段です。将也や仲間たちが手話を学び、硝子との対話を重ねる中で、お互いの思いが通じ合っていく様が丁寧に描かれています。言葉だけがコミュニケーションではない。ジェスチャーや表情、そして何より真摯に相手と向き合う心。『聲の形』が伝えたかったのは、そうした”心の触れ合い”の尊さなのかもしれません。

過去と向き合い、仲間と共に成長していく物語

将也の物語は、過去の過ちと真摯に向き合い、贖罪の道を歩む”再生”の物語でもあります。彼が硝子への償いを通して、失っていた人との繋がりを少しずつ取り戻していく姿は、私たち観る者の胸を打ちます。
また、彼の再生は、友人たちの支えがあってこそ成し遂げられたもの。一人では乗り越えられない困難も、仲間と共に歩めば道は開ける。『聲の形』が描くのは、一人の少年の再生であると同時に、彼を取り巻く仲間たちの成長の物語なのです。

『聲の形』の結末が持つ意味

クライマックスで将也が硝子に「これからは一緒に生きていこう」と約束するシーンは感動的ですが、映画のラストで二人の将来が具体的に示されるわけではありません。そこには、「これから二人の新しい物語が始まる」というメッセージが込められているのでしょう。
過去と決別し、未来へ歩み出す二人の前途に待ち受けるのは、きっと新たな困難や摩擦の連続です。けれども、お互いを思いやる心を胸に、彼らはその荒波を乗り越えていくはず。『聲の形』の結末が示唆するのは、そんな二人の「これから」への希望なのかもしれません。
個人では踏み出せない一歩も、支え合う仲間がいれば、新たな地平を切り拓いていける。この作品が伝えたかったのは、そんな「絆の力」と「前を向いて生きることの尊さ」なのではないでしょうか。

映画『聲の形』の制作背景と受賞歴

京都アニメーション制作による話題作

映画『聲の形』は、京都アニメーションの山田尚子監督が手掛けたオリジナル長編アニメーション作品です。山田監督は以前から大今良時の同名原作マンガに惹かれており、自ら映画化を強く希望していたそうです。制作にあたっては、聴覚障害者への取材や手話の表現方法の徹底したリサーチなど、入念な準備が行われました。作品への並々ならぬ思い入れと熱意が、映画のクオリティに反映されているのが窺えます。

アヌシー国際アニメーション映画祭など数々の映画賞にノミネート


『聲の形』は2016年9月に公開されるや、その繊細な心理描写と美しい映像表現が高く評価されました。第40回日本アカデミー賞では優秀アニメーション作品賞を受賞。また、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門にもノミネートされるなど、国内外の映画賞でも数々の栄誉に輝きました。

原作者・大今良時の思いが込められた作品

原作者の大今良時もまた、この映画の完成度の高さを絶賛しています。山田監督をはじめとするスタッフの熱意と技量によって、「原作を超える素晴らしい作品になった」と語っています。
作者の思いをしっかりと受け継ぎながら、アニメーション表現ならではの新たな魅力を付け加えた、京都アニメーションの手による渾身の一作。その誕生の裏には、数多くの才能の結集と創意工夫の日々があったのです。