鶴の恩返し|感動的な日本昔話の心温まるあらすじを完全網羅!

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目次

鶴の恩返しとはどんな物語?日本の代表的な昔話を知ろう

鶴の恩返しは動物報恩譚の一つ。鶴が人間の姿で恩を返す感動秘話

鶴の恩返しは、日本の昔話の中でも特に有名な物語の一つです。動物報恩譚と呼ばれるジャンルに分類され、困っていた動物を助けた人間に対し、動物が人間の姿に変身して恩返しをするという感動的な内容が特徴です。
鶴の恩返しでは、老夫婦に助けられた一羽の鶴が、美しい娘の姿で現れ、恩返しとして老夫婦の世話をします。鶴が一心不乱に機を織る姿や、正体を明かして去っていくラストシーンは、読む人の心を揺さぶる名場面として知られています。

日本全国に類似する話が伝わる。唐代の「鶴氅裘」が原型との説も

鶴の恩返しと似たような話は、日本各地で様々なバリエーションで語り継がれてきました。登場する動物や恩返しの方法など、細部は地域によって異なりますが、動物と人間の絆を描いた温かい物語という共通点があります。
また、鶴の恩返しの原型は中国唐代の説話集に収録されている「鶴氅裘(かくしょうきゅう)」だという説もあります。遡れば古代中国から伝わった物語が、日本の風土に合わせてアレンジされ、独自の発展を遂げたのかもしれません。

鶴の恩返しのあらすじ:老夫婦の善行が美しい鶴娘を家に招く

ある冬の日、老爺が罠にかかった一羽の鶴を助ける

ある寒い冬の日のこと、老爺が山から薪を取ってくる途中、猟師の罠にかかって苦しんでいる一羽の鶴を見つけました。老爺は鶴を哀れに思い、そっと罠から救い出します。鶴は老爺に感謝の眼差しを向けると、飛び立っていきました。

美しい娘が訪れ、雪の降る中宿を借りる。老夫婦は喜んで迎え入れる

数日後、深々と雪が降り積もる夜、老夫婦の家を一人の美しい娘が訪ねてきました。娘は道に迷ってしまったと言います。心優しい老夫婦は、娘を家に招き入れ、温かい夕食をふるまいました。
娘は礼儀正しく控えめで、老夫婦の親切に心から感謝します。娘は吹雪で家に帰れず、しばらくの間居候させてほしいと申し出ました。老夫婦は喜んで承諾します。

娘は甲斐甲斐しく世話をし、老夫婦の娘になることを申し出る

娘は老夫婦の家で忍耐強く暮らし、料理や掃除、裁縫などを手伝いました。老夫婦を親のように慕い、甲斐甲斐しく世話をする娘の姿に、夫婦は深く心を動かされます。
やがて娘は、老夫婦に「どうか私をあなた方の娘にしてください」と申し出ます。我が子のいなかった老夫婦は、娘の申し出を涙を流して喜び、娘を養女として迎え入れました。

鶴娘の機織りと約束の意味:正体を隠した恩返しの行方は

娘は部屋にこもり、見事な布を織る。売れた布で老夫婦は裕福に

ある日、娘は老夫婦に「素晴らしい布を織りたいので、誰にも部屋を覗かないでほしい」と約束を取り付けます。そして、三日三晩、部屋で機を織り続けました。
娘が織り上げた布は絹のように美しく、市場で高値で売れました。娘は布を織っては売るということを繰り返し、老夫婦を豊かにしていきます。

夫婦は約束を破り、織っている最中の娘の姿を覗いてしまう

しかし、物語はここで急展開を迎えます。娘が三度目の機織りに精を出している最中、老婆が我慢できずに約束を破り、部屋の中を覗いてしまったのです。
するとそこには、娘の姿はなく、一羽の鶴が自分の羽を引き抜いては機に織り込んでいる姿があったのです。鶴は羽を使い尽くし、ほとんど丸裸になっていました。

鶴が羽を抜いて布を織っていた。正体を知られ、娘は去らねばならぬと言い残す

老婆の悲鳴に驚き、老爺も部屋に駆けつけます。二人は愕然とします。鶴だった娘は、正体を見られたことを悟ると、悲しげに「私は、あの日老爺様に助けていただいた鶴でした。恩返しのつもりが、結局最後までお世話になってしまいました」と打ち明けます。
そして、「でも、もう正体を知られてしまったので、ここにいることはできません。今までありがとうございました」と言い残し、鶴は飛び立っていってしまいました。

鶴の恩返しが伝える教訓:見るなのタブーと恩を忘れぬ心

助けられた鶴は恩返しに、人間の姿で老夫婦に尽くす。恩を忘れぬ心を描く

鶴の恩返しは、恩義に厚い鶴の心を美しく描いた物語です。わずかな善意で助けてくれた老爺への恩を忘れず、人間の姿になって仕えます。自らの羽を使い尽くすまで布を織り、老夫婦を豊かにする姿は、恩返しの心の深さを表しています。
私たちもまた、受けた恩を忘れず、何かの形で恩返しをする。そうした恩義を大切にする心を持つことが、人として大切なことだと教えてくれます。

禁を破った者に不幸が訪れるという、古今東西の「見るなのタブー」の物語

一方で、鶴の恩返しは「見るなのタブー」を題材にした物語でもあります。鶴娘が唯一付けた約束である「部屋を覗かない」という禁を破ったために、娘は姿を消さなければならなくなりました。
禁断の扉を開けてはいけない、知ってはならない真実を覗いてはならない。そんな禁を犯した者に不幸が訪れるという教訓は、イブの楽園追放やパンドラの箱など、世界中の古い物語に共通するモチーフです。

傷ついた鶴を哀れに思う老夫婦の優しさ。恩に報いる鶴の誠実さ

しかしその一方で、鶴の恩返しが私たちの心を打つのは、登場人物たちの美しい心があるからこそです。
傷ついた鶴を見捨てずに助けた老爺の優しさ。恩人の娘として誠実に仕えた鶴娘の真心。そんな登場人物たちの心の美しさに、私たちは共感し、感動を覚えるのです。

鶴の恩返しのその後:昔話が現代に伝えるメッセージ

鶴は二度と戻らず。別れを惜しむ老夫婦との絆の深さを物語る

物語の結末で、鶴は永遠に老夫婦の元を去ってしまいました。しかし、鶴と過ごした日々は、老夫婦にとってかけがえのない宝物となったはずです。
わずかな時間しか共に過ごせなかったけれど、共に過ごした日々は、お互いの心の中で輝き続けている。鶴の恩返しは、一瞬の優しさが生む、心の絆の深さを私たちに教えてくれる物語なのかもしれません。

1960年代、学研映画でアニメ化。子供たちに愛され続ける不朽の名作

鶴の恩返しは、1960年代に学研映画から人形アニメーション映画として公開されました。美しい色彩と叙情的な語り口が相まった本作は、公開から半世紀以上経った現在でも色あせない魅力を放っています。
昔話の映像化を通して、鶴の恩返しの物語は新しい世代の子供たちへと受け継がれています。

人間と動物の絆、恩返しの心。現代に通じる感動の昔話、鶴の恩返し

鶴の恩返しが語り継がれているのは、そこに描かれた教訓が普遍的な価値を持っているからでしょう。恩を忘れない心、小さな優しさが運命を変える奇跡。
現代を生きる私たちの心もまた、鶴の恩返しの物語に触れることで、きっと豊かになることができるはずです。