衝撃のあらすじネタバレ!映画『クロース』涙の結末に隠された真実

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若き親友レオとレミの絆を描いた衝撃作『クロース』

(C)メヌエット(C)ディアファナ・フィルムズ(C)トプカピ・フィルムズ(C)ヴァーサス・プロダクション

『クロース』は、13歳の少年レオとレミの特別な友情と、その絆が悲劇的な出来事によって引き裂かれる様を描いた、ベルギー映画界の鬼才ルーカス・ドンの監督作品です。第75回カンヌ国際映画祭で最高賞に次ぐグランプリを受賞し、国際的に高い評価を得ています。
本作は、親密な関係を結ぶ2人の少年の淡い日々と、周囲の反応によって揺れ動く心情を丹念に描写。何気ない日常が一変し、残酷な現実に直面する少年の姿を通して、友情の本質や人間の成長という普遍的なテーマに迫ります。ルーカス・ドン監督独特の詩的かつ写実的な映像美と、主演2人の名演が光る秀作です。
予備知識なしに観ると衝撃を受けること必至の作品ですが、本記事ではネタバレを恐れずにあらすじや見どころを解説。ラストに隠された真意や監督のメッセージにも考察を加え、作品の魅力を余すところなく紹介します。

13歳の少年レオとレミの特別な友情


物語の主人公は、13歳の少年レオとその親友レミ。2人は幼馴染で、小さな町で隣り合って暮らしています。
内気で大人しいレオと、活発で感受性豊かなレミは、一見正反対のタイプですが、互いを理解し合う固い絆で結ばれた親友同士。家族環境もレオが裕福な家庭で、レミは母子家庭と対照的ですが、そんな違いも2人の仲を妨げません。
学校でも家でも、いつも一緒に時間を過ごすレオとレミ。周囲の大人たちが、2人の関係の特別さを羨望のまなざしで見守るほど、幼い頃からの絆は深く強いものでした。

無邪気な日々を過ごす2人の日常シーン

作品の序盤は、レオとレミが無邪気に戯れる日常の風景から始まります。
レオの部屋で宿題をしたり、レミの家でゲームに興じたり。森を駆け回り、草原で寝転がってふざけ合う2人の姿からは、友情の温かさがひしひしと伝わってきます。
時折見せる無言のアイコンタクト。分かり合っているからこその居心地の良い沈黙。ふとした瞬間に交わされる、気心の知れた親友だからこその何気ない身体的接触。スクリーンいっぱいに溢れる2人の笑顔と無邪気な笑い声。
ルーカス・ドン監督の繊細な演出と、自然体の演技が絶妙にマッチした、のどかで心温まるシーンの連続です。きっとこの時間が永遠に続くと信じて疑わない、13歳の少年たちの揺るぎない絆。しかしその平和な日々もやがて、残酷な現実に直面することになるのです。

夏の終わりが2人の運命を変える

(C)メヌエット(C)ディアファナ・フィルムズ(C)トプカピ・フィルムズ(C)ヴァーサス・プロダクション

夏休みが終わり、レオとレミが新学期を迎えます。中学生になった2人を待っていたのは、これまでとは違う周囲の反応でした。
いつも通り仲睦まじく過ごすレオとレミでしたが、周りの生徒や先生たちは、以前にも増して2人の関係に注目し始めます。好奇の目、疑いの目、時に嫌悪の目。大人たちからも、気を付けるようにと釘を刺されます。
特にレオは、「レミとはもう一緒に遊ぶな」「男同士でベタベタするのはおかしい」など、周りからの心ない言葉に傷つきます。大切な友人との関係を、なぜ周りが否定するのか。戸惑いを隠せないレオに対し、レミは平然と接し続けます。
しかし、無邪気だったはずの2人の日常は、次第にすれ違いの色に染まっていきます。

周囲から注目される2人の親密な関係

夏休み明けの登校初日、いつものようにレオの家に遊びに行くレミ。しかしレオの母親は、以前とは違う反応を見せます。
「レオにはもっと他の友達を作ってほしい」「2人でいつも一緒にいるのはよくない」。
レオ母の言葉は優しいながらも、これまで歓迎されていたレミの存在を拒絶するようでした。
学校でも、親しげに話すレオとレミを、クラスメイトたちが興味津々に眺めています。「レオとレミって、ちょっと変じゃない?」「気持ち悪いよね、男同士であんなに仲良しなんて」。生徒たちのこそこそ話は、次第にエスカレート。からかいや嫌がらせに発展していきます。
担任の先生も、2人の関係を問題視。「思春期の男の子が、あんなに親密なのはどうかと思う」と口にします。周りの反応に戸惑うレオに対し、おおらかに構えるレミ。2人の温度差は、このころから生まれ始めていたのです。

レオに影響を与える侮辱的な言葉

周囲からのプレッシャーは、次第にレオの心を蝕んでいきます。「レミと一緒にいると、お前もオカマになるぞ」。男子生徒から投げかけられた言葉に、レオは言葉を失います。
当時は「ゲイ」という言葉の意味も知らなかったレオ。しかしその言葉の響きの不気味さに、言いようのない恐怖を覚えます。
学校の廊下で、SNSで。噂は瞬く間に広がり、「レオとレミはゲイ」というレッテルは、2人に強く貼られていきました。
無邪気に親友と戯れ合うことが、なぜこれほどまでに否定されるのか。レオの幼い心には、その理不尽さが到底理解できません。一方のレミは、相変わらず無頓着な様子。むしろ周りの反応を煽るかのように、レオにスキンシップを取ろうとします。
こうしてレオの内面に芽生えた疑念は、やがて行動にも表れ始めるのです。

友情に亀裂が入るきっかけとなる出来事

ある日の放課後、レオはレミを避けるようになります。「今日は用事があるから」と言って一人で帰宅したり、レミを家に入れないようにしたり。今までになかった、レオからの拒絶にレミは困惑します。
そんなある日、授業中にレミがレオの手をつないだことから、大きな騒動になります。レオはパニックになってレミの手を振り払い、「触るな!気持ち悪い!」と叫んでしまいます。
レオの予想外の反応に、レミは唖然。しかしすぐに、「僕はレオが大好きなんだ」と真っ直ぐに言い放ちます。その瞬間、教室はシーンと静まり返りました。
レオは羞恥心と罪悪感から逃れるように、教室を飛び出します。残されたレミは、ただ一人、呆然と立ち尽くすのみ。この出来事は、2人の関係を決定的に変えてしまうものでした。
こうして、周囲の視線と言葉に耐えかねたレオは、大切な親友を突き放すという選択をします。純粋な友情は、思春期特有の残酷さの前に、音を立てて崩れ去っていったのです。

『クロース』衝撃の展開!友情の終焉をもたらした悲劇

教室での出来事から、レオはレミと一切口をきかなくなります。休み時間も別行動を取り、レミが話しかけても頑なに無視を続けます。
当然、誰よりもショックを受けていたのはレミでした。一方的に絆を切られ、なぜ親友に避けられるのか全く理解できません。何度もレオに歩み寄ろうとしますが、その度に冷たくあしらわれ続けます。
レミは、次第に学校にも来なくなります。心配したレオは、久しぶりにレミの家を訪ねますが、もはや以前のような親密な会話を交わすこともできません。
結局、真意を告げられないまま、2人の関係は破綻へと向かうのです。

レミから距離を置こうとするレオの苦悩

かつての親友を突き放しながらも、レオの心の奥底では強い罪悪感がくすぶり続けていました。本当は、レミとの友情を失いたくない。でも、このままではいけないという思いから、距離を置こうともがき苦しみます。
「どうしてレミと仲良くしちゃいけないの?」。素朴な疑問を、家族にも先生にもぶつけてみます。しかし返ってくるのは、「男同士であんなに親密になるのはよくない」という、レオの心を全く満たさない大人の常套句ばかり。
学校では「レオがレミを避けている」と噂になり、陰口を叩かれる日々。そんな中、孤立していくレミを見て、レオは言いようのない痛みを感じずにはいられません。
このままでは、レミを傷つけてしまう。でも、どうすればいいのかわからない。思春期真っただ中の繊細な心を、誰にも理解してもらえない。追い詰められたレオは、ついに衝動的な行動に出ます。

レオが取った悲劇的な行動とその理由

心に傷を負ったまま、レオはある日、衝撃的な行動に走ります。
放課後、レミを呼び出したレオは、「もう二度と話しかけないでくれ」と言い放ちました。信じられない言葉に、レミは絶句します。
「君と友達でいると、僕はおかしいやつだと思われる。だからもう無理なんだ」。レオは必死に理由を語ります。しかしレミには、その言葉の真意が到底理解できません。
「僕たちは何も悪いことはしていない。ただ友達でいただけなのに、なんでそれが許されないの?」。拳を震わせて問い詰めるレミに、レオは黙って背を向けます。
「僕には、君の気持ちはわからない」。そう言い残して、レオはその場を去りました。こうしてレオは、かけがえのない親友との絆を、自ら絶ち切ったのです。
次の日からレミは、学校に姿を見せなくなりました。

親友を失ったレオの心情と後悔

レミを突き放した後、レオは深い喪失感にさいなまれます。一緒に笑い、語り合った日々。かけがえのない思い出の全てが、もう二度と戻らないことを思い知らされるのです。
教室のレミの席は空席のまま。放課後に一人で帰る道は、かつて2人で歩いた道とは似ても似つかない殺風景さ。大切な存在を失ったことで、レオの日常は色を失っていきます。
「どうしてレミにあんなことを言ってしまったんだろう」。後悔の念は募る一方です。自分の言動の意味を問い直し、レミの言葉を反芻するたび、胸が張り裂けそうになります。
きっとレミは、自分を恨んでいるに違いない。絶交を言い渡した日のレミの表情が、脳裏から離れません。こんなことなら、周りの目なんて気にせず、レミとの友情を守るべきだった。
そう思い悩む中、レオはレミに謝罪の言葉を伝えようと決心します。しかし、そのチャンスは永遠に訪れることはありませんでした。

映画『クロース』ネタバレ!涙の結末に隠されたメッセージ

物語はここで、10年後のレオの姿を映し出します。成人したレオは、レミとの思い出が詰まったかつての町を訪れていました。
「レミ、君に伝えたいことがあるんだ」。森に佇み、独り言ちる姿からは、言葉にできない後悔の念が滲み出ています。かつてレミと駆け回った場所で、レオはある真実を打ち明けます。
あの日、レミの家に謝罪に行った時、レオは信じがたい事実を知らされたのです。

ショッキングな結末のシーンを詳しく解説

「レミが…自殺した」。レミの母の言葉に、レオの頭は真っ白になりました。信じられない、受け入れられない現実。
「君が絶交を告げた次の日に、レミは命を絶ったの」。母の泣き崩れる姿が、レオの脳裏に焼き付きます。
直後、走馬灯のようにレミとの思い出がよみがえります。一緒に笑い、遊び、 時に言い合いもした日々。かけがえのない親友を、自分の行動で絶望に追い込んでしまった。その事実を前に、レオはただ泣き叫ぶしかありませんでした。
あれから10年。永遠に戻らないあの日から、レオの心には消えることのない傷が刻まれています。

ラストシーンから読み解く監督の意図

ラストシーンで、レオはレミへの手紙を読み上げます。「君を失ってから、僕は生きることの意味を見失ってしまった」「あの時、君の気持ちをもっと理解していれば…」。感情を抑えきれず、言葉を詰まらせるレオ。
監督は、このシーンで「心の探求」というテーマを私たちに突きつけているのではないでしょうか。他者の心の叫びに寄り添うことの難しさ、そして寄り添えなかった時に生まれる喪失感の大きさ。
10年経った今なお、レミを想い続けるレオの姿は、かけがえのない存在を失った人の普遍的な心情を表しているようにも感じられます。
そしてラストカット。レオがレミへの手紙を風に託し、懐かしい面影を残す森を後にする姿で幕を閉じます。監督はこの結末で、「過去は変えられないが、これからは前を向いて生きていく」というメッセージを伝えたかったのかもしれません。

『クロース』が伝える友情と成長の物語

『クロース』は、ある意味で残酷な青春映画と言えるかもしれません。無邪気だった2人の少年が、周囲の偏見と感情の荒波に飲み込まれ、かけがえのない絆を失ってしまう物語。
しかし同時に、人は過ちから学び、それを糧として成長していく存在であることも、この作品は示唆しています。
レオは親友を失った痛みを一生背負っていきます。しかし、その傷が彼を優しく強い人間に変えていくのかもしれません。他者の心の痛みに寄り添える大人に。
この作品を通して、友情の尊さ、他者への共感の大切さ、そして生きていく上での教訓を学ぶことができるはずです。
10年前のあの日に戻れるなら。きっと、多くの人がレオに同じことを願うことでしょう。しかしラストシーンのレオの清々しい表情は、辛い過去も受け入れ、前を向いて生きる決意を感じさせます。
『クロース』は過酷な運命に翻弄されながらも、それでも前へ進もうとする人間の姿を描いた感動作。悲しみを乗り越えて成長するレオの姿に、多くの人が勇気をもらえるに違いありません。