『永い言い訳』のあらすじを簡潔に解説!見どころやキャラクターの心情にも迫る

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『永い言い訳』とは? 作品の基本情報

『永い言い訳』は、西川美和による2015年に発表された長編小説です。突然家族を亡くした人々がいかに人生を修復するかを通じて、人間関係の幸福とその不確実さを描いた作品で、2016年には西川自身の脚本・監督で映画化もされました。

作者の西川美和は、『ゆれる』『ディア・ドクター』などの作品で知られる小説家・映画監督です。繊細な心理描写と日常に潜む悲哀を描くことに定評があります。

『永い言い訳』のあらすじ|ネタバレなしで全体像を解説

『永い言い訳』は、妻を亡くした二人の男性が、悲しみと喪失感に向き合いながら新たな人生を模索する物語です。ここでは、ストーリーの核心に触れずに、全体の流れを追ってみましょう。

妻を亡くした夫・衣笠幸夫のその後

物語の主人公は、人気作家の衣笠幸夫。ある日、妻の夏子がスキー旅行に出かけている最中に、夏子が乗ったバスが転落事故に遭います。事故で夏子は亡くなってしまいました。幸夫は派手な葬儀を開きますが、悲しみを感じることができずにいました。

同じく妻を失った大宮陽一との出会い

葬儀の後、事故の遺族説明会で、幸夫はトラック運転手の大宮陽一と出会います。陽一も妻のゆきを事故で亡くしていました。二人は、互いに妻を失った喪失感を共有し、親交を深めていきます。

大宮家との関わりと幸夫の変化

陽一の息子・真平と娘・灯の面倒を見始めた幸夫は、次第に彼らに情が移っていきます。失意の中にあった幸夫は、子供たちとの触れ合いを通じて、少しずつ変化していくのでした。

再び訪れた悲劇と物語のラスト

しかし、幸夫と大宮家の絆も、永遠ではありませんでした。ある出来事をきっかけに、幸夫は大宮家から離れていきます。最後に幸夫が下した決断とは?そして、それぞれの登場人物の人生の行方は?ラストに待つ衝撃の展開にご注目ください。

登場人物の心情に迫る!『永い言い訳』の見どころ

『永い言い訳』の大きな魅力は、登場人物たちの揺れ動く心情を丁寧に描写している点にあります。ここでは、主要な登場人物の心の機微に迫ってみましょう。

衣笠幸夫 – 妻への後悔と自己変革

幸夫は妻の夏子を失ったことで、彼女への愛情の深さと、彼女を十分に大切にしてこなかった後悔に苛まれます。夏子への思いを綴った新作を執筆するなど、創作を通して妻への思いを昇華していく幸夫の姿が印象的です。

大宮陽一 – 悲しみからの再出発

事故で妻のゆきを亡くし、吃音症に悩まされる陽一。彼もまた、無念さと喪失感に苛まれています。幸夫との交流を通じ、陽一は妻への思いを語り、新たな人生への一歩を踏み出そうとします。

真平と灯 – 父親を見つめる子どもたち

母親を亡くし、父・陽一に反発しながらも、必死に前を向こうとする真平と灯。二人もまた、それぞれに悲しみと向き合っています。幸夫との触れ合いを通して、真平と灯の心にも変化が訪れます。

映画『永い言い訳』の原作小説との違い

(C)アスミック・エース株式会社

西川美和自身が脚色・監督を務めた映画版『永い言い訳』は、小説の核心を押さえつつ、映像ならではの表現を取り入れた秀作です。本木雅弘演じる幸夫、竹原ピストル演じる陽一など、俳優陣の熱演も見どころです。

原作小説では、陽一の心情描写により多くのページが割かれていましたが、映画では幸夫の心情や背景をより掘り下げて描いています。また、ラストシーンなど、一部オリジナルの展開も盛り込まれています。

『永い言い訳』の名シーンとセリフ

小説、映画ともに秀逸なシーンが数多く登場する『永い言い訳』。中でも、心に残る名シーンとセリフをピックアップしてみましょう。

「自分を大事に思ってくれる人を簡単に手放しちゃいけない」

幸夫が真平に語る、妻を失った後で得た教訓。真平への助言でありながら、幸夫自身の妻・夏子への後悔の念も滲ませた重要なセリフです。

美容院での髪を切るシーン

物語終盤、妻の形見の美容院を訪れた幸夫が、伸びに伸びた髪をバッサリと切る印象的なシーン。新しい自分への決意表明のようでもあり、妻への区切りをつける象徴的な行為と言えます。

まとめ:『永い言い訳』の魅力と感想

『永い言い訳』は、家族を失った喪失感、残された者の苦悩と再生を丁寧に描いた感動作です。登場人物たちが織りなす人間ドラマは、私たち読者の心に深く訴えかけてきます。

悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとする人々の姿に、読者もまた勇気をもらえるでしょう。西川美和ならではの美しい文章も、本作の大きな魅力の一つです。ぜひ、小説と映画、両方の『永い言い訳』をお楽しみください。