「エヴァンゲリオン」映画シリーズを時系列順に徹底解説!旧劇場版と新劇場版の違いも

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エヴァンゲリオンの映画シリーズとは?

人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」をベースにした映画作品群

「エヴァンゲリオン」は、1995年から1996年にかけてTV放映され、社会現象にまで発展した大ヒットアニメーション作品です。鬱屈した青春群像劇とSF設定が融合した独特の世界観と、セリフの端々に散りばめられた聖書や心理学の要素を随所に感じさせる作風で、放映当時は深夜アニメにも関わらず平均視聴率は10%を超え、若者を中心に圧倒的な人気を博しました。

このTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を原作とし、新たなシーンを追加したり、TVでは描ききれなかった設定や人物背景をより掘り下げて制作されたのが、「エヴァンゲリオン」の映画シリーズです。1997年に公開された旧劇場版を皮切りに、2007年からは新劇場版として”リビルド”(再構築)をテーマに、ストーリーの大幅な再構成が行われています。

本記事では、そんな「エヴァンゲリオン」映画シリーズの時系列順と、作品ごとの見どころを詳しく解説します。合わせて、旧劇場版と新劇場版の決定的な違いもご紹介。ぜひ最後までお付き合いください。

「旧劇場版」エヴァンゲリオン映画3作品の時系列順

(C)EVA制作委員会

「EVANGELION:DEATH(TRUE)2」

旧劇場版3部作の1作目にあたるのが、「EVANGELION:DEATH(TRUE)2」です。「DEATH(TRUE)2」では、TVアニメ版の第1話から第24話までのストーリーを再構成。TVでは描かれなかった設定やセリフ、場面なども新たに追加されています。

「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」

旧劇場版の2作目「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」は、前作「EVANGELION:DEATH(TRUE)2」と同じくTVアニメのダイジェスト編ですが、TVアニメの第1話から第19話までに絞った再構成になっています。また、第1話冒頭の「最初の使徒襲来」回想シーンが新規カットとして追加され、第2使徒リリス初登場や使徒の目的などが明かされるなど、TVとは違った驚きの展開が盛り込まれているのも見どころです。

「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」

旧劇場版の完結編である「Air/まごころを、君に」は、TVアニメの第弐拾四話(最終話の1つ前)とラストを飾る第弐拾伍話「Take care of yourself.」(最終話)の徹底的なリメイク版です。TVでは表現しきれなかったキャラクターの心情や葛藤、そして物語のラストに待ち受ける衝撃の結末が、圧倒的な映像美とともに描かれます。

TV版を観ていなくても、この「Air/まごころを、君に」を観るだけで、エヴァンゲリオンの核心に触れることができるでしょう。TV版との違いを楽しむためにも、ぜひ旧劇場版3部作は順番に観てほしい作品です。

「新劇場版」エヴァンゲリオン映画4作品の時系列順

(C)カラー

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007年公開)

2007年公開の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は、「エヴァンゲリオン」の再構築を打ち出した新劇場版4部作の第1弾です。物語の核となる設定はそのままに、TVアニメ第1話~第6話までをベースにしながらも、随所に新解釈や変更が加えられているのが特徴。

冒頭から、かつてアニメでは決して描かれなかった「セカンドインパクト」の悲惨な様子が克明に映し出され、重厚な世界観を予感させます。そして、主人公・碇シンジが初号機に初めて乗り込むシーン、第6使徒との戦闘など、TVアニメでも屈指の名場面の数々が、現代の制作技術を存分に生かした映像クオリティで描かれ、まるで初めて観るかのような感動を覚えるはずです。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009年公開)

「破」は、TVアニメの第8話~第19話にあたる「ミサトの出張編」から「マグマダイバー編」までを映画化。前作「序」でも登場した真希波・マリ・イラストリアスの素性や目的がより掘り下げられ、物語のカギを握るキャラクターとして丁寧に描かれています。

また、TVアニメでも屈指の人気エピソードである「ミサトとリツコの学生時代編」や「マグマダイバー編」が、大幅なアレンジとともにスケールアップして再現。さらに、ラストに待ち受ける衝撃の展開は、旧劇場版とはまた違った意味で観る者の心を揺さぶります。次作「Q」への期待が高まる、まさに物語の転換点とも言える重要な作品です。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012年公開)

新劇場版の第3作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」は、14年後の世界が舞台。前作「破」のラストで第3の少年と呼ばれた渚カヲルくんとの邂逅から始まる、シンジの苦悩と葛藤の物語です。

「破」で決定的な変更が加えられた世界観設定が、「Q」ではさらに拡張。使徒とエヴァの関係性や、ゼーレと人類補完計画の真相が次々と明かされていきます。そんな衝撃の展開に翻弄されながらも、シンジは自らに課せられた使命と、大切な人を守るために戦う意志を見出していく…。

TVアニメとは一線を画す、文字通り”新生”エヴァンゲリオンの決定版と言える作品です。次作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」への伏線も数多く散りばめられており、単独で観ても十分に楽しめる内容ですが、ぜひ過去作もセットで観てほしい1本です。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版????」(2021年公開)

シリーズ完結編となる「シン・エヴァンゲリオン劇場版????」は、2021年3月8日に公開されました。前3作を凌ぐ約2時間31分の大ボリュームで、エヴァンゲリオンシリーズの全てが集約されています。

「Q」から8年後の第3新東京市が舞台。ネルフは解体され、シンジたちは新組織「WILLE」に所属しています。そこに突如としてカヲルくんが現れ、再びエヴァに乗ることを決意したシンジでしたが…。

旧劇場版はおろか、これまでの新劇場版とも全く違う展開で描かれるエンディングは、賛否両論を巻き起こすほどの衝撃的な内容。エヴァンゲリオンシリーズを長年愛してきたファンにとっては、複雑な心境になること間違いなしのクライマックスです。新解釈が加えられたキャラクターたちの関係性にも注目です。

旧劇場版と新劇場版の違いを解説

ここまで、旧劇場版と新劇場版それぞれの作品を時系列順に解説してきましたが、ここで改めて両者の決定的な違いを整理しましょう。

ストーリーが全く別物

繰り返しになりますが、旧劇場版は「新世紀エヴァンゲリオン」TVアニメ版の補完であり、TVでは表現しきれなかった部分を映画化したものです。一方の新劇場版は、TVアニメと旧劇場版の世界観を基にしながらも、ストーリーをゼロから再構築しています。つまり、新劇場版はTV版や旧劇場版の “続編”ではなく、独立した異なる物語として制作されているのです。

登場人物の設定変更

新劇場版では、旧劇場版から引き継がれたキャラクターに加えて、新たなキャラクターが登場するのも大きな違いです。例えば、ヒロインの1人であるアスカのフルネームが、旧劇場版の「惣流・アスカ・ラングレー」から新劇場版では「式波・アスカ・ラングレー」に改められました。また、旧劇場版には登場しない真希波・マリ・イラストリアスという女性パイロットが、新劇場版の要所要所で重要な役割を担っています。

使徒の数・登場順が変更

新劇場版では使徒の登場順が旧劇場版から大幅に変更され、TV版にも登場しなかった新たな使徒も出てきます。また、使徒の目的や、エヴァとの関係性にも新解釈が加えられている点も見逃せません。こうした設定変更は、物語後半になればなるほど顕著になります。

シンジの母・ユイの正体が変更

主人公シンジの母親であり、エヴァ開発の立役者でもあるユイ。旧劇場版では、彼女の記憶がエヴァ初号機に移植されていることが示唆されていました。しかし新劇場版では、ユイとエヴァの関係性を含め、彼女の正体そのものが塗り替えられています。ユイは一体何者なのか…その真相は物語が進むにつれ少しずつ明らかになっていきます。

世界観設定の変更点

新劇場版では、海の色が赤く染まっているのも特徴的です。これは、「セカンドインパクト」と呼ばれる大惨事の影響で、海の生態系が破綻してしまったことを表しているのですが、旧劇場版にはないオリジナルの設定となっています。他にも、使徒と人類の関係性や、ネルフの真の目的など、新劇場版の核心に迫る設定の数々は、旧劇場版とは全く異なるものとなっているのです。

初心者にも分かる!「エヴァ」の独特な世界観を簡単解説

「エヴァンゲリオン」作品に共通するのが、その特異な世界観です。いきなり本編を観ても、登場人物の関係性や物語の背景が理解できず、ついていけなくなってしまう人もいるかもしれません。そこで、シリーズを通して描かれる世界の概要を、初心者にも分かりやすくおさらいしておきましょう。

人類の遠い未来を舞台にした物語

「エヴァンゲリオン」の物語は、人類が宇宙進出を果たした遥か未来の地球が舞台です。人類は科学の力で、かつて想像もできなかった高度な文明を築き上げました。一方で、天変地異や戦争など数多くの脅威にも見舞われることになります。

15年前に起きた大惨事「セカンドインパクト」

2000年9月13日、人類は未曽有の大惨事に見舞われました。それが「セカンドインパクト」です。南極で行われていた「アダムの実験」に端を発したこの事件は、南極大陸を一瞬にして溶解させ、世界中に大津波と気候変動をもたらしました。

その影響で地軸のズレが生じ、日本では永遠の夏と化します。また、セカンドインパクトは半数近くの人命を奪っただけでなく、大規模な戦争の勃発にもつながりました。エヴァンゲリオンの物語の始まりは、このセカンドインパクトから約15年後の2015年なのです。

人類の敵「使徒」の脅威

セカンドインパクトから15年後、人類はさらなる脅威に直面します。それが「使徒」と呼ばれる正体不明の巨大生命体の襲来です。

使徒は非常に高い戦闘能力と再生力を持ち、人類の通常兵器ではまったく歯が立ちません。人類は使徒との戦いに敗れ続け、絶滅の危機に瀕していたのです。使徒の目的は、人類の拠点・ネルフ本部地下に眠る「リリス」と接触し、人類を滅亡へと導くこと。その目的を阻止すべく、人類は使徒迎撃の切り札となる兵器の開発に乗り出します。

対使徒決戦兵器「エヴァンゲリオン」

人類が使徒との戦いのために開発した決戦兵器、それが「エヴァンゲリオン」です。

エヴァンゲリオンは、使徒の構成物質と同じ物質で作られた人型の巨大ロボット兵器。パイロットの思考によって動かすことができ、通常兵器では通用しない使徒に対して圧倒的な戦闘力を発揮します。

物語の主人公である碇シンジたち14歳の少年少女は、エヴァのパイロットとしてネルフに選抜され、人類の運命を懸けた戦いに身を投じていくことになるのです。

エヴァを開発する組織「NERV」

物語に欠かせない存在となっているのが、国連直属の特務機関「NERV(ネルフ)」。使徒の迎撃とエヴァンゲリオンの開発・運用を担う、人類最後の砦とも言える組織です。

主人公のシンジの父親である碇ゲンドウは、ネルフのトップに君臨し、強大な権力を持つ人物。彼の指揮の下、ネルフのスタッフたちはエヴァの調整や戦略の立案に日夜励んでいます。また、パイロットの選抜もネルフの重要な仕事の1つ。シンジたちは、ネルフのスタッフに見守られながら、エヴァのパイロットとして成長していくことになります。

物語の鍵を握る「人類補完計画」の謎

「エヴァンゲリオン」という物語を象徴するキーワードの1つに、「人類補完計画」があります。この計画の全貌は、TVアニメ版でもほとんど明かされておらず、旧劇場版でも多くの謎に包まれたまま作品は幕を閉じました。

新劇場版でその一端が明らかにされていきますが、それでもなお深い闇に包まれているのが「人類補完計画」の正体です。これは一体、誰が、何のために立案した計画なのか。人類の運命は、そしてシンジたちの行く末は…。この計画の真相は、シリーズのクライマックスに大きく関わってくるはずです。

まとめ

「エヴァンゲリオン」の魅力は、その複雑に絡み合う人間ドラマと独特の世界観設定、謎に包まれた物語の真相、そして何より感情移入できるキャラクターたちの魅力にあります。

新劇場版は、旧劇場版から大きく設定を変え、まったく新しい物語として描かれた作品。通して観れば、より「エヴァンゲリオン」の持つメッセージ性に気づかされるはずです。

とはいえ、やはり予備知識なしに新劇場版から入ると、登場人物の関係性や物語の背景が分かりにくいかもしれません。そんな方のために、まずはTVアニメ版を観て大まかな世界観をつかみ、その後に旧劇場版と新劇場版を通して観るのがおすすめです。

新劇場版では、これまでのエヴァンゲリオン作品の集大成とも呼べる衝撃の展開が待っています。ぜひ映画という枠組みで再構築された「エヴァンゲリオン」の物語を、存分に堪能してみてください。