【宮崎駿監督最新作】映画『君たちはどう生きるか』のあらすじを原作小説との比較を交えて徹底解説!主要登場人物や見どころシーンもわかりやすく紹介

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目次

映画『君たちはどう生きるか』ってどんな作品?宮崎駿監督の集大成

宮崎駿監督の長編アニメーション最新作にして引退作

『君たちはどう生きるか』は、アニメーション映画の巨匠・宮崎駿監督の最新作にして、長編映画としては10年ぶりの作品となる。本作の制作はスタジオジブリが手掛けているが、宮崎監督は本作を最後に長編アニメーションの制作から引退することを表明しており、スタジオジブリにとっても節目の作品と言える。

吉野源三郎の名作児童小説が原作 – タイトルの由来と関係性

物語の舞台は第二次世界大戦末期の日本。少年・眞人と一羽の青ザギが織りなす冒険ファンタジーが描かれる。タイトルは吉野源三郎の名作児童小説『君たちはどう生きるか』から引用されているものの、映画のストーリーは同小説の内容とは直接の関係はない。とはいえ、宮崎監督が「戦争」という重いテーマを通して平和の尊さを訴えかけ、生きることや大人への成長の意味を問うという点では、小説のメッセージ性を継承しているとも言えるだろう。

戦争の影と神秘的な世界が交錯する壮大なファンタジー

本作の音楽は、宮崎監督の長年のパートナーである久石譲が担当。主題歌は人気シンガーソングライターの米津玄師が書き下ろした「カムパネルラ」で、物語に深みを与えている。

宮崎駿監督の引退作であり、スタジオジブリの新たな時代の幕開けを告げる作品として注目を集める『君たちはどう生きるか』。反戦や命の尊さ、大人への成長といった普遍的テーマが、監督の渾身の筆致でどのように描かれるのか。その解答は、劇場のスクリーンに託されている。

映画『君たちはどう生きるか』のストーリーあらすじ

主人公・眞人の少年時代 – 母を亡くし疎開してきた寂しげな青年

(C)スタジオジブリ

物語の主人公は、戦災孤児の少年・佐々木眞人。太平洋戦争末期、眞人は母親を亡くし、父親の勝一、義母の夏子、ばあやたちとともに疎開先の屋敷で暮らしていた。心の傷を負った眞人は、周囲とうまく馴染めずにいた。

疎開先の森で出会った青ザギ – 人の言葉を話す不思議な存在との運命的な出会い

(C)スタジオジブリ

疎開先の屋敷の近くには、謎めいた塔が立っていた。好奇心旺盛な眞人はその塔へ忍び込み、そこで一羽の青ザギと出会う。驚いたことに、その青ザギは人語を話した。眞人と青ザギは言葉を交わし、次第に心を通わせていく。

嘴を負傷した青ザギを助けるため、眞人は禁断の地・別世界「下の世界」へ

(C)スタジオジブリ

ある日、眞人が放った矢が、青ザギの嘴を傷つけてしまう。傷ついた青ザギを助けるため、眞人は青ザギに導かれるまま、塔の地下にある異世界の入り口をくぐる。そこは、青ザギの故郷でもある不思議な「下の世界」だった。

「下の世界」で眞人と青ザギが出会う様々な住人たちと不思議な冒険

(C)スタジオジブリ

「下の世界」では、魚を食べることを禁じられた不思議な住人たちが暮らしていた。眞人と青ザギは、ペリカンやインコなど個性豊かな住人たちと出会いながら、神秘に満ちたこの世界を探索していく。そして、次第に「下の世界」の秘密に迫っていくのだった。

別れと再会、そして成長 – 現実世界へ戻った眞人の新たな一歩

(C)スタジオジブリ

一方、現実世界では夏子が眞人たちの行方を追い、森をさまよっていた。眞人と青ザギは、「下の世界」の創造主である大伯父と対面し、世界の運命を託されるが、眞人はこれを拒絶する。「下の世界」が崩壊し始める中、眞人たちは必死で現実世界への脱出を図る。

夏子との再会を果たした眞人。青ザギとの悲しい別れを経験しながらも、眞人は戦争が終わり平和が訪れた世界で、一人の大人として新たな一歩を踏み出すのだった。

魅力的な登場人物たち – 作品を彩るキャラクター

主人公の少年・眞人 – 戦争で母を亡くし、疎開してきた寂しげな青年

(C)スタジオジブリ

物語の主人公、佐々木眞人は、第二次世界大戦末期の空襲で母親を亡くした戦災孤児だ。疎開先の屋敷で暮らす眞人は、寡黙で心を閉ざしがちな寂しげな少年として描かれる。しかし、その一方で旺盛な好奇心を持ち、冒険心に溢れた一面も。青ザギとの出会いをきっかけに、次第に人との関わりを取り戻していく眞人の姿が印象的だ。

眞人の相棒となる青ザギ – 人の言葉を話す不思議な存在

(C)スタジオジブリ

眞人の前に現れた謎の青ザギ。人間の言葉を操るこの青ザギは、「下の世界」から来た住人であり、眞人の良き理解者にして冒険の相棒となる存在だ。妖しくも美しいビジュアルが特徴的な青ザギは、自らの宿命に翻弄されながらも、眞人との絆を何よりも大切にする姿が胸を打つ。

眞人の義母・夏子 – 優しさと強さを兼ね備えた女性

(C)スタジオジブリ

眞人の義母で、父・勝一の再婚相手でもある夏子。穏やかで優しい性格の一方、芯の強さも感じさせる女性だ。行方不明になった眞人を愛情たっぷりに気遣い、献身的に捜索する姿からは母性愛があふれている。眞人にとって、夏子は新しい母親としての存在に。

「下の世界」の住人たち – 魚を食べられない不思議な生き物たち

「下の世界」には、ペリカンやインコ、ワラワラと呼ばれる魂のような存在など、不思議な生き物たちが暮らしている。彼らに共通しているのは、魚を食べられないこと。眞人と青ザギは、時に彼らと争い、時に助け合いながら、「下の世界」の秘密に迫っていく。

この他にも個性的なキャラクターが多数登場し、物語に奥行きをもたらしている。眞人の冒険を引き立てるこれらのキャラクターたちの存在が、本作の大きな魅力の一つと言えるだろう。

原作小説「君たちはどう生きるか」との比較

吉野源三郎「君たちはどう生きるか」の概要 – 主人公コペル君の物語

本作のタイトルの由来となったのは、吉野源三郎による1937年発表の児童小説『君たちはどう生きるか』だ。原作は、主人公の少年・コペル君が、亡き父の弟である叔父から15通の手紙を受け取り、それを通して人生の意義について考えを深めていくという内容。戦前の日本を舞台に、一少年の成長物語が描かれる。

映画版の設定と原作小説の相違点 – 時代背景や主人公像の変更

ただし本作は、吉野源三郎の小説を直接映画化したものではない。原作が1930年代の日本を舞台にしているのに対し、映画の舞台は第二次世界大戦末期に変更されている。主人公・眞人は、コペル君と同じく「生きること」の意味を問う少年という共通点を持つものの、戦災孤児という設定は映画オリジナルのものだ。

「下の世界」の存在 – 原作にはない神秘的な異世界の意味するもの

原作には登場しない「下の世界」が物語の重要な舞台となっているのも、映画版の大きな特徴と言える。現実世界から切り離された神秘的な異世界の存在は、眞人の心象風景を反映していると同時に、戦禍に傷ついた少年の心の揺らぎや再生を象徴的に物語っているようにも感じられる。

普遍的テーマの共通性 – 生きることの意味を問う眞人とコペル君の成長物語

一方で、「大人になるとは何か」「平和の尊さ」といった普遍的なテーマに通底する部分は、原作と変わらない。作中では吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』が現実世界に存在する書物として登場しており、コペル君の学びと眞人の成長には確かなリンクがあるのだ。原作のメッセージは、眞人の心情描写などにさりげなく反映されている。

見どころシーン・聖地巡礼情報

圧巻の映像美が創り出す昭和初期の日本の風景 – ジブリ作品の真骨頂

本作の見どころの一つは、何といっても宮崎駿監督ならではの圧倒的な映像美だ。昭和初期の日本の情景が、まるで当時にタイムスリップしたかのようなリアリティを持って再現されている。疎開先の田舎町の佇まいや、自然豊かな森の風景は、どこか懐かしさと温かみを感じさせる。宮崎作品の真骨頂とも言える繊細で写実的な描写は、見る者を魅了してやまない。

青ザギとの出会いと別れ – 運命的な出会いが変える眞人の人生

眞人と青ザギが空を飛ぶシーンは、本作屈指の名場面だ。満天の星空の下、2人の姿が優雅に描かれる様は、息をのむような美しさがある。「生きること」への希望を抱かせるような、言葉にできない感動がこの場面にはある。ラストの別れのシーンとの対比も印象的だ。

「下の世界」での冒険 – 神秘的な異世界が映し出す眞人の内面

「下の世界」の描写も見逃せない。現実の世界とは異なる不思議な存在たちが躍動感たっぷりに描かれ、その幻想的な風景は、スクリーンから飛び出してきそうなほどだ。この「下の世界」は、眞人の心象風景とリンクしている。少年の喜びや悲しみ、孤独や希望が、ファンタジックに表現されている。

ラストシーンの感動 – 大人になった眞人が見つめる未来への眼差し

クライマックスとなるラストシーン。「下の世界」から現実世界に戻ってきた眞人と夏子の再会は、観る者の胸を打つこと間違いなしだ。戦争が終わり、大人になった眞人の凛々しい表情。傷ついた心を癒し、前を向いて歩き出す眞人の姿に、大きな感動が込み上げてくる。

スタジオジブリの世界観を体感できる聖地・舞台探訪情報

作中に登場する様々な舞台は、現実の街にモデルがあると言われている。例えば、眞人が疎開してきた田舎町のモデルは岩手県花巻市とも。作中で印象的な塔のモデルになったのは、花巻市のマルカン百貨店だという。他にも、茨城県の涸沼自然公園など、ゆかりの地は各所に点在。東京都三鷹市の井の頭恩賜公園は、ジブリ作品としてはお馴染みのスポットだ。これらの地を巡れば、ジブリワールドを体感できるかもしれない。

『君たちはどう生きるか』が伝えるメッセージ

反戦と平和の尊さ – 戦争の悲惨さと再生への願いを描く

本作が持つメッセージの中で、真っ先に挙げられるのは「反戦」と「平和の尊さ」だろう。物語冒頭の空襲シーンは、戦争のもたらす悲惨さと狂気を如実に示している。主人公・眞人の母が空襲で命を落とすエピソードからも、戦争という非日常がいかに人々の日常を引き裂いていったかが伝わってくる。こうした描写は、平和の尊さを訴えかける強いメッセージとなっている。

生と死のドラマ – 魂の旅立ちと再生を表現する不思議な世界

青ザギとの出会いを経て、眞人が導かれるのは死後の世界とも言える不思議な「下の世界」だ。そこでは、生き物たちが互いの命を慈しみ合い、決して殺し合うことのない平和な日々が営まれている。これは、現実の人間世界が失ってしまった尊い何かを示唆しているのかもしれない。「下の世界」が表現するのは、魂の旅立ちと再生のドラマ。生と死を描く宮崎作品ならではのテーマと言えるだろう。

大人になること・生きることの意味 – 眞人の成長が問いかけるもの

眞人の物語は、大人になるとは何か、生きるとは何かを問い続ける人間の普遍的なテーマを内包している。戦禍に傷ついた一人の少年が、様々な出会いと別れを通して、新しい人生を歩み始める姿は、観る者の心を揺さぶずにはおかない。眞人の成長が示唆するのは、大人になるとは自分自身の弱さと向き合い、他者を思いやる心を持つことなのだ。優しさと勇気を携え、懸命に生きる眞人の姿は、「生きること」の意味を問いかけてくる。

ジブリ作品に通底する「自然と共生」「いのちの連環」のテーマ

『君たちはどう生きるか』を貫くテーマの一つに、「絆」と「愛」の尊さがある。眞人を導く青ザギとの絆、そして眞人を見守る夏子の愛。作品全体を通して、かけがえのない何かを大切にすることの意味が示されている。同時に、生命の連環を重視する姿勢や自然との共生を説くメッセージは、ジブリ作品に一貫して流れるテーマだ。宮崎監督の眼差しは、そこに鮮やかに反映されている。

まとめ:宮崎駿監督渾身の映画『君たちはどう生きるか』

『君たちはどう生きるか』は、宮崎駿監督にとって『風立ちぬ』以来10年ぶりとなる長編アニメーション作品であり、その集大成と呼ぶにふさわしい記念碑的な作品だ。吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』からタイトルを引用しつつ、第二次世界大戦末期の日本を舞台に、戦災孤児の少年と青ザギが織りなす冒険ファンタジーが描かれる。

圧倒的な映像美と叙情性が織りなす物語は、少年の成長を軸に、生と死、戦争と平和、大人になることの意味など、重厚なテーマに真摯に向き合う。生命の尊さや他者を思いやる心の大切さを訴えかけるメッセージは、観る者の心に静かに、しかし力強く響いてくる。

声の出演には豪華キャストが集結。ヒロイン・栞の声を朝倉あきが担当するなど、新鮮な顔ぶれも注目だ。スタジオジブリ作品を長年彩ってきた久石譲の音楽、主題歌を歌う米津玄師の歌声も本作の大きな魅力となっている。