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映画「英国王のスピーチ」の基本情報
制作背景と興行収入
映画「英国王のスピーチ」は、イギリス・オーストラリア・アメリカ合衆国の合作で、2010年に公開されました。製作費は1500万ドル、世界興行収入は4億2700万ドルを記録し、大ヒット作となりました。日本でも18.2億円の興行成績を上げています。
脚本は、自身も吃音症だったデヴィッド・サイドラーが30年以上温めていた企画です。ジョージ6世との治療記録を保有していたライオネル・ローグの息子が、エリザベス王太后から記録の公表を拒まれていたためです。エリザベス王太后の死後、ローグの孫からライオネルの記録が提供され、製作が本格化しました。
受賞歴と評価
第83回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門を受賞。他にも、英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞など世界で合計63もの賞に輝きました。
批評サイトRotten Tomatoesでは95%の高い支持率を得、Metacriticでも100点満点中88点の高評価を獲得。名優コリン・ファースの演技とジョージ6世の知られざる人間ドラマが絶賛されました。感動的なストーリーと巧みな脚本、映像美も高く評価されています。
映画「英国王のスピーチ」のあらすじ
ジョージ6世の即位までの道のり
本作の主人公アルバート王子(後のジョージ6世)は、幼少期から吃音に悩まされていました。父ジョージ5世から次期国王に適さないと厳しく諭されつつも、兄エドワード8世の退位により1936年に国王に即位します。
即位に際し、ラジオ演説など国王としての重責に不安を感じたジョージ6世。一方でナチス・ドイツの台頭によりヨーロッパ情勢は緊迫。英国民を統一し鼓舞する国王が求められていました。
ライオネル・ローグとの出会い
アルバート王子は吃音治療に長年取り組むも改善せず、妻エリザベスに勧められ言語聴覚士ライオネル・ローグの下を訪れます。オーストラリア人のローグは型破りな治療法で王子に接し、独自の訓練を施します。
王子はローグの方法に反発しつつも、次第にローグを信頼するようになります。ローグもまた、王子との交流から友情と使命感を強めていきました。
第二次世界大戦開戦とジョージ6世の演説
1939年9月、英国はドイツに宣戦布告し第二次世界大戦に突入。ジョージ6世は国民に向けて開戦を伝えるラジオ演説を行うことになりました。
ライオネル・ローグとの特訓の末、ジョージ6世は9分間に及ぶ重要な演説を無事やり遂げます。国民を勇気づけ、戦争への決意を示すことに成功。英国の危機に立ち向かう力強いリーダーシップを発揮しました。
「英国王のスピーチ」の史実との相違点
ジョージ6世とライオネル・ローグの関係
映画ではアルバート王子とローグが1934年に出会ったように描かれていますが、史実では1920年代に知り合っており、1927年の演説を成功させています。二人の親交はより長期に渡っていたようです。
またジョージ6世の吃音の度合いは、ドラマ性を高めるためにやや誇張されている面もあるようです。
エドワード8世の退位をめぐる経緯
エドワード8世や周囲の人物像は、物語の印象を強めるため、実際よりも対立的に描写されている部分があります。
例えばチャーチルは映画ではジョージ6世を支持する立場ですが、史実ではエドワード8世の退位に反対の立場を取っていたとされます。
映画「英国王のスピーチ」の登場人物と俳優陣
ジョージ6世(演:コリン・ファース)
吃音に苦しみつつも国王としての務めを全うしようとする主人公。コリン・ファースが名演技で第83回アカデミー主演男優賞を受賞しました。
エリザベス王妃(演:ヘレナ・ボナム=カーター)
ジョージ6世を支え、言語治療を勧めた献身的な妃。のちのエリザベス王太后。ヘレナ・ボナム=カーターが凛とした芯の強さを好演。アカデミー助演女優賞にノミネートされました。
ライオネル・ローグ(演:ジェフリー・ラッシュ)
型破りな方法で王子の治療に取り組む言語聴覚士。ジェフリー・ラッシュが独特な存在感を放ち、アカデミー助演男優賞にノミネート。実在のライオネル・ローグをモデルとしています。
「英国王のスピーチ」の関連作品と視聴方法
関連ドキュメンタリー番組
ジョージ6世の治療記録を基にしたドキュメンタリー「The King’s Speech Revealed」が制作されています。ライオネル・ローグの孫も登場し、祖父との交流を振り返っています。
配信サービスでの視聴方法
映画「英国王のスピーチ」はNetflixやAmazon Prime Videoなどの主要な動画配信サービスで視聴可能です。字幕・吹替両方の音声が用意されています。
DVDやブルーレイも発売中。特典映像として長めの予告編やメイキング映像などが収録されています。
まとめ:「英国王のスピーチ」が伝える感動のメッセージ
「英国王のスピーチ」は、吃音という障害に向き合い、国王としての使命を全うしたジョージ6世の感動秘話。並外れた努力と周囲の支えにより、自らの弱さを乗り越えていく姿が胸を打ちます。
ライオネル・ローグとの固い友情や、エリザベス妃の深い愛情にも心が温まるでしょう。第二次世界大戦という歴史の転換点に立ち向かった、一人の人間としての勇気と成長を描いた秀作です。
個人の内面や人間関係の機微を丁寧に描写しつつ、史実を背景に壮大な物語をつむぐ映画として高く評価されています。英国王室の人間ドラマや、吃音症の問題にも一石を投じた意義深い1本と言えるでしょう。