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『キャンディキャンディ』とは?作品概要
70年代少女マンガの金字塔
『キャンディキャンディ』は、水木杏子(原作)といがらしゆみこ(作画)による日本の少女漫画作品です。1975年から1979年にかけて、少女漫画誌「なかよし」(講談社)にて連載され、単行本は全9巻で刊行されました。
水木杏子は「名木田恵子」のペンネームでも知られる人気少女小説作家。「キャンディキャンディ」の原作ではペンネームを用いています。一方、いがらしゆみこは「ジョージィ!」など多くのヒット作を生み出した少女漫画界の巨匠です。
「キャンディキャンディ」は「なかよし」の看板作品として空前の人気を博し、同誌の発行部数は1976年に100万部を突破。連載終了後も愛蔵版やアニメ化、実写映画化など幅広いメディアミックス展開で話題を集めました。この作品に夢中になった同世代の女性は「キャンディ世代」と呼ばれ、1970年代の日本で一大社会現象となりました。
本作が描くのは、主人公の孤児少女キャンディの波乱に満ちた人生。恋や友情、別れ、自立をめぐる彼女の姿は、多感な少女期を過ごす読者の等身大の感情を映し出しました。「ポニーの家」「丘の上の王子様」など作中のキーワードは、今なお色あせない輝きを放っています。
大正ロマン薫るアメリカ&イギリスが舞台
第二次世界大戦前のアメリカとイギリスを舞台に、登場人物たちが繰り広げる友情と恋愛、苦難と成長の物語。「キャンディキャンディ」は、昭和の少女たちに夢と希望、そして生きる勇気を与えた不朽の名作と言えるでしょう。
物語の舞台は、20世紀初頭のアメリカ中西部とイギリス。馬車や蒸気機関車が行き交い、淑女のマナーが重んじられた古き良き時代です。大戦前夜の不安定な世相の中で、登場人物たちは己の生き方を模索します。
作中では、アメリカの開拓時代の終焉を告げる、史実の「オクラホマ・ランド・ラッシュ」などにも触れられています。架空の人物ドラマと、リアルな時代考証が絶妙に融合した物語設定は、読者を魅了してやみません。
孤児キャンディ、波乱の人生始まる
ポニー牧場の日々と運命の分かれ道
金髪で活発な少女キャンディは、ミシガン湖のほとりにある孤児院「ポニーの家」で暮らしています。大人しく心優しいアニーは、キャンディの大切な幼馴染。二人は赤ん坊の頃に同じ日にポニーの家の前に置き去りにされ、以来ずっと一緒に過ごしてきました。
ポニーの家では、キャンディもアニーも平等に愛され、のびのびと育ちます。優しいポニー先生と、時に厳しくも愛情深いレイン先生に見守られた日々は、けれど長くは続きませんでした。6歳の時、アニーがブライト家の養女として迎え入れられることになったのです。
養女縁組の話は二人にも持ち掛けられましたが、アニーだけが選ばれてしまいます。アニーとの別れは、キャンディにとって初めての、そして最も辛い体験でした。
アードレー家で待ち受ける試練の数々
やがて12歳になったキャンディは、アードレー家の分家・ラガン家に引き取られます。けれどそこは、温かい家庭とは程遠い場所でした。ラガン家の本当の娘であるイライザとその兄ニールは、孤児だったキャンディを見下し、もの言えぬ使用人のように扱ったのです。
イライザとニールのいじめに耐えながら、キャンディはラガン家で家事雑用に明け暮れる日々を送ります。輝かしい未来を夢見たポニーの家とは打って変わった、過酷な現実が彼女を待ち受けていました。けれど、その中でもキャンディは決して希望を失わず、いつか幸せをつかむのだと信じ続けるのでした。
キャンディを翻弄する恋と別れ
アンソニーとの淡く切ない初恋
ラガン家での辛い日々の中、キャンディに一筋の光明が差します。アードレー家本家の屋敷で出会った少年、アンソニー・ブラウン。幼い頃に別れた「丘の上の王子様」によく似た彼に、キャンディの心は揺れ動きます。
バラ園での再会をきっかけに、アンソニーへの想いを募らせるキャンディ。けれど、彼女の恋の行方に暗い影が忍び寄ります。アードレー家の大事なパーティ当日、アンソニーが馬上で事故に遭い、キャンディの目の前で息を引き取ってしまうのです。
アンソニーとの突然の別れは、キャンディの心に深い傷を残しました。暗澹とした日々の中、彼女はアメリカを離れ、ロンドンの寄宿学校に身を寄せます。
テリィとの運命的な恋
ロンドンの寄宿学校で、キャンディは青年役者のテリィと出会います。二人はお互いに強く惹かれ合います。
しかし、嫉妬に駆られたイライザの策略で、キャンディは退学処分を受けそうになります。それを知ったテリィは、身代わりとなって自主退学。二人は涙の別れを経験します。
再びアメリカで再会を果たしたキャンディとテリィでしたが、彼の心は女優スザナに傾いていきます。役者としての夢を追うテリィと、看護師への道を選んだキャンディ。すれ違う二人の運命は、ついに永遠の別れへと向かうのでした。
アンソニーの死、テリィとの悲恋。キャンディの人生は、予期せぬ悲劇的な別れに翻弄され続けます。しかし、彼女はそのたびに立ち上がり、新たな一歩を踏み出す勇気を見せるのです。恋に破れても、なお前を向いて生きようとするキャンディの姿から、私たちは「絶望の中にも希望を見出す強さ」を教わります。
再会と旅立ち、キャンディの選んだ道
ニールとの政略結婚を拒否して
様々な悲しみや苦難を乗り越えてきたキャンディに、新たな危機が訪れます。それは、大叔母の命令で許嫁のニールと結婚させられそうになること。一時は絶望したキャンディでしたが、彼女には最後の希望が残されていました。
結婚式当日、駆けつけたのはアルバート。実は彼こそ、アードレー家の当主「ウィリアム・アルバート・アードレー」その人だったのです。キャンディを救うために、彼は自らの正体を明かしたのでした。
アルバートの助けにより、ニールとの結婚は取り消されます。こうして自由の身となったキャンディは、看護師としての仕事に打ち込みながら、人生の次なる一歩を模索します。
キャンディが見つけた「幸せの答え」
そんなある日、彼女はなつかしのポニーの丘を訪れます。丘の上で、一人の青年との再会が待っていました。バグパイプを吹くその青年は、アルバートだったのです。
実は、キャンディが幼い頃に出会った「丘の上の王子様」。それは、幼き日のアルバートだったのです。ずっと彼女を見守り、支えてきた存在こそ、アルバートだったのでした。
まとめ
「丘の上の王子様」との再会は、キャンディの人生の転換点となりました。運命に翻弄され続けてきた彼女ですが、ここに来て全ての悲しみや絶望を乗り越える勇気を得たのです。
アンソニーとの別れ、テリィとの悲恋、政略結婚の危機……。様々な困難を経験したキャンディだからこそ、「自分の人生は自分で切り拓いていく」という強い意志を胸に刻むことができたのかもしれません。
彼女はこれまで、他者との別れによって自らの道を閉ざされてきました。けれど本当は、キャンディ自身が自分の人生を選択する自由を持っていたのです。
ポニーの丘での再会は、キャンディに新しい旅立ちを促しました。看護師として、一人の女性として、そして何より一人の人間として。自らの意志で道を切り拓き、前を向いて生きていく。それが、キャンディの選んだ人生なのです。
「キャンディキャンディ」という物語は、一人の少女の波乱に満ちた人生の旅路を描いた作品です。恋に破れ、大切な人を失い、時に絶望の淵に立たされながらも、決して希望を失わないキャンディの生き様は、読者に深い感動を与えてきました。
悲しみを乗り越えて再び輝きを取り戻すキャンディの姿は、「人生の逆境に負けない強さ」を教えてくれます。それは、少女たちへのメッセージであると同時に、生きるすべての人々への応援歌でもあるのです。
時代を超えて愛され続ける不朽の名作「キャンディキャンディ」。このあらすじ記事が、新しい読者の心にもキャンディの勇気と優しさが届くことを願っています。