青春漫画の金字塔『タッチ』のあらすじを簡潔に!浅倉南を巡る双子の兄弟の三角関係にも迫る

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『タッチ』とは?作品の基本情報

連載期間、掲載誌

『タッチ』は、あだち充の代表作の1つであり、1981年から1986年まで「週刊少年サンデー」にて連載されました。高校野球を題材に、双子の兄弟と幼馴染の女の子との三角関係を軸に物語が展開します。

作者あだち充について

あだち充は、1951年生まれの日本の漫画家です。高校野球や恋愛をテーマにしたいわゆる「高校野球もの」や「恋愛もの」の先駆者であり、『タッチ』の他にも『みゆき』『H2』『ラフ』など数々の名作を生み出しています。リアルな人間関係や心情描写を得意とし、ラブコメ界のレジェンドとも称されています。

テレビアニメ、劇場版などのメディアミックス展開

『タッチ』は週刊少年サンデーでの連載と並行して、1985年よりフジテレビ系でテレビアニメが放送開始。全101話が放送され、一大ブームを巻き起こしました。その後も劇場版アニメが3作公開されたほか、実写映画化やゲーム化など、多岐にわたるメディアミックス展開がなされています。

『タッチ』前半のあらすじ:出会いと三角関係

明青学園に通う双子の兄弟・上杉達也と和也、幼馴染の浅倉南

『タッチ』の物語は、明青学園に通う双子の兄弟・上杉達也と和也、そして隣に住む同い年の幼馴染・浅倉南の3人を中心に展開します。活発で勉強もスポーツも万能な弟の和也に対し、兄の達也は飽きっぽくいい加減な性格。一方、南は勉強もスポーツも優秀な美少女で、和也とは小さい頃から親友同士でした。

和也は南に想いを寄せ、野球で甲子園を目指す

和也は密かに南のことが好きでした。高校に入ると野球部のエースとなり、南にかつて約束した「甲子園に連れて行く」という夢の実現に向けて猛練習に励みます。一方、南は和也のことを異性としてはあまり意識せず、むしろ達也に好意を抱き始めていました。

達也と南の淡い恋心

南のことが気になり始めた達也でしたが、弟への遠慮から南への想いを表に出せずにいました。一方、勉強もスポーツもダメな自分に自信が持てず、和也と南の仲を素直に受け入れられない達也。しかし、和也もまた南への片思いに悩み、兄の達也に南への想いを打ち明けます。ついに和也は南に告白し、達也にも「南を取られたくなかったら本気で勝負しろ」と宣戦布告するのでした。

『タッチ』中盤のあらすじ:和也の死とその後

和也の突然の事故死と、残された2人

夏の甲子園予選を目前に控えたある日、和也は交通事故に遭い、帰らぬ人となってしまいます。和也を失った悲しみと、南への想いを胸に秘めたまま、達也は高校生活を送ることに。一方、南は「和也とのかけがえのない思い出」と「達也への淡い恋心」の間で揺れ動きます。

背番号1を継いだ達也、野球部エースとして

高校2年の春、野球部に入部した達也は、天才的な運動神経を開花させ、あっという間にエースの座を射止めます。亡き弟・和也の背番号1を継いだ達也。南もまた、野球部のマネージャーとしてチームを支えていきます。

新たなライバル・新田明男の登場で三角関係が変化

明青学園の練習試合の相手として、ライバル校・須見工業高校が登場。そこでエースを務める新田明男は、中学時代から和也とライバル関係にあった男子。野球の腕前はもちろん、南に対する想いも達也とぶつかり合います。新たな三角関係の予感がただよい始めます。

『タッチ』後半のあらすじ:激動の3年生夏

新監督・柏葉英二郎とシビアな指導

明青学園野球部の新監督として、柏葉英二郎がやってきます。英二郎監督の指導はとてもシビアで、選手たちはきつい練習に耐えながら、チームの結束を高めていきます。一方、野球部を離れた南は、新体操部で才能を開花させ、次第に達也との距離が生まれ始めるのでした。

甲子園を目指し、須見工戦に臨む

いよいよ、夏の甲子園県予選決勝。相手は新田擁する須見工業高校です。試合は互角の激闘を繰り広げられ、延長戦にもつれ込みます。10回裏、前の打席でホームランを打っている新田と勝負する達也。南への想い、英二郎や仲間への想いを胸に、渾身の一球を投じます。見事三振に打ち取り、明青学園は初の甲子園出場を決めたのです!

達也と南、新たなる関係性の始まり

夏が終わり、達也は南への「愛」を改めて自覚。南もまた、達也への想いを自覚し始めます。そして、最終回。「上杉達也は浅倉南を愛しています」。河川敷で南に向けて、達也は叫ぶのでした。

『タッチ』の見所:青春・恋愛・野球

少年達の成長物語と繊細な恋愛模様

『タッチ』は、達也と和也という性格も能力も対照的な双子の兄弟の成長物語であり、同時に南を中心とした繊細な三角関係の物語でもあります。特に、達也が南への想いを自覚し、ぶつかり合いながらも成長していく姿は感動的。10代の青春の機微や淡い恋心が丁寧に描かれています。

ライバル校との白熱した野球シーン

達也率いる明青学園と、新田率いる須見工業。ライバル同士の火花散る野球シーンは見応え十分です。特に、夏の大会決勝戦での熱投は圧巻。選手同士の心理戦や、友情・努力・勝利へのこだわりなど、スポーツ漫画ならではの魅力が詰まっています。

登場人物たちが織りなす青春群像

双子の兄弟や南だけでなく、野球部員の面々や、英二郎監督、新田など、個性的なキャラクターが登場します。それぞれの青春模様が絡み合い、悩み、成長する姿は、読者の共感を呼ぶこと間違いなし。恋に悩む10代男女の等身大のリアルな青春群像が魅力です。

『タッチ』の時代背景と影響力

1980年代の高校野球ブーム

『タッチ』の連載当時、日本では高校野球ブームが到来していました。1980年の春のセンバツ高校野球大会で沖縄・糸満高校が初優勝し話題になったのを皮切りに、1985年の夏の甲子園では、池田高校・清原和博選手の活躍で大会史上最多タイの得点記録が生まれるなど、高校球児たちの活躍が大きな注目を集めていた時代です。

その後のスポーツ根性もののヒット作続出

『タッチ』の大ヒットにより、友情・努力・勝利をテーマにしたいわゆる「スポーツ根性もの」の人気に火がつきます。その後も『がんばれ元気』や『Capeta』など数々のスポーツ漫画が生み出され、少年漫画の一大ジャンルを形成。スポーツに懸ける熱い想いは、日本人の琴線に触れ、多くの作品が愛されることとなりました。

女子マネージャーの理想像となった浅倉南

南のようなかわいらしい容姿に、男勝りでさばさばとした性格を併せ持つヒロインは、当時の少年読者の理想像でした。南をお手本に、野球部のかわいい女子マネージャーに憧れる女子中高生が続出。以降、スポーツ漫画には欠かせない存在となりました。南というキャラクターが、女子マネージャー像を確立した功績は大きいと言えるでしょう。