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猿蟹合戦は、日本の昔話の中でも特に有名な物語の一つです。
欲張りな猿とそれに騙されるカニという対照的な性格の動物が登場し、復讐劇を繰り広げる様子が面白いこのお話。
しかしその一方で、欲張ることの愚かさや弱い者いじめの報い、そして正直に生きることの大切さを説いた教訓の宝庫でもあります。
愛媛県を中心に語り継がれてきたこの物語が、一体どのような内容なのか。
登場人物の行動や教訓に注目しながら、猿蟹合戦のあらすじを詳しく見ていきましょう。
猿の欲張り 約束を破り、カニを騙す
カニが苦労して育てた柿の木に実がなる
カニは猿から譲り受けた柿の種を大切に植え、毎日欠かさず世話をしました。月日が経ち、ついにその柿の木は見事に実を付けたのです。
カニ「やった!こんなに沢山の柿の実ができたぞ!」
ところが背の低いカニには、とても実に手が届きません。
背の低いカニは実が取れず、木登りが得意な猿に助けを求める
困ったカニは、木登りが得意な猿に助けを求めることにしました。
カニ「あの時は種を分けてくれてありがとう。柿の実ができたんだけど、私には高くて取れないんだ。手伝ってくれないかい?」
猿「いいとも。お安い御用だよ。」
猿は快く引き受けましたが、実は柿の実を独り占めしようと企んでいたのです。
猿は柿を独り占めし、カニに分け与えようとしない
猿は器用に木に登り、あっという間に柿の実を全て摘み取りました。しかしその実を、猿はカニに分け与えるつもりはありません。
猿「カニ君、悪いけど柿の実は全部俺のものにするよ。あんたには欲しくなかったんだろう?」
こうして猿は、カニを騙して柿の実を総取りにしたのです。約束を破った猿の欲張りが、悲劇の種を蒔くことになります。
カニの悲劇 猿の意地悪で命を落とす
猿に催促するカニ、猿は思わぬ反応を見せる
カニは柿の実が全て摘まれたことを知り、猿に抗議しました。
カニ「ちょっと待ってよ!約束が違うじゃないか。私にも分けてくれるって言っていたのに!」
しかし猿は聞く耳を持ちません。むしろカニが約束を求めれば求めるほど、カニへの怒りを募らせていきます。
頭に血が上った猿は青い硬い柿の実をカニに投げつける
遂に猿は頭に血を上らせ、カニに向かって青い固い柿の実を投げつけ始めました。
猿「うるさいカニ!欲しければくれてやる!」
青い柿の実は、硬い石のようにカニの甲羅に当たります。
あまりの衝撃で甲羅が割れ、カニは力尽きる
あまりの衝撃に、カニの甲羅はあっけなく割れてしまいました。
カニ「あ、あぁ…」
砕けた甲羅から体液が流れ、カニは力尽きてしまいます。
こうして猿の意地悪によって、無惨にもカニの命が奪われたのでした。カニの子供たちが この仇を取ろうと立ち上がる日も、そう遠くはありません。
カニの子供たちが復讐を誓う 味方を集めて猿の家へ
親の仇を討とうと、栗や蜂、牛糞、臼がカニの子に協力
カニの子供たちは、意地悪な猿への復讐を誓いました。
カニの子「父さんの仇を取らねば。でもあの猿に私たちだけで勝てるだろうか…」
すると、栗や蜂、牛糞、臼が声を掛けてきます。
栗「私は熱せられれば、猿を火傷させられるぞ。」
蜂「私は猿に刺されれば、激しい痛みを与えられるぞ。」
牛糞「私は滑って転ばせることができるぞ。」
臼「私は高い所から落ちれば、猿を押し潰せるぞ。」
こうしてカニの子供たちは、何とか猿に復讐できる目算が立ちました。
猿の留守中に家に忍び込み、罠を仕掛ける
カニの子供たちは、味方を引き連れて猿の家へと向かいます。幸い猿は留守で、家の中は無人でした。
カニの子「よし、みんな作戦通り行くぞ!」
一同は手分けして、それぞれの特性を活かした罠を仕掛けていきます。
まず栗を火にかけ、熱々の状態に。
次に蜂を水桶に放し、刺されたら痛い目に遭う仕掛けを作ります。
牛糞は庭に撒き散らし、滑って転ぶようにします。
最後に重い臼を梁に吊るし、落とし穴に。
こうしてカニ一家の復讐劇の準備は整ったのです。果たして猿が帰宅した時、どんな悲劇が待ち受けているのでしょうか。
どんでん返しの結末 猿が仕掛けに次々とかかる
猿は熱々の栗で火傷、水を取ろうとすると蜂に刺される
帰宅した猿は、まず家の中に置かれた栗を見つけました。
猿「これはカニのやつが置いていった栗か。ちょうど腹が減っていたところだ。」
火にかけられていることに気付かず、猿がその栗を手に取った瞬間、「熱っ!」と悲鳴を上げます。
慌てて水を取ろうと桶に手を突っ込むと、今度は中から飛び出した蜂に刺されてしまいました。
猿「うわぁぁ!痛い!なんだこれは!」
転んだ拍子に牛糞を踏み、とどめは臼で押し潰される
耐えがたい痛みから逃れようと、猿は咄嗟に庭に飛び出します。しかしそこには牛糞が撒き散らされていて、猿はバランスを崩して派手に転んでしまいます。
猿「あ、ああ…くそっ!」
そのまま仰向けに倒れた猿の上に、吊るされていた重い臼が落下。
ドスン!という鈍い音と共に、猿は臼の重みで押し潰されてしまいました。
カニたちの復讐劇は見事成功し、猿は命を落とす
こうしてカニたちが仕掛けた罠に、猿は次々とかかってしまったのです。
カニの子「やった!みんなのおかげで、父さんの仇を取ることができた!」
栗、蜂、牛糞、臼たちも大喜び。猿の欲張りと意地悪の結果は、見事などんでん返しの結末を迎えました。
悪事を働いた猿への因果応報が、カニ一家によって成し遂げられたのです。
猿蟹合戦の教訓 欲張りと弱い者いじめは自分に返ってくる
猿蟹合戦には、私たちが日常生活の中で心に留めておくべき大切な教訓が込められています。
まず一つ目は、「約束を破るような欲張った行動は、いつか必ず自分に返ってくる」ということです。
猿がカニを騙して大切な餅を奪い、さらに約束を破って柿の実を独り占めしたことが、カニ一家の復讐を招く原因になりました。
欲張りは他者を不幸にするだけでなく、最終的には自分も不幸になってしまう危険性を孕んでいるのです。
また、「弱い者をいじめれば、恐ろしい報いを受ける」ともこの物語は教えてくれます。
カニに意地悪をして命を奪った猿への復讐劇は、まさにその教訓を如実に表しています。
たとえ自分より弱い立場の相手であっても、思いやりと優しさを持って接することが大切だと分かります。
猿の最期は、「因果応報」の典型例とも言えるでしょう。
悪事や強欲な行いは、めぐりめぐって最後は自分に返ってくる。そんな人生の真理を、猿蟹合戦は教訓として私たちに残してくれているのです。
まとめ:正直に生きることの大切さを伝える猿蟹合戦
猿蟹合戦からは、私たちが社会生活を送る上で忘れてはならない大切な教訓を学ぶことができます。
まず何より、欲張ることなく分け合う心を持つことの尊さを、この物語は教えてくれています。
他人を騙したり貶めたりすることは許されない行為です。猿のように欲に目が眩んでしまえば、誰かを不幸にしてしまう危険性があるのです。
また、弱い立場の者へ思いやりの心を忘れず、いじめのないよい社会を作ることも大切です。
猿がカニをいじめ命を奪ったことで招いた復讐劇は、弱者への優しさを持つことの大切さを如実に物語っています。
そして何より、「悪事は因果応報で必ず自分に返ってくる」というメッセージは強く心に響きます。
欲望のままに生きれば、巡り巡って自分が不幸になるだけ。だからこそ、正直に生きることが何より大事なのだと、猿蟹合戦は教えてくれているのです。
このように、登場人物それぞれの教訓が凝縮された猿蟹合戦は、読み聞かせにうってつけの昔話と言えるでしょう。
子供たちには「意地悪をしたり嘘をついたりすると損をする。正直に生きれば得をする」という道理を、分かりやすく説き聞かせてくれる物語なのです。