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映画「アメリカンスナイパー」の基本情報
「アメリカンスナイパー」は、2014年に公開されたクリント・イーストウッド監督による戦争映画です。主演はブラッドリー・クーパーが務め、イラク戦争で最多の160人以上を射殺したとされる伝説の狙撃手クリス・カイルの半生を描いた作品です。
本作の原作は、クリス・カイル自身による自伝『ネイビー・シールズ最強の狙撃手(原題:American Sniper: The Autobiography of the Most Lethal Sniper in U.S. Military History)』です。映画は全米で空前の大ヒットを記録し、第87回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされました。
公開日 | 2014年12月25日(全米)、2015年2月21日(日本) |
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上映時間 | 132分 |
興行収入 | 全世界で約5億4700万ドル(約590億円) |
受賞歴 | 第87回アカデミー賞 音響編集賞 |
「アメリカンスナイパー」のあらすじ【ネタバレあり】
※この作品は戦闘シーンなどグロテスクな描写を含みます。
1. 運命の狙撃銃との出会い
幼少期のクリス・カイルは、父親から射撃の手ほどきを受けながら育ちました。子供の頃から射撃の才能を発揮していたクリスは、やがて海軍特殊部隊ネイビー・シールズへの入隊を志望します。厳しい訓練を経て見事シールズの一員となったクリスは、同期のライフルマン(狙撃手)たちの中でも抜きん出た存在として頭角を現していきました。
2. “伝説の狙撃手”の誕生
2003年、クリスはイラク戦争に派遣されます。現地での最初の狙撃ミッションで、クリスは自爆テロを企てる女性を射殺することになります。戦場での冷静沈着な判断力と卓越した射撃技術により、クリスは「レジェンド(伝説)」と呼ばれるようになります。その一方で敵からは「シャイターン・アル・ラムアディ(ラマディの悪魔)」と恐れられる存在となっていきました。
3. 宿敵との死闘
イラク戦争が泥沼化する中、クリスは最大のライバルであるイラク人狙撃手のムスタファと対峙します。オリンピック選手だったというムスタファは、市街地に潜んで米軍に大きな被害を与えていました。クリスとムスタファ、2人の狙撃手による命を賭けた戦いが始まります。一進一退の攻防が続く中、クリスはムスタファの存在に徐々に囚われていきます。
4. 見えない敵、心の傷
戦地から一時帰国したクリスでしたが、すっかり戦場の記憶に蝕まれてしまっていました。妻のタヤは、夫の心の変化を敏感に感じ取り、苦悩します。一方のクリスは、戦友を失ったことで深い喪失感を抱えるようになります。次第に、PTSDに苛まれ、平穏な日常を送ることができなくなってしまったのです。
5. 英雄か、殺戮者か
「レジェンド」としての名声を得たクリスでしたが、本人は決して晴れやかな気持ちではありませんでした。むしろ、ただ生き延びるために戦っているだけだと感じていたのです。人の命を奪うことへの罪悪感に苛まれ、さらには家族を顧みられない自分自身への嫌悪感とも戦わなければなりませんでした。果たして、クリスは本当に「英雄」と呼べる存在なのか。彼自身、答えを見出せずにいました。
6. 因縁の対決
除隊する直前のミッションで、クリスは決意を新たにしてイラクへ赴きます。そこにはムスタファとの最後の戦いが待っていました。1,200mもの距離から放たれたムスタファの狙撃弾をかわし、クリスはついに宿敵に勝利を収めます。ムスタファを倒したことで、これまでクリスに付きまとっていた亡霊から解き放たれたのでした。
7. 祖国に帰れども
無事に除隊し、愛する家族のもとへ戻ったクリスでしたが、心の傷は簡単には癒えませんでした。いまだ彼の脳裏には、戦場の記憶がこびりついています。PTSDと向き合いながら、戦友たちとの交流を通じて、少しずつ立ち直っていったクリス。しかし、退役軍人の支援に携わるようになった彼を、皮肉な運命が待ち受けていました。銃の練習に付き添ったPTSDの元海兵隊員に射殺されてしまったのです。「アメリカン・スナイパー」、その壮絶な生涯はあまりにも突然の最期を迎えました。
「アメリカンスナイパー」の主要登場人物
クリス・カイル
本作の主人公。テキサス州出身の青年で、ネイビー・シールズ特殊部隊の狙撃手。正義感が強く愛国心にあふれる一方、戦場での経験からPTSDを患い、心に深い傷を負う。戦友を何より大切にする熱い男。
- 演:ブラッドリー・クーパー
- 日本語吹替:小山力也
タヤ
クリスの妻。優しく献身的な女性。良き妻であり、母親。夫の心の変化や苦悩に寄り添い続ける。クリスが生涯、心の支えにした存在。
- 演:シエナ・ミラー
- 日本語吹替:田中敦子
ムスタファ
クリスのライバルとなるイラク人狙撃手。オリンピック選手だった経歴を持ち、卓越した狙撃の腕前を誇る。冷酷非情な性格で、クリスにとって脅威の存在。
- 演:サミー・シェイク
実話を基にしたストーリー【作品の背景】
「アメリカンスナイパー」の原作となったのは、海軍特殊部隊ネイビー・シールズ出身の元狙撃手、クリス・カイルの自伝です。カイルは、イラク戦争において最多の160人以上を射殺したとされ、「史上最強の狙撃手」と称されました。帰国後は、退役軍人のPTSDサポートに尽力する一方、著書『American Sniper』を上梓。しかし2013年、PTSDに苦しむ元海兵隊員に射殺されるという悲劇的な最期を遂げました。
本作は、そんなクリス・カイルの波乱に満ちた半生を、戦場とアメリカを舞台に丹念に描き出しています。イラク戦争の是非や愛国心といった社会問題にも切り込みつつ、PTSDに苦しむ兵士とその家族の苦悩を克明に捉えた映画になりました。イーストウッド監督の手腕が存分に発揮された意欲作と言えるでしょう。
まとめ:「アメリカンスナイパー」の見どころと問いかけ
「アメリカンスナイパー」の最大の魅力は、リアルな戦場描写にあります。本作のために実物の武器や装備が使用され、イラクの街並みを忠実に再現したセットが組まれました。スナイパーならではの狙撃シーンは、息をのむような緊迫感に溢れています。
また、ブラッドリー・クーパーが見事に演じ切ったクリス・カイルの心の機微も見逃せません。戦場から帰還しPTSDに苦しむクリスを通して、「英雄とは何か」「愛国心とは何か」といった普遍的なテーマが浮き彫りになります。妻のタヤとの関係も丁寧に描かれ、戦争が兵士の家族にも深い影を落とすことを思い知らされるのです。
「アメリカンスナイパー」は、戦争の悲惨さ、そこで生きる人間の苦悩を赤裸々に描き出すことで、私たちに多くの問いを投げかけます。人の命を奪うことは正義なのか。国家のために戦うことは本当に愛国的な行為なのか。そして、戦争によって心に深い傷を負った兵士たちを、私たちはどう受け止めるべきなのか。この映画を観た後、あなたは必ずや、こうした問いについて考えずにはいられないはずです。
「アメリカンスナイパー」を観た後におすすめの作品
- 「ハート・ロッカー」(2008):イラク戦争に従軍した爆発物処理班の姿を描いた作品。戦場のリアルな空気感が評価された。
- 「ブラック・ホーク・ダウン」(2001):米軍のソマリア撤退作戦を基に、市街戦の惨禍を赤裸々に描き出す。
- 「Father Soldier Son」(2020):シングルファザーとして家族を支える元軍人の姿を、10年以上にわたって追ったドキュメンタリー。
- 「ボーン・オン・ザ・フォース・オブ・ジュライ」(2012):「ネイビー・シールズ」の過酷な訓練に密着したノンフィクション。
これらの作品は、現代戦や兵士の心理をリアルに描いた秀作です。「アメリカンスナイパー」を通して戦争の本質や人間の苦悩について考えた後は、ぜひこれらの映画にも触れてみることをおすすめします。様々な角度から、平和の尊さについて考える良い機会になるはずです。