子ども向けに「かちかち山」のあらすじを解説!楽しい遊びやワークシートのアイデアも

「かちかち山」は、日本を代表する昔話の一つです。ずる賢いタヌキと正義感の強いウサギが繰り広げる知恵比べの物語は、今も昔も子どもから大人まで楽しめる作品となっています。

そこで今回は、「かちかち山」の魅力を徹底解剖!あらすじや登場人物、教訓を丁寧に解説するだけでなく、読み聞かせのコツ、遊びやワークシートのアイデアまで、「かちかち山」の楽しみ方を余すところなくお伝えします。

昔話の面白さを子どもたちにどう伝えるか。親子のコミュニケーションをどう深めるか。そのヒントが、この記事にはつまっているはずです。ぜひ最後まで楽しみながらご覧ください!

「かちかち山」のあらすじ:ウサギとタヌキのいたずら合戦

おじいさんを騙して畑を荒らすタヌキ

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山のそばの畑で、毎日コツコツと農作業をしていましたが、ある日、タヌキが現れて畑を荒らし始めました。おじいさんは怒って、タヌキを罠にかかえて捕まえて「タヌキ汁」にしようとしました。しかし、タヌキは反省したふりをして見張っているおばあさんを油断させると、後ろから殴っておばあさんを帰らぬ人にしてしまいます。

タヌキはおばあさんに化け、「タヌキ汁」のかわりに「ばばあ汁」を仕立てておじいさんをもてなします。タヌキが途中で招待を明かして逃げると、おじいさんはびっくり仰天してしまいます。そして、悲しみのあまり何日も泣き止まないのでした。

タヌキを懲らしめるウサギの知恵

すべてを見ていたウサギは、タヌキの行いに苛立ち、懲らしめることを決意します。
タヌキは自分のしたことが怖くなり、穴の中に隠れていました。そこにウサギが訪ねてきました。ウサギは「柴を担いで向こうの山まで行ってくれれば、栗の実をあげる」とタヌキに言いました。栗が欲しいタヌキは、この話に乗ってきます。タヌキが柴を担いだところに、ウサギが火をつけました。タヌキは背中を大やけどします。翌日、ウサギは苦しむタヌキに「やけどの薬」だと言って唐辛子をタヌキに塗り込み、さらに追い打ちをかけます。

タヌキの最期

数日後、やけどが治ったタヌキがウサギを訪ねてきました。ウサギは今度は、タヌキを魚釣りに連れ出します。ウサギは木の舟を、タヌキは土の舟をそれぞれ作って海へでますが、タヌキの舟が途中からどんどん沈没していきます。タヌキはウサギに助けを求めますが、ウサギはタヌキが沈んでいく様子をおもしろがって見ているだけでした。

「かちかち山」の登場人物:おとぼけタヌキと賢いウサギ

タヌキ:ずる賢く人をからかうのが大好き

タヌキは、ずる賢く、人をからかうのが大好きなキャラクターです。おなかを空かせると、悪知恵を働かせて、おばあさんを帰らぬ人にするような悪事を平気で働きます。そんなタヌキが、自業自得とも言える最期を遂げるシーンは、スカッとする落ちとなっています。

ウサギ:正義感が強く、弱い者いじめがきらい

一方のウサギは、まさにタヌキの対極に位置する存在です。正義感が強く、弱い者いじめをするタヌキの行動を憎んでいます。頭の回転が速く、知恵を使って問題解決を図るのが得意。タヌキを懲らしめるために、巧妙な罠を次々と仕掛けていきます。勇敢に立ち向かうウサギの姿は、子どもたちにとってあこがれの存在と言えるでしょう。

「かちかち山」の教訓:よいことをするのは大切だよ

「かちかち山」には、子どもから大人まで学べる教訓がたくさん詰まっています。

「悪事を働けば、必ず報いを受ける」というメッセージ

タヌキが見せるように、他人を騙したり、いじめたりする行為は、必ず自分に返ってきます。最後にタヌキが惨めな最期を遂げたのは、因果応報とも言えるでしょう。善因善果、悪因悪果の法則を子どもたちに伝える上で、とてもわかりやすい例と言えます。

「弱い者いじめをしてはいけない」「立場の弱い人を助けることが大切」といった教訓

強い者が弱い者をいじめることは許されません。たとえ自分より弱い立場の人でも、優しく接することが大切なのです。また、困っている人がいたら、勇気を持って助けてあげましょう。ウサギのように、弱者の味方となって行動できる子どもに育ってほしいものです。

「知恵と勇気を持って生きよう」というメッセージ

ウサギは、悪事を働くタヌキに対して、知恵を使って立ち向かいます。時に勇気を振り絞ることも必要です。難しい局面に直面した時こそ、知恵を絞って解決策を考えたり、勇気を持ってチャレンジしたりすることが大切。そうすることで、道は必ず開けるはずです。

大人が学べる教訓としては、「心の優しさを忘れずに生きること」が挙げられます。年を重ねるごとに、人は頑なになりがち。しかし、相手の気持ちを慮る心、弱い者いじめを許さない正義感、知恵と工夫を凝らして困難に立ち向かう勇気。そうした「かちかち山」の登場人物たちから学べる資質は、大人になっても失ってはいけません。むしろ、歳を重ねるほど、謙虚に学び続ける姿勢が大切だと言えるでしょう。

読み聞かせのコツ:声色を使って登場人物を演じ分けよう

「かちかち山」の読み聞かせを楽しいものにするには、いくつかのコツがあります。

まず、基本としては、ゆっくりとはっきりと読むこと。そして、時折子どもの目を見ながら読み進めましょう。声に抑揚をつけ、間を大切にすることで、物語の世界により引き込むことができます。

登場人物ごとに声色を変えるのも効果的です。「かちかち山」の場合、タヌキ、ウサギ、おじいさんと、3人の声を使い分けると良いでしょう。タヌキは、ずる賢くて意地悪な感じで。ウサギは、正義感が強くて勇ましく。おじいさんは、穏やかで優しい口調を意識すると、それぞれのキャラクターがより伝わりやすくなります。

また、セリフの部分は特に力を入れましょう。自分が登場人物になったつもりで、喜怒哀楽を表現するのです。タヌキがおじいさんをからかうシーンなら、少し皮肉っぽく、意地悪な声色で。ウサギが熱心におじいさんのピンチを助けるシーンは、勇ましさと正義感を前面に出すと良いでしょう。場面に合わせて声の大きさを変えるのも、聞き手の集中力を高めるコツです。

大切なのは、一方的に読み聞かせるのではなく、子どもの反応を見ながら読み進めること。子どもの集中力を見極め、反応に合わせて声の調子を変化させたり、ペースを調整したりする柔軟さが求められます。時には、「これからどうなると思う?」と問いかけるのも一案。子どもと一緒にお話を楽しむ姿勢を大切にしましょう。

読み聞かせの後も、子どもの感想を聞いたり、登場人物になりきって遊んだりするのがおすすめ。「こんなシーンがあったよね」とクイズを出し合ったり、「タヌキさんだったらどうする?」と話し合ったりするのも、お話の世界を深く味わうための良い方法です。

工夫次第で、「かちかち山」の読み聞かせはもっと楽しくなります。ぜひ色々な技を取り入れて、子どもたちに昔話の面白さを味わってもらいましょう。

今日からできる!「かちかち山」の遊びとワークシートのアイデア

「かちかち山」の楽しさは、読み聞かせだけにとどまりません。ストーリーの世界観を活かした遊びやワークシートを通して、子どもたちの想像力や創造性を育むことができるのです。

まず、お話の世界に没頭できる演じ遊びはいかがでしょうか。紙芝居やパネルシアターを使えば、親子で場面を再現しながら、物語の流れを楽しめます。ペープサートで人形劇をするのも面白いアイデア。タヌキ、ウサギ、おじいさんのお面や衣装を手作りして、なりきり遊びをするのも盛り上がること間違いなしです。

すごろくや双六などのボードゲームを活用するのも効果的。「かちかち山」の展開に合わせたマス目を作れば、サイコロを振りながらお話の流れを追体験できます。

ワークシートも、学びの助けになるでしょう。登場人物の気持ちを考えるワークシートで、子どもたちの心情理解を深められます。お話の順序を並び替えるワークシートなら、物語の流れを整理する力が身につきます。クイズ形式なら、楽しみながら内容を振り返ることができるでしょう。感想を書くワークシートを用意すれば、読後の心の動きを言語化する練習にもなります。自分オリジナルのかちかち山のお話を作るワークシートは、創作意欲をかき立てるはずです。

さらに、「かちかち山」は教材としても多様な可能性を秘めています。国語科では昔話の特徴や物語の構成を学ぶのに最適。道徳科では、正直や勇気、助け合いの大切さを考えるきっかけになります。図画工作科ではかちかち山の風景画を描いたり、登場人物のお面を作ったりと、表現活動の幅が広がります。生活科では、むかしの人の知恵や工夫を知る手がかりに。総合的な学習の時間には、地域に伝わる昔話を調べ、発表するテーマとしてぴったりです。

「かちかち山」の世界を遊びながら体感する経験は、子どもたちの心に確かな学びの種を植えつけてくれるでしょう。ぜひ色々なアイデアを取り入れて、物語の楽しさを存分に味わってもらいたいものです。