本コンテンツはあらすじの泉の基準に基づき制作していますが、本サイト経由で商品購入や会員登録を行った際には送客手数料を受領しています。
「イミテーション・ゲーム」基本情報
原作と製作陣
「イミテーション・ゲーム」の原作は、オックスフォード大学の数学者アンドリュー・ホッジスによる伝記『アラン・チューリング 〜エニグマを解いた天才〜』です。脚本は「ブラックリスト」入りの秀作として知られていたグレアム・ムーアが手がけ、監督は「ヘッドハンター」で高い評価を得たノルウェー出身のモルテン・ティルドゥムが務めました。
公開年と受賞歴
本作は2014年に全米公開され、第87回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞など8部門にノミネート。見事脚色賞を受賞しました。その他、第72回ゴールデングローブ賞や第68回英国アカデミー賞でも高く評価され、数々の賞を獲得しています。
主要キャスト
主人公アラン・チューリング役には「シャーロック」で世界的人気を博したベネディクト・カンバーバッチ。共演には「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイ、「キングスマン」シリーズのマーク・ストロングらが名を連ねました。
役名 | キャスト |
---|---|
アラン・チューリング | ベネディクト・カンバーバッチ |
ジョーン・クラーク | キーラ・ナイトレイ |
ヒュー・アレグザンダー | マシュー・グッド |
スチュアート・ミンギス | マーク・ストロング |
アラステア・デニストン | チャールズ・ダンス |
「イミテーション・ゲーム」あらすじ①:天才数学者アラン・チューリング
若き日のチューリング
物語は、第二次世界大戦中の英国が舞台。主人公アラン・チューリングは幼い頃から数学の才能を発揮し、ケンブリッジ大学在学中には「計算機械」の理論的基礎を考案するなど、若くして天才の片鱗を見せていました。
天才ぶりと孤独な性格
しかし、孤高の天才チューリングは周囲とうまくコミュニケーションが取れず、学生時代から孤立を深めていきます。感情表現が苦手で、他人との関わりを拒むようなところがあった彼は、学園での集団生活に馴染めない日々を送っていました。
同性愛者としての葛藤
チューリングがさらに心を閉ざす原因となったのが、同級生クリストファー・モーコムとの出会いでした。モーコムに恋心を抱いたチューリングでしたが、当時の英国では同性愛は違法とされており、周囲に打ち明けることはできません。モーコムを結核で亡くした後、喪失感と孤独に苛まれたチューリングは、「エニグマ」暗号の解読に心血を注ぐことで、悲しみを紛らわせようとするのでした。
「イミテーション・ゲーム」あらすじ②:エニグマ解読への挑戦
暗号解読チームの結成
1939年、英国軍はドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読すべく、ブレッチリー・パークに暗号解読チームを設立。数学者、言語学者、チェスチャンピオンなど、さまざまな分野のエキスパートが招集されました。チューリングもまた、その知性を買われてチームに加わります。
チューリングの孤高の天才ぶりと確執
個性の強すぎるメンバーが集まったことで、チーム内では衝突が絶えません。暗い性格のチューリングは、効率性を重視するあまり、周囲とのコミュニケーション不足に陥ります。特に、軍人気質のデニストン司令とチューリングの対立は目に見えて悪化の一途を辿りました。
ジョーン・クラークとの出会い
そんな中、暗号解読作業に加わった女性、ジョーン・クラークの存在がチューリングを変えていきます。彼女はチューリングの孤高の天才ぶりを理解し、適切にサポートしてくれる数少ない存在でした。 しかし、クラークを恋するあまり、チューリングは彼女にプロポーズしてしまいます。同性愛の秘密を抱えたまま、なし崩し的に婚約関係に入ったチューリングは、さらなる苦悩を味わうことになるのです。
「イミテーション・ゲーム」あらすじ③:エニグマ解読マシンの完成
チューリングの発明したマシン
エニグマ解読に行き詰まっていたチューリングは、独自に解読マシン「ボンベ」を発明します。これは、エニグマの設定可能な膨大な組み合わせを一瞬で解読できる代物でした。しかし、あまりに革新的すぎたボンベの構想は、軍部からは理解されませんでした。
解読への試行錯誤
ボンベ開発に向け、チューリングは軍の厚い壁に阻まれながらも、チャーチル首相への直訴で予算を獲得することに成功。チームが一丸となって試行錯誤を重ね、何度も改良を加えた末、ついにボンベは完成します。
エニグマ解読の成功
ボンベのおかげでドイツ軍の暗号が解読可能になり、連合軍は敵の作戦を先読みできるようになりました。しかし、ここで解読の事実を悟られれば、暗号を変更されてしまう恐れがあります。チューリングたちは、司令部と連携しながら、慎重に情報をコントロールする必要に迫られたのです。こうして、チューリングのボンベによって、連合国は戦局を優位に進めることができました。
「イミテーション・ゲーム」あらすじ④:戦後の悲劇
同性愛者として訴追される
チューリングが解読に成功したことで、第二次世界大戦は連合国の勝利に終わりました。しかし、英国政府はブレッチリー・パークの活動を極秘扱いとし、関係者には守秘義務が課せられます。戦時中の功績を誰にも知られぬまま、チューリングは平和な日々を取り戻しました。しかしある時、男娼を自宅に泊めたことが原因で、警察に逮捕されてしまいます。
化学的去勢の刑罰
法廷でチューリングは有罪判決を受け、2年の禁固刑か化学的去勢かの選択を迫られました。獄中服役した場合、暗号解読の研究ができなくなることを恐れたチューリングは、刑の執行猶予と引き換えに、女性ホルモンによる化学的去勢を選ぶのです。
悲劇の最期
女性ホルモンの副作用で肉体的・精神的に衰弱したチューリングは、1954年6月7日、41歳の若さでシアン化合物による中毒死を遂げました。自殺とみられていますが、事故死とする説もあり、詳しい真相は分かっていません。戦時中は英雄として活躍しながらも、平和になって同性愛を理由に迫害され、不遇のうちに生涯を閉じた天才数学者アラン・チューリングの物語は、現代の私たちに多くのことを考えさせずにはいられません。
「イミテーション・ゲーム」の見どころ3選
ベネディクト・カンバーバッチの名演技
本作最大の見どころは、何と言ってもベネディクト・カンバーバッチの熱演でしょう。チューリングの人物像や業績について入念にリサーチを重ねたカンバーバッチは、孤高の天才が抱える葛藤や苦悩を見事に表現しています。カンバーバッチの繊細な演技を通して、天才科学者の内面に迫ることができるはずです。
緊迫感あふれるエニグマ解読劇
第二次世界大戦の運命を左右したエニグマ解読プロジェクトの一部始終を、本作は手に汗握る展開で見せてくれます。チューリングをはじめとする暗号解読チームのメンバーが、個性を衝突させながらも力を合わせていく姿は、スリリングでありながら感動的です。彼らが実在の偉人ということを忘れさせるほどの没入感は、本作の大きな魅力と言えるでしょう。
チューリングの人生に思いを馳せる
「イミテーション・ゲーム」は、人知れず世界の運命を変えた天才数学者の、数奇な運命を浮き彫りにした作品です。英雄として戦時中の功績を残しながら、平和になって迫害され、悲劇的な最期を遂げたチューリング。彼の人生をなぞることで、あらゆる分野で革新をもたらした天才の孤独や苦悩に思いを馳せずにはいられません。チューリングの物語は、戦時中だけでなく現代社会においても、深く心に残る問いを投げかけてくれるはずです。
まとめ
チューリングの功績と人間ドラマ
「イミテーション・ゲーム」は、第二次世界大戦を陰で支えた英雄アラン・チューリングの半生を描いた伝記映画です。チューリングの活躍により戦争を数年短縮し、1400万人もの人命が救われたともいわれています。しかし戦後、彼は同性愛者であることを理由に、不当な迫害を受けて悲劇的な死を遂げました。天才の栄光と挫折を見事に描き出した本作は、観る者の心に深い感銘を与えずにはいられません。
多様性を考えさせる作品
本作を通して、チューリングの存在と業績が広く知られるようになったことの意義は計り知れません。2013年にエリザベス女王がチューリングに恩赦を与え、没後60年以上を経て天才数学者の名誉は遅ればせながら回復されました。
多様な個性や価値観を認め合う社会の実現は、現代に生きる私たちに課せられた大きなテーマです。「イミテーション・ゲーム」はそのためのヒントを、チューリングの感動的な人間ドラマに込めて伝えてくれる作品なのです。