『ミッションインポッシブル』の最大の魅力は、スリリングなアクションと緻密な物語が高次元で融合している点だ。
ハイテクガジェットを駆使した潜入シーンや、手に汗握る格闘、爆破シーンの連続。
それらが単なる見世物に留まらず、必然性を持ってストーリーに組み込まれている。
トム・クルーズ自らがアクションに挑み、リアリティを追求する姿勢も重要なファクター。
一方で、仲間との絆や、イーサンの苦悩と成長といった人間ドラマにも深みがある。
スパイアクションの枠を超えた、キャラクターの魅力がシリーズの生命線となっている。
娯楽大作としてのスケール感と、しっかりとしたストーリー性。その両立こそが、シリーズが愛され続ける理由だ。
時代とともに進化を続ける『ミッションインポッシブル』は、映画エンターテイメントの真髄を体現した傑作シリーズと言えるだろう。
『ミッションインポッシブル』シリーズ全6作品のあらすじ
不可能を可能にするスパイ、イーサン・ハントの活躍を振り返る
『ミッションインポッシブル』は、1996年の1作目公開以来、20年以上にわたって続くスパイアクションシリーズです。トム・クルーズ主演による彼の代表作にして、不動の人気を誇っています。
不可能とも思えるミッションに、命懸けで挑み続ける主人公イーサン・ハントの活躍が見どころ。ハイテクガジェットを駆使した華麗なアクションと、派手な爆破シーンが大きな魅力となっています。
また、長年にわたって積み重ねられてきたキャラクターたちの人間ドラマも見逃せません。作を重ねるごとにスケールアップし、最新作も記録的大ヒットを達成。『ミッションインポッシブル』は、まさにシリーズの名に恥じない快進撃を続けているのです。
1作目：謎の男の正体を暴け
イーサン、叛逆者の汚名を着せられ、真相究明に乗り出す
1996年公開の1作目は、ブライアン・デ・パルマ監督、トム・クルーズ主演で贈る、シリーズの幕開けを飾る作品です。
物語は、プラハでのミッション失敗から始まります。作戦中、イーサン・ハントは生き残るものの、仲間たちを失ってしまいます。そして、イーサン自身が裏切り者の汚名を着せられ、窮地に立たされるのです。
疑惑を晴らすべく、イーサンは単身事件の黒幕を追うことに。元同僚のクレア、ハッカーのルーサーと新チームを結成し、CIAの上層部に潜む謎を探っていきます。
その過程で、イーサンは「ヨブ」なる男の存在にたどり着きます。クライマックスの列車でのアクションシーンは圧巻。ヨブの正体が明かされ、イーサンは無実を証明することに成功します。
しかし、その裏では更なる陰謀が動き出していました。『ミッションインポッシブル』の世界へと、私たちを誘う出色の1作目と言えるでしょう。
2作目：ウイルス兵器”キメラ”を巡る戦い
敏腕スパイのニアとタッグを組み、不可能なミッションに挑む
2000年公開の2作目は、ジョン・ウー監督、トム・クルーズ主演。より大規模なアクションが展開される、シリーズの進化形とも言える作品です。
バイオサイト製薬のネコルヴィッチ博士がキメラウイルスと治療薬ベレロフォンを持ち、シドニーからアトランタへ移動する際、イーサン・ハントの代わりにショーン・アンブローズが護衛として同行しますが、飛行機は墜落させられます。イーサンはキメラを奪取するミッションを受け、アンブローズの元恋人ナイア・ホールを潜入させます。ナイアはシドニーでアンブローズに接触し、イーサンとチームはバイオサイトのCEOとアンブローズの取引を確認。イーサンはキメラを破壊しようとするが、ナイアがキメラウイルスを自身に注射し、イーサンは彼女を救うためベレロフォンを奪取し、アンブローズを射殺。ナイアの命を救った後、イーサンは彼女と共に人ごみに紛れて消えます。
3作目：最大の敵オーウェンとの対決
愛する人ジュリアを人質に取られ、イーサンは究極の選択を迫られる
シリーズ3作目は、J・J・エイブラムス監督、トム・クルーズ主演。イーサンの個人的な物語にも踏み込んだ、シリーズの転換点とも言える作品です。
IMF（不可能作戦部隊）のエージェント、イーサン・ハントは訓練教官として活動しており、婚約者ジュリア・ミードと平穏な生活を送っていました。しかし、教え子のリンジー・ファリスがブラックマーケットの商人、オーウェン・デイヴィアンによってベルリンで拉致される事件が発生し、イーサンは救出ミッションに参加することを決めます。救出成功後、リンジーは爆弾で死亡しますが、彼女からの情報を基にデイヴィアンを拉致し、「ラビットフット」と呼ばれる物品の情報を得ます。その後、デイヴィアンが逃走し、イーサンの婚約者ジュリアも拉致されます。デイヴィアンからの要求に応じてラビットフットを奪取し、ジュリアとの交換に応じます。デイヴィアンとの対峙中、イーサンは頭に爆弾を仕込まれますが、ジュリアの助けを借りてそれを無効化し、デイヴィアンを倒します。任務完了後、イーサンとジュリアはIMFの祝福を受けながらハネムーンに出かけます。
4作目：核戦争の危機を阻止せよ
新チームを率いて立ち向かうイーサン、信頼と裏切りが交錯する
2011年公開の4作目は、ブラッド・バード監督、トム・クルーズ主演。『M:i-4』の名で知られる、スリリングなスパイアクションです。
IMFエージェントのトレヴァー・ハナウェイはブダペストで「コバルト」と呼ばれる人物に渡す秘密ファイルを奪う任務中、敵組織によって殺害され、ファイルも奪われる。この事態を収拾するため、服役中のイーサン・ハントは脱獄し、クレムリンに潜入するが、真犯人によりクレムリンが爆破され、イーサンはテロの首謀者として追われる身となる。イーサンはチームと合流し、核戦争を目論むカート・ヘンドリクスが「コバルト」であること、彼が核兵器発射制御装置を盗んだことを突き止める。ヘンドリクスは核兵器をアメリカに発射しようとするが、イーサンは死闘の末、起爆を停止させる。任務後、イーサンとチームはIMFの再開を祝い、ジュリアの死が彼女を守るための隠蔽工作だったことが明らかになる。
5作目：過去の因縁が蘇り、イーサンに牙を剥く
イーサンの知られざる過去が明らかに。シンジケートとの死闘が始まる
シリーズ5作目は、クリストファー・マッカリー監督、トム・クルーズ主演。これまでの因縁が絡み合う、まさにシリーズの集大成とも言える作品です。
IMFベテランエージェントのイーサン・ハントは犯罪組織「シンジケート」の調査中、ロンドンで敵に捕らえられるが、イルサに救われ脱出する。同時に、CIA長官の提案でIMFは解体され、イーサンは国際手配される。6か月後、イーサンはCIAの監視下で単独で「シンジケート」がスパイたちによるローグ・ネイションであると突き止め、ベンジーの協力を求める。オーストリア首相の暗殺を阻止できず、モロッコでイルサに裏切られたイーサンは、MI6局長アトリーが関与していることを知る。イルサから「シンジケート」のボスであるソロモン・レーンの極秘情報が入力されたデータファイルが、モロッコの発電所の地下にある極秘施設に眠っていることを知らされたイーサンは、それを敵よりも早く入手するために再び危険なミッションへと挑み、見事成功させる。イルサはアトリーに却下され、再びレーンのもとへ戻る。イーサンとブラントは首相の拉致を実行し、「シンジケート」がMI6の作戦から生まれたことを証明し、秘密資金の口座番号が含まれるデータを解読する。交渉中、イーサンはデータを破棄し、レーンを逆に追い込み捕らえる。その後、アランはIMFの再建を政府に認めさせ、IMF長官に就任する。
6作目：3つの核爆弾を奪還、世界の運命がイーサンに託された
過去のミッションの因果が絡み合い、イーサンは究極の選択に直面する
2018年公開の最新作は、クリストファー・マッカリー監督、トム・クルーズ主演。シリーズの集大成にして、新たな伝説の幕開けとなった作品です。
物語は、前作ラストで捕らえられたソロモン・レーンの脱獄から始まります。レーンは”アポストル”を結成し、世界に新たな脅威をもたらそうとしていました。
そして、イーサンはレーンに振り回されるように、3つの核爆弾の奪還へと駆り出されます。行く手には、これまでのミッションで関わった人物たちが次々と現れ、因縁の対決が繰り広げられていくのです。
ヘリチェイスや岩壁での格闘など、ド派手なアクションシーンも健在。トム・クルーズのスタントへのこだわりが、臨場感を生み出しています。
シリーズの因縁が結実した最新作は、観る者の心を揺さぶる感動作となりました。「ミッションインポッシブル」の名が、不可能ではないことを証明した一本です。
シリーズを通して描かれる、仲間との絆とイーサンの信念
命懸けのミッションに挑み続けるイーサン、その原動力とは
『ミッションインポッシブル』シリーズを通して描かれるのは、仲間との絆の物語です。裏切りと陰謀が渦巻く世界にあって、信頼できる仲間の存在こそが、イーサンの心の支えとなっているのです。
ルーサーやビージー、イルサ、そしてジュリア。彼らとの絆が、イーサンを突き動かす原動力の一つと言えるでしょう。
そしてもう一つ、イーサンを駆り立てているのが、彼自身の揺るぎない正義感と使命感です。世界の平和を脅かす悪に立ち向かい、弱き者を守ろうとするその精神性。そこにこそ、イーサン・ハントの本質があります。
トム・クルーズの真摯な演技が、イーサンのキャラクターに説得力を与えています。不可能を可能にするスパイの姿は、多くの人に勇気を与えているのです。
『ミッションインポッシブル』が提示する、エンターテイメントの真髄
スリリングなアクションと、人間ドラマが絶妙に融合した傑作シリーズ
『ミッションインポッシブル』の真骨頂は、スリリングなアクションと緻密な物語が高次元で融合している点にあります。
ハイテクガジェットを駆使した潜入シーンや、手に汗握る格闘、爆破シーンの連続。それらが単なる見世物に留まらず、必然性を持ってストーリーに組み込まれているのです。
トム・クルーズ自らがアクションに挑み、リアリティを追求する姿勢も、シリーズの大きな魅力となっています。彼の身体を張った演技が、観客を映画の世界へと引き込むのです。
一方で、仲間との絆や、イーサンの苦悩と成長といった人間ドラマにも、しっかりとした深みがあります。ただのスパイアクションの枠を超えた、キャラクターの魅力がシリーズの生命線となっているのです。
娯楽大作としてのスケール感と、緻密に練られたストーリー性。その両立こそが、『ミッションインポッシブル』が長年愛され続ける理由なのではないでしょうか。
時代とともに進化を続ける『ミッションインポッシブル』シリーズ。それは、映画エンターテイメントの真髄を体現した、真の傑作シリーズと言えるでしょう。
不可能を可能にする、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントの活躍。それを楽しみに、これからも多くの人が映画館に足を運ぶことでしょう。
『ミッションインポッシブル』の輝かしい未来に、期待は尽きません。シリーズの更なる進化を望みつつ、私たちは次なるミッションを心待ちにしているのです。
