本コンテンツはあらすじの泉の基準に基づき制作していますが、本サイト経由で商品購入や会員登録を行った際には送客手数料を受領しています。
三銃士のあらすじ概要
『三銃士』は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる冒険活劇小説で、17世紀のフランスを舞台に繰り広げられるダルタニャンの活躍を描いた物語です。
物語の主人公ダルタニャンは、ガスコーニュ地方から夢と野心を抱いてパリへとやってきた青年。パリで出会った三人の銃士隊員、アトス、ポルトス、アラミスとの運命的な出会いをきっかけに、彼らと固い友情を結びます。
ダルタニャンと三銃士は、国王ルイ13世や王妃アンヌを守るために、次々と困難な任務に立ち向かっていきます。陰謀を巡らす宿敵ミレディとの戦いや、三銃士との揺るぎない絆は、物語の大きな見どころとなっています。冒険と友情に彩られた彼らの活躍は、今なお多くの読者を魅了し続けています。
あらすじ①ダルタニャン、パリで三銃士と出会う(起)
三銃士との運命的な出会い
ダルタニャンは、父から託された紹介状を携え、意気揚々とパリへと向かいます。しかし道中、赤い騎士と呼ばれる男に紹介状を奪われてしまいます。
パリに到着したダルタニャンは、銃士隊長ドゥ・トレヴィルに面会しますが、赤い騎士の一味と勘違いされ、問答無用で決闘を申し込まれてしまいます。決闘相手となったのは、当代きっての剣の達人である三銃士、アトス、ポルトス、アラミスでした。
ところが、決闘の最中に王側近衛隊に襲撃されたため、ダルタニャンは三銃士とともに敵と戦うことになります。窮地をともにしのいだことで、四者の間には固い絆が生まれ、以後ダルタニャンは彼らの仲間として行動を共にすることになったのです。
王妃の危機を救うためイギリスへ
王妃アンヌがイギリスのバッキンガム公爵に贈ったダイヤモンドの飾り紐が何者かに盗まれるという事件が発生します。国王への信頼を失いかねないこの一大事に、ダルタニャンは王妃の名誉を守るため、単身でイギリスへと飾り紐を取り返しに行くことを決意します。
一方、アトス、ポルトス、アラミスの三銃士は、別ルートで単独行動を取ることに。四者は、時にはバラバラに、時にはともに、幾度となく命の危機に直面します。教皇派の枢機卿リシュリューの刺客に付け狙われながらも、ダルタニャンは仲間たちの助けを借りて無事に任務を完遂するのです。
旅の途上で幾度となく窮地を迎えながら、力を合わせてこれを乗り越えていく場面からは、四者の間に芽生えた深い友情が描かれています。
あらすじ②銃士となったダルタニャン、国王を守り敵と戦う(承)
リシュリュー枢機卿の陰謀に立ち向かう
イギリスから無事に帰国したダルタニャンは、王妃を救った手柄が認められ、晴れて王府銃士隊に加わることとなりました。しかし、つかの間の平穏もむなしく、野心家で知られる枢機卿リシュリューの陰謀が、ダルタニャンたちに牙を剥き始めます。
リシュリューは美しき刺客ミレディを送り込み、ダルタニャンたちの命を狙います。一方で、国王ルイ13世の寵愛を受ける王妃アンヌの失脚をたくらみ、様々な策謀を巡らせていきます。王の心を掴んで政治的な実権を握ろうとするリシュリューの野望は、次第にエスカレートしていくのです。
この危機に、ダルタニャンと三銃士は一致団結して立ち向かいます。若く未熟ながらも正義感と勇気に満ちたダルタニャンと、確かな実力と冷静な判断力を持つ三銃士が力を合わせ、フランス王室を守るため死力を尽くして戦っていきます。
ミレディの罠に嵌るダルタニャン
リシュリューに仕える美しき刺客ミレディは、その抜群の美貌と鋭い知性で男たちを手玉に取り、策謀を巡らせていきます。
そんな彼女に、ダルタニャンは惹かれていきます。ミレディの魅力に心を奪われ、彼女との間に芽生えた恋心を抑えることができません。しかし、それこそがミレディの狙いだったのです。巧みに言葉を紡ぎ、ダルタニャンを翻弄していくミレディ。罠に嵌められたダルタニャンは、その度に窮地に陥ります。
あらすじ③愛するコンスタンスを失い、ミレディへの復讐へ(転)
ミレディの策略により恋人コンスタンスが毒殺される
ダルタニャンの想い人であるコンスタンス・ボナシューは、ミレディの魔の手によって拉致監禁されてしまいます。ミレディはダルタニャンを脅迫するため、コンスタンスを人質に取ったのです。
必死に逃げ出そうとするコンスタンスでしたが、ミレディに阻まれ、逆に毒を飲まされてしまいます。その知らせを聞いたダルタニャンが駆けつけますが、時すでに遅し。ダルタニャンに看取られながら、コンスタンスはその短い生涯を閉じたのでした。
最愛の人を失い、深い絶望に打ちひしがれるダルタニャン。しかし、それと同時に、恋人を奪ったミレディへの復讐心に燃え上がります。彼の胸には、断腸の思いと共に、かつてない程の怒りと憎しみが渦巻いていました。
激怒したダルタニャンと三銃士、ミレディを追う
無垢なコンスタンスを殺したミレディに対し、ダルタニャンの怒りは頂点に達します。「絶対に許さない」と復讐を誓います。アトス、ポルトス、アラミスの三銃士もまた、ダルタニャンの因縁を自分たちの因縁と捉え、コンスタンスの仇を取るべく、ダルタニャンに協力を申し出ました。
かくして、ダルタニャンと三銃士はフランス中を駆け巡り、ミレディの行方を追います。執念の捜索の末、ようやくミレディを追い詰めることに成功しました。しかし、狡知に長けたミレディはすんでのところで、巧みに逃亡を図ります。
それでもダルタニャンたちは決して諦めません。復讐の念に突き動かされるまま、執念深く追跡を続けた末、ついにミレディを捕らえることに成功するのです。私刑にも似た厳しい裁きを、彼らはミレディに下すことになるのでした。
あらすじ④ミレディ討伐、ダルタニャンと三銃士の友情(結)
ミレディの最期
ダルタニャンと三銃士は、ミレディを捕らえると、民衆の前で厳しく断罪します。今まで隠されていた彼女の数々の罪を白日の下に晒し、死刑を宣告したのです。
非道の限りを尽くし、多くの人々の人生を狂わせたミレディ。その罪の深さに相応しい結末として、彼女は処刑されることとなりました。悪事の限りを尽くした者が遂げる最期は、民衆にとってある種のカタルシスでもあったのです。
しかしダルタニャンの心中は晴れません。愛するコンスタンスの仇は取れたものの、果たしてそれで彼女は喜ぶのだろうか。そんな空虚感に苛まれながら、ダルタニャンはミレディの処刑を見届けるのでした。
生涯続く友情
ミレディという強敵を倒した後も、ダルタニャンと三銃士の固い絆は少しも揺るぐことはありませんでした。王妃を救った手柄が認められ、ダルタニャンは国王から褒賞を受けます。これを機に、彼は本格的に出世の道を歩み始めるのです。一方、アトス、ポルトス、アラミスもそれぞれの人生を歩んでいきます。
“一人は皆のために、皆は一人のために”という三銃士の精神を、ダルタニャンもしっかりと受け継ぎました。この教えを胸に刻み、正義と騎士道を全うすることを改めて誓うダルタニャン。英雄の道を歩み始めた彼を、これからも三銃士は変わらぬ友情で支え続けるのです。
登場人物紹介
ダルタニャン
物語の主人公。ガスコーニュ地方出身の貧しい貴族の青年で、王府銃士隊に入隊することを夢見てパリにやってきます。正義感が強く勇敢な性格ですが、少し短絡的に行動してしまうことも。誠実で情熱的な心の持ち主であり、三銃士との固い友情で結ばれながら数々の武勲を挙げていきます。
アトス
三銃士の中で最年長であり、最も冷静沈着。「ラ・フェール伯爵」という貴族の出自を隠しています。謎多き過去を持っていますが、義理堅く仲間想いな男。三銃士のリーダー的存在です。
ポルトス
陽気で朗らかな性格の持ち主で、三銃士の中で一番の女好き。実は貧乏貴族ですが、派手な身なりと楽天的な性格で周囲を魅了します。抜群の体格を誇り、勇猛果敢に戦いますが、感情的になりやすく時に窮地を招くこともあります。
アラミス
三銃士の中で最も若く、美男。聡明ですが、皮肉屋な一面も。本来は僧職に就くはずでしたが、三銃士の道を選びました。信心深く博識な青年ですが、恋愛には奔放。詩作の才能にも恵まれています。
ミレディ
本作の黒幕とも言える存在。枢機卿リシュリューの腹心である彼女は、物語の裏で数々の陰謀を企てます。類稀なる美貌の持ち主で、男たちを手玉に取りながら悪事を重ねていきます。過去には壮絶な人生が隠されており、アトスとは夫婦だったことが物語終盤で明らかになります。
三銃士の現代への影響
後続作品
『三銃士』は大反響を呼び、デュマはその続編として『二十年後』と『ブラジュロンヌ子爵』の二作品を発表しました。
『二十年後』は初作から20年後を舞台に、フロンドの乱と呼ばれる一連の反乱騒動を軸に物語が展開。ダルタニャンと三銃士はそれぞれの立場から、この歴史的事件に関わっていきます。ダルタニャンの息子ラウールも登場し、物語に新風を吹き込みます。
『ブラジュロンヌ子爵』では、ラウールが主人公に。若き銃士の活躍と、悲恋が描かれます。父ダルタニャンと、かつての盟友である三銃士の関係性にも、大きな変化が訪れます。
これら三作品は『ダルタニャン物語三部作』とも呼ばれ、フランス文学の金字塔として、現在も多くの人に愛され続けています。
世界中で愛される物語
『三銃士』の物語が世に出てから約180年。今なお、世界中で親しまれているこの作品の魅力は、何と言っても主人公ダルタニャンと三銃士の友情でしょう。正義感と勇気を持ち、困難に立ち向かっていく若者の姿に、多くの読者が共感し、勇気づけられてきました。
また、17世紀のフランスを舞台に、歴史的事件をも巧みに織り交ぜながら展開される冒険譚は、老若男女問わず引き込まれずにはいられません。ダルタニャンと三銃士の活躍を描いた映画や舞台、アニメなどは枚挙にいとまがなく、各国語に翻訳されて世界中で親しまれています。
『三銃士』が、これからも多くの人々の心に刻まれ、語り継がれていくことでしょう。友情と冒険の物語は、時代が変わろうとも色あせることはないのです。