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ジョジョの奇妙な冒険は荒木飛呂彦先生による、国民的漫画シリーズだ。1987年の連載開始から35年以上の長きに渡って愛され続け、今なお進化を続けている。主人公とその宿敵との世代を超えた戦い、個性豊かなキャラクター、ユニークな設定の数々は、日本のみならず世界中で多くのファンを魅了してきた。
まるで立ち並ぶ奇岩のように、一筋縄ではいかない物語の数々。読めば読むほど、荒木ワールドにのめり込んでいく。今回は長大なシリーズの全体像に迫るべく、第1部から最新作までを丸ごと解説する。ジョジョ初心者の方も、すでにファンという方も、ぜひこの機会に「ジョジョの奇妙な冒険」の魅力を存分に味わってほしい。
ジョジョの奇妙な冒険の魅力とは?独特の世界観とキャラクター造形に迫る
ジョジョあるある?「波紋」と「スタンド」に隠された奥深い設定
「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの大きな魅力は、「波紋」や「スタンド」といったバトルを彩る独自の設定にあります。「波紋」は呼吸法の一種で、体内のエネルギーを肉体強化や治癒に役立てる超常能力。一方「スタンド」は、精神エネルギーの人格化したようなもので、各キャラクター固有の特殊能力を持っています。どちらも奥深い設定と多彩な使い方で、ジョジョ世界に欠かせない要素となっています。
ジョースター一族と因縁の宿敵DIO、そして運命に抗う主人公たち
ジョジョシリーズのストーリーは、ジョースター一族とその宿敵・DIOとの因縁が大きな軸となっています。第1部の19世紀から第6部の21世紀まで、100年以上の時を超えて対立は続きます。そしてジョースター家の主人公たちは、その「運命」に抗いながらも、過酷な戦いの中で仲間と共に立ち向かい、自らの生き方を選択していくのです。シリアスとコメディを絶妙に織り交ぜた独特の世界観も、ジョジョの大きな魅力と言えるでしょう。
また忘れてはならないのが、荒木飛呂彦先生の生み出すキャラクターたちです。見た目のインパクトはもちろん、「無駄無駄無駄ァ!」などの印象的なセリフ、そして何より強烈に個性的な性格が魅力。音楽やファッションなどサブカルチャーへのオマージュも散りばめられ、作品の独自性を際立たせています。奇想天外な物語と最高にクールでエキセントリックなキャラクター造形。それこそが「ジョジョの奇妙な冒険」の本質なのです。
第1部 ファントムブラッド:ジョナサン・ジョースターの悲劇と希望
悪の化身と化したディオとの因縁、そして石仮面の謎
ジョジョの始まりとなる第1部「ファントムブラッド」。舞台は19世紀のイギリスです。主人公のジョナサン・ジョースターは名門貴族の息子。ある日、父親が連れてきた男がジョナサンの人生を大きく変えます。その男の名はディオ・ブランドー。ジョナサンの養子となったディオは、ジョースター家を乗っ取るべく画策します。やがて、古代の石仮面の力により、ディオは吸血鬼となり、ジョナサンに襲いかかるのです。
ズェップリンからの伝授…波紋疾走で切り開く未来への一歩
だが、ジョナサンも指をくわえて見ているだけではありませんでした。風来坊のツェペリからの「波紋」の伝授により、吸血鬼と戦うべく急成長を遂げます。仲間と共に、波紋疾走を武器にディオに立ち向かうジョナサン。最後はディオを倒すことに成功しますが、ジョナサンも息絶えてしまいます。ジョースター家と吸血鬼ディオの因縁は、この悲劇によって始まったのです。そしてこの物語は、ジョナサンの子孫へと受け継がれていくのでした。
第2部 戦闘潮流:怒りと笑いのコンビネーション、ジョセフの活躍
シーザーとの波紋修行と、ドイツ軍の陰謀
第2部「戦闘潮流」では、ジョナサンの孫にあたるジョセフ・ジョースターが主人公を務めます。ジョセフはいたずら好きで口が達者、波紋を使った予測不能なトリッキーな戦い方が特徴的。彼はメキシコに向かいます。目的は、メキシコで「柱の男」を探して消息を絶ったスピードワゴンを探すこと。ジョゼフは覚醒した柱の男「サンタナ」と遭遇し、戦いを制します。
柱の男との死闘、そしてカーズとの「究極生命体」対「究極なギャグ」の最終決戦
ローマにも3人の柱の男がいると知ったジョセフは、祖父ジョナサンの師ウィル・A・ツェペリの孫シーザー・A・ツェペリと合流し、ローマで復活した柱の男たち(ワムウ、エシディシ、カーズ)と戦いますが、彼らの圧倒的な力の前に敗北します。彼らのリングによる死の呪いを解くため、ジョセフとシーザーはリサリサの下で波紋の訓練を受ける。最終的にジョセフは柱の男たちとの激戦の末、彼らを倒し、自身は奇跡的に生還する。その50年後、ジョセフは日本へ家族に会いに行く。
第3部 スターダストクルセイダース:承太郎と仲間たちの50日間の大冒険
100年の時を超えて復活したDIO、そして目覚める「スタンド」能力
第3部「スターダストクルセイダース」は、ジョセフの孫・空条承太郎の物語です。なんと、ジョナサンを倒したはずのディオが、100年の時を経て復活。再び世界に暗黒の魔の手が迫ります。そんな中、承太郎は祖父ジョセフから「スタンド」という特殊能力に目覚めさせられます。スタンド(幽波紋)とは精神エネルギーの具現化で、承太郎のスタンド「スタープラチナ」は近接パワー型の強力なスタンドでした。
個性豊かな敵スタンド使いたちとの戦い、そしてカイロでのクライマックス
承太郎はジョセフ、そしてジョセフの友人アヴドゥルと共に、ディオ打倒へ旅立ちます。途中、ジャン・ピエール・ポルナレフ、イギーなどの仲間も加わり、50日間に及ぶ壮絶な冒険が始まります。行く先々で、ディオの刺客とも言える個性豊かなスタンド使いたちが立ちはだかります。承太郎たちはチームワークと機転で難敵を次々と撃破。そしてカイロでディオとの最終決戦が幕を開けます。
生き様が宿る「スタープラチナ」…承太郎の魂の一撃
ディオのスタンド「ザ・ワールド」は、時間を止める能力を持つ最強のスタンド。追い詰められる承太郎でしたが、ディオへの怒りと仲間への想いを胸に、「スタープラチナ」の力をさらに引き出します。そして時間停止の中で放たれる承太郎の魂の一撃。遂にディオは倒され、世界に平和が取り戻されるのでした。第3部は多くのファンに愛される人気シリーズとなり、スタンド能力バトルはここから本格的に始まったのです。
第4部 ダイヤモンドは砕けない:平和な日常に潜む「殺人鬼」の影
杜王町の守護者・東方仗助
1999年、DIO撃破から10年以上経った後の日本、杜王町を舞台に、高校生の広瀬康一が語る物語。空条承太郎は海洋冒険家として、隠し子である東方仗助の存在を知り、仗助に父と町に潜む邪悪なスタンド使いの情報を伝えます。仗助は母方の祖父の意思を継ぎ、町を守る決意を固めます。スタンド能力を覚醒させる「弓と矢」を巡る激闘の末、仗助は「弓と矢」を回収し、多数のスタンド使いと出会い、町を守る戦いを展開。ジョセフとの親子の絆も深まるのでした。
快楽殺人鬼、吉良吉影の最期
康一と漫画家岸辺露伴は、15年前に死亡した幽霊少女・杉本鈴美と出会い、彼女を殺した吉良吉影が杜王町で殺人を続けていることを知ります。事件の調査中、スタンド使い矢安宮重清が吉良に殺害され、吉良がスタンド使いであることが判明します。追い詰められた吉良は顔を入れ替え逃亡を図りますが、川尻早人の調査と行動により正体が暴かれ、仗助との対決の末、救急車に轢かれ死亡。鈴美の策により追放され、彼女も現世を去ります。ジョセフは正義の心「黄金の精神」が引き継がれることを確信し、アメリカへ帰国します。
第5部 黄金の風:イタリアを舞台にしたギャングスターバトル
ジョルノ・ジョバァーナの夢、そしてギャング「パッショーネ」の抗争
第5部「黄金の風」は、イタリア・ナポリが舞台。主人公ジョルノ・ジョバァーナはDIOの息子でありながら、正義感の強い少年。ギャングスター「パッショーネ」に入団したジョルノは、ボス・ディアボロの娘トリッシュを守るミッションを受けます。ブローノ・ブチャラティ率いるチームで、トリッシュを狙う暗殺者たちと戦いつつ、謎に包まれたボスの正体を探ります。しかし、ボス打倒に近づくほどに、仲間たちが犠牲になっていきます。
「ゴールド・エクスペリエンス」の真の力…ディアボロ打倒へ
幾度となく仲間を失い、悲しみに暮れるジョルノ。それでもなおボスに立ち向かう決意を固めた彼は、スタンド「ゴールド・エクスペリエンス」に眠る真の力に気付きます。一方ディアボロは、時間を消去できるスタンド「キング・クリムゾン」の能力で、ジョルノたちを翻弄。それでもなお、ジョルノの「覚悟」は揺るぎません。命がけで困難に立ち向かう仲間たちと共に、遂にディアボロを倒したジョルノ。彼はその後、パッショーネの新ボスとなり、ギャングの体質を変えていくのでした。
第6部 ストーンオーシャン:父の死の真相を追う、徐倫の戦い
グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所、広がる陰謀の輪
第6部「ストーンオーシャン」の舞台は、アメリカ・フロリダ州の孤島にある巨大刑務所。主人公・空条徐倫は、ひき逃げ犯として、この刑務所に収監されます。そこで徐倫は「DISC」と呼ばれる記憶媒体を巡る陰謀に巻き込まれていきます。その中心にいたのは、「ホワイトスネイク」のスタンドを持つプッチ神父。プッチの目的は、親友のDIOが探求していた「天国へ行く方法」を承太郎の記憶から得て、それを実行することでした。
全ての始まりはDIOにあり…空条家の宿命と、究極の選択
徐倫と仲間たちは、DISCを守り抜くため、そしてプッチ神父の企みを阻止すべく立ち上がります。その過程で、100年前からのジョースター家とDIOの因縁が明かされていきます。プッチ神父はDIOの遺した「天国へ行く方法」を実行に移そうとしていたのです。徐倫はスタンド「ストーン・フリー」の能力でプッチ神父に挑みますが、彼の最後の切り札により窮地に。そして物語は衝撃の結末を迎えます。ジョースター家の宿命に揺れながらも、徐倫は家族と人類の未来を切り開く究極の選択を下すのでした。
ジョジョ第7部以降 SBRユニバース :スティール・ボール・ランに幕を開ける新時代
因縁を越えて紡がれる、ジョニィ・ジョースターの物語
第7部「スティール・ボール・ラン」から、ジョジョはそれまでとは異なるパラレルワールドへと舞台を移します。19世紀アメリカで行われた大陸横断乗馬レースを舞台に、新たな主人公ジョニィ・ジョースターの戦いが幕を開けます。幼少期の事故で下半身不随となったジョニィは、「スティール・ボール・ラン」と呼ばれるレースに参加。その途上、スタンド能力「タスク」に目覚め、謎の遺体を巡る戦いに身を投じていきます。
7部「スティール・ボール・ラン」から8部「ジョジョリオン」へ
「スティール・ボール・ラン」編ではファニー・ヴァレンタイン大統領など強敵が立ち塞がりますが、仲間と共に戦い抜くジョニィ。やがて物語はジョニィの子孫へと受け継がれ、第8部「ジョジョリオン」へ。舞台は現代日本の杜王町で、記憶喪失の青年・東方定助が主人公を務めます。ジョースター家とは異なる因縁が定助を待ち受けていました。
ジョジョ初心者におすすめの読み方・楽しみ方
アニメから入る?漫画から入る?あなたに合った方法を見つけよう
ジョジョシリーズは長く、どこから始めればいいか迷う方も多いでしょう。アニメ派の方は、まずは第1部から第5部までアニメ化されているので、そちらから入るのがおすすめ。原作の独特な画面構成や擬音の演出もアニメならではの表現で楽しめます。一方漫画派の方は、荒木飛呂彦先生の画力の進化を追うのも一興。単行本も図書館に置いてある場合が多いので、気軽に手に取ってみてください。
気になる「あの部」から読み始めるのもアリ!「ジョジョ」の楽しみ方は十人十色
ジョジョの魅力は、それぞれのシリーズが独立した物語になっていること。ですので、途中の部から入ってもストーリーを楽しめます。例えば、スタンドバトルが本格的に始まる第3部から、日常の中に潜む「殺人鬼」の存在が印象的な第4部から読み始めるのもおすすめ。キャラクターや独自の世界観など、好みの部から入るのもアリでしょう。大切なのは、自分なりのジョジョの楽しみ方を見つけること。ぜひ奇妙な冒険の世界に、足を踏み入れてみてください。