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寒山拾得とは?禅問答が有名な森鷗外の短編小説
『寒山拾得』は、森鷗外による1916年発表の短編小説です。唐代中国の伝説的な禅僧である寒山と拾得の物語を題材にしています。
鷗外は、寒山と拾得が体現する「日常の中の悟り」という禅の思想に強く惹かれ、この作品を執筆しました。俗世間の価値観から自由な2人の姿を通して、人間存在の本質に迫る内容となっています。
国宝級の名僧でありながら、風変わりで奔放な言動をする寒山と拾得。鷗外はユーモアを交えつつ、彼らの問答に禅の真理を見事に織り込んでいます。
寒山拾得のあらすじを簡単に紹介!
閭丘胤が国清寺を訪れる
物語は、官僚の閭丘胤(りょきゅういん)が台州の地方長官として赴任するところから始まります。
道中、閭丘胤は国清寺の住職・豊干禅師と出会います。豊干は国清寺に徳高い寒山・拾得がいることを告げ、彼らに会うことを勧めます。
閭丘胤は豊干の言葉に心惹かれ、国清寺に向かうことに。純粋に禅の教えを求める閭丘胤の姿が印象的に描かれます。
伝説の2人、寒山と拾得に出会う
国清寺で閭丘胤を出迎えたのは、風変わりな2人の僧侶でした。寒山は乱れた髪に口ひげを蓄えた風貌、拾得は知的障害者のような寺の掃除係です。
名僧と聞いていた閭丘胤は面食らいますが、2人に話しかけます。すると2人は大声で笑い、その場から逃げ去ってしまいます。
寒山拾得を知るための関連情報
森鷗外『寒山拾得』は、新潮文庫など様々な文庫本で読むことができます。
鷗外自身の「寒山拾得縁起」という一文では、本作執筆の背景について述べられています。作品世界をより深く知るための手がかりとなるでしょう。
また、吉川英治の小説『寒山拾得』は、同じ題材を現代的な視点で描いた作品です。森鷗外との比較を楽しむのもおすすめです。
100年以上前に発表された『寒山拾得』ですが、現代に通じる普遍的なテーマを内包した名作です。ぜひ一度原作に触れ、鷗外文学の深淵を味わってみてください。