【ネタバレあり】映画『エレファントマン』あらすじ、キャスト、見所を徹底解説!

『エレファント・マン』基本情報

ストーリー

19世紀のロンドン。ジョン・メリックは生まれつき奇形で、「エレファント・マン」と呼ばれ見世物小屋で働かされていた。ある日、外科医のトリーヴスがメリックを見つけ、彼を引き取る。当初メリックには知的障害もあると思われたが、実は芸術を愛する心優しい青年だった。トリーヴスや女優のケンドール夫人と交流するうちにメリックは心を開いていくが、世間に知られるようになると新たな悲劇が待ち受けていた。

キャスト

  • ジョン・メリック役:ジョン・ハート(吹替:国広富之)
  • フレデリック・トリーヴス医師役:アンソニー・ホプキンス(吹替:田中信夫)
  • ケンドール夫人役:アン・バンクロフト(吹替:阿部寿美子)
  • バイツ(モデルはトム・ノーマン)役:フレディ・ジョーンズ(吹替:熊倉一雄)

スタッフ

  • 監督:デヴィッド・リンチ
  • 製作:ジョナサン・サンガー
  • 製作総指揮:スチュアート・コーンフェルド、メル・ブルックス
  • 脚本:クリストファー・デヴォア、エリック・バーグレン、デヴィッド・リンチ
  • 音楽:ジョン・モリス

受賞歴

アカデミー賞では作品賞、主演男優賞など8部門にノミネート。英国アカデミー賞では作品賞と主演男優賞を受賞。その他、セザール賞、ゴールデングローブ賞などを受賞。

『エレファント・マン』の見どころ4選

実在の人物ジョゼフ・メリックの半生を映画化

本作は実在の人物、ジョゼフ・メリックの半生に基づいて製作された。ジョゼフは生まれつき奇形で「エレファント・マン」と呼ばれ、見世物小屋で働かされていたが、ロンドン病院のトリーヴス医師に保護され、晩年は医師の庇護のもと、静かに暮らした。本作はこの実話を基に、彼の人生を丁寧に描いている。

ジョン・ハートの名演技

ジョン・ハートが演じるジョン・メリックは、外見だけでなく内面も見事に表現されている。重厚なメイクを施されたハートは、身体を歪めた所作、健常者にはない独特の滑舌で観る者の心を捉える。メリックの人間性、純粋さ、芸術への感性を巧みに演じ分けており、ハートの演技力の高さを示す作品となっている。

デヴィッド・リンチ監督の美しい映像表現

モノクロ映像で描かれる19世紀ロンドンの市井の情景は、荒涼としながらも詩情があり、観る者を引き込む。特に、メリックの心情を象徴するかのようなゾウの幻影や、劇場の天井のシャンデリアなど、リンチ独特の幻想的かつ美しい映像が光る。後のリンチ作品に通じる映像美を堪能できる。

人間の尊厳とは何かを問う

本作は、外見と内面のギャップ、弱者の尊厳、偏見と差別など、普遍的なテーマを内包している。ジョン・メリックは奇形ゆえに忌み嫌われ、見世物にされるが、実は純粋で芸術を愛する心優しい青年だった。一方、外見は普通でも、彼を見世物にしていた人々の内面の醜さが浮き彫りになる。人間の尊厳とは何か、本当の美しさとは何かを考えさせられる作品だ。

『エレファント・マン』の重要シーン

トリーヴス医師との出会い

トリーヴス医師はメリックを見世物小屋で見かけ、関心を抱く。彼を小屋から連れ出し、医師の元で暮らせるよう計らう場面は、メリックの人生の転換点となるシーンだ。

優しさに触れるメリック

病院でケンドール夫人から鏡を贈られたり、趣味の模型作りを褒められたりと、メリックは初めて人としての優しさに触れる。純粋に喜ぶ彼の姿が印象的だ。

精神的成長を遂げるメリック

周囲の助けもあり、メリックは次第に自信をつけ、本を読み、劇場に出かけるなど、知的にも精神的にも成長していく様子が丁寧に描写されている。

感動のラストシーン

自分の人生は「めでたし、めでたし」だったと言い残し、眠るように息を引き取るメリックのシーン。彼は決して幸せではない人生だったが、最後は安らかな表情で逝った。悲しみと安堵が入り混じる感動的なシーンだ。

『エレファント・マン』が伝えたかったこと

外見だけで人を判断してはいけない

メリックは奇形ゆえに忌み嫌われたが、内面は誰よりも美しい人物だった。一方で、外見は普通でも、彼を見世物にした人々の内面は醜かった。外見と内面は必ずしも一致しないと、この作品は訴えている。

人間の尊厳とは何か

トリーヴス医師がメリックを見世物小屋から救い出すシーンは、人間の尊厳を尊重することの大切さを示している。どんな人でも、人として尊重され、扱われるべきだというメッセージが込められている。

真の優しさと思いやりの大切さ

周囲の人々に優しく接せられ、メリックは豊かな人間性を開花させていった。人は、他者から真の優しさと思いやりを受けることで、自身の美しさを発揮できるのだ。

『エレファント・マン』の余韻に浸る

モデルとなった実在のジョゼフ・メリックについて

ジョゼフ・メリックは1862年、イギリスのレスターで生まれた。幼少期から体に奇形があり、母から虐待を受けて育った。20歳頃から見世物小屋で働かされるようになったが、1884年、ロンドン病院のトリーヴス医師に出会い、彼の庇護下で暮らすようになる。以降、病院で模型作りなどの才能を発揮、王室からの訪問も受けた。1890年、27歳でこの世を去った。

ジョゼフ・メリックの波乱に満ちた生涯

ジョゼフ・メリックは、生まれながらの奇形ゆえに壮絶な人生を送った。母から虐待を受け、見世物小屋では人々の好奇の目にさらされ続けた。しかし、トリーヴス医師との出会いによって、彼の人生は大きく変わる。医師に才能を見出され、人々から尊敬を集めるようになったメリック。わずか27年の生涯だったが、悲惨な状況から一転、幸福を掴んだ生涯だった。

デヴィッド・リンチ監督の他作品も見てみよう

『エレファント・マン』で注目を浴びたデヴィッド・リンチ監督。ミステリアスかつ幻想的な映像美は、リンチ監督の大きな魅力だ。代表作には、『ブルーベルベット』『ツインピークス』『マルホランド・ドライブ』など。独創的な世界観は唯一無二。ぜひ他作品も鑑賞してみてほしい。

同じく社会的弱者を描いた映画との比較

社会的弱者をテーマにした映画は数多くあるが、『エレファント・マン』は特に秀逸な作品だ。例えば『レインマン』は、自閉症者を主人公に据えた作品。しかし、『レインマン』が自閉症という個別のテーマに焦点を当てているのに対し、『エレファント・マン』は人間の尊厳という普遍的テーマを描いており、より深い感銘を与えてくれる。