【ネタバレあり】映画『すずめの戸締まり』のあらすじと見どころ徹底解説!

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目次

『すずめの戸締まり』作品情報

公開日と上映時間

『すずめの戸締まり』は、2022年11月11日に日本で公開されました。上映時間は122分です。

スタッフとキャスト

本作の監督・脚本は新海誠。キャラクターデザインを田中将賀、アニメーション制作をコミックス・ウェーブ・フィルムとSTORY inc.が務めています。
主要キャストは、岩戸すずめ役に原菜乃華、森嶋草太役に松村北斗(SixTONES)、岩戸環役に深津絵里、大井ほたる役に伊藤沙莉など、実力派俳優陣が名を連ねました。

興行収入と評価

公開から7週目までで興行収入100億円を突破し、最終的には国内149.4億円、世界興収$324,185,112を記録しました。各種映画賞でも高く評価され、第46回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞と最優秀音楽賞を受賞しています。

作品の舞台モデル

物語の舞台となった場所は、宮崎県、愛媛県、岡山県、神戸など日本各地に点在しています。新海監督は取材を通じて、それぞれの土地の魅力や記憶を映画に織り込んでいます。公開後は”聖地巡礼”が話題となり、モデルとなった場所を訪れるファンが続出しました。

「すずめの戸締まり」簡潔なあらすじ(ネタバレなし)

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

作品の基本情報

『すずめの戸締まり』は、宮崎の田舎町に暮らす女子高生・岩戸すずめが、旅の青年・森嶋草太と出会い、日本各地に散らばる不思議な”扉”を閉じる冒険の旅に出るファンタジーロードムービー。監督は『君の名は。』『天気の子』の新海誠。

物語の簡単な紹介

  • ・すずめは東日本大震災で両親を亡くし、叔母に引き取られて育った17歳の女子高生。
  • ・”扉”を閉じる旅をする青年・草太と出会い、一緒に旅に出る。
  • ・日本各地の美しい風景を舞台に、ふたりは”扉”に隠された秘密を解き明かしていく。
  • ・地震や災害の記憶と向き合い、すずめは成長していく。
  • ・現実と異世界をつなぐ”扉”の象徴的な意味とは?ふたりの冒険の行方は?

以上が本作のあらすじの骨子です。続いて、物語の詳細を追っていきましょう。

「すずめの戸締まり」詳細なあらすじ(ネタバレあり)

プロローグ:主人公すずめの境遇

物語の主人公・岩戸すずめは、東日本大震災で両親を亡くし、叔母の岩戸環に引き取られ宮崎の田舎町で暮らす17歳の女子高生です。ある日、幼い頃の自分が母を探し続ける夢を見ます。夢の中で、疲れ果てた幼いすずめを見つめる一人の女性の姿がありました。

出会い:森嶋草太との運命的な出会い

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

登校中、すずめは旅をしている青年・森嶋草太とすれ違います。彼に興味を持ったすずめは後を追い、草太が見つめる一つの古い扉を発見。好奇心から扉に触れると、広大な異世界が広がっていました。そこですずめは、石から白猫に変身した不思議な存在と遭遇します。

冒険の始まり:日本各地の不思議な扉

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

学校に遅刻したすずめは、山から立ち上る煙を目撃します。再び草太のもとへ駆けつけると、彼は必死に扉を閉じようとしていました。大きな揺れとともに、街は大混乱に。すずめは草太とともに扉を閉じることに成功します。後に草太から、自身が”扉”を閉じる”閉じ師”であることを聞かされます。彼について日本各地を旅する中で、すずめは白猫・ニャンパチこと後のダイジンと再会し、絆を深めていきます。

すずめの心の傷と成長

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

すずめと草太の旅は、東京、愛媛、神戸など各地に点在する”扉”を巡る冒険となります。現実世界の美しい風景と、”扉”の向こうに広がる不思議な異世界。道中でさまざまな出会いを重ねる中で、すずめは草太への好意や信頼を育んでいきます。一方ですずめの前に現れる、地震の記憶や幼い自分の姿。彼女は自身の過去の傷と向き合いながら、旅を通して少しずつ成長していくのです。

扉の謎と災厄の正体

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

旅の途中、ダイジンはサダイジンという存在と対峙します。やがて、日本列島の地下に潜む”ミミズ”の存在が明らかになります。閉じられなかった”扉”から、ミミズは地上に現れ、地震や災害を引き起こしているのです。果たしてすずめと草太は、”扉”の謎を解き明かし、ミミズの脅威を退けることができるのでしょうか。

クライマックス:扉を閉じる戦い

物語はクライマックスを迎え、ついに最後の”扉”への対決の時を迎えます。ミミズを封じるため、草太は自らを”要石”とする覚悟を決めます。すずめは必死に草太を救おうとしますが、彼の決意は固く、草太の想いを胸に、ともにミミズに立ち向かいます。

エピローグ:新たな日常の始まり

時は流れ、すずめと草太がすれ違った道で、”閉じ師”となったすずめは、帰ってきた草太の姿を見つけ、「おかえり」と微笑みかけるのでした。

以上が、『すずめの戸締まり』の詳細なストーリーです。現実と異世界を繋ぐ”扉”を巡る不思議な冒険と、震災による喪失と再生を描いた感動の物語。次は、本作のみどころを考察していきましょう。

登場人物とキャラクター紹介

岩戸すずめ(主人公・17歳の女子高校生)

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

東日本大震災で両親を亡くした17歳の女子高校生。明るく前向きな性格だが、大切な人を失った心の傷を抱えている。旅を通して草太と出会い、彼とともに成長していく。声優は新人の原菜乃華。

森嶋草太(青年・旅をする”閉じ師”)

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

日本各地を旅しながら、”扉”を閉じる使命を担う青年。一匹狼だが、すずめとの出会いによって徐々に心を開いていく。声優はSixTONESの松村北斗。

ニャンパチ/ダイジン(謎の白猫)

(C)「すずめの戸締まり」製作委員会

最初は石だったが、白猫の姿に変身した不思議な存在。すずめに懐き、旅に同行する。後に大事な役割を果たすことに。声優は花澤香菜。

以上が、本作の主要登場人物です。それぞれに個性的なキャラクターが物語を彩り、魅力的な人間ドラマを生み出しています。彼らが織りなす絆と葛藤が、作品に厚みを与えているのです。

『すずめの戸締まり』の見どころ解説

新海誠ワールド全開の美しい映像美

『すずめの戸締まり』の最大の魅力は、新海誠監督ならではの圧倒的な映像美にあります。現実世界の日本各地の風景が、繊細で写実的なタッチで丁寧に描かれ、スクリーンいっぱいに美しい景色が広がります。一方で、”扉”の向こうに見える異世界の幻想的でシュールな空間表現も印象的。この現実と非現実の対比が、物語に深みと広がりを与えています。

日本各地の丁寧に描かれた背景美術

宮崎、愛媛、岡山、神戸など、日本各地のロケーションが物語の舞台として登場します。それぞれの土地の自然や街並み、生活風景が丁寧に背景美術として再現されており、まるで実際にその場所に立っているかのような臨場感が味わえます。新海監督が各地を訪れ、そこに暮らす人々の思いを映画に込めたことで、リアリティのある美しい景色が生まれています。

「ことば」と「想い」の象徴としての扉

作中に登場する”扉”は、現実と異世界をつなぐ象徴的なモチーフとして機能しています。扉の向こうには、人々の記憶や感情、無意識の世界が広がっており、それは地震によって失われた大切なものの喪失と再生を表しているようです。同時に、草太の言葉を借りれば、”扉”は「綺麗事や優しい嘘」を意味し、それを閉じることで真実と向き合うことの象徴ともなっています。

クライマックスの盛り上がりと感動

終盤、ミミズを巡る戦いが最高潮を迎えます。すずめと草太、そしてダイジンの3人が力を合わせて災厄に立ち向かうシーンは、アクションとドラマが見事に融合した映画の見せ場となっています。そしてクライマックスで明かされる草太の覚悟と、すずめの決断の先にある感動の結末。全編を通して丁寧に積み重ねてきた感情が、ここで一気に爆発します。

RADWIMPSの主題歌とリンクする演出

RADWIMPSが担当した主題歌「すずめ」「カナタハルカ」の2曲は、すずめと草太の心情を見事に表現しています。疾走感のあるサウンドと叙情的な歌詞が、草太とすずめの冒険と絆、喪失と再生のテーマを盛り上げ、印象的なシーンでは楽曲と映像演出が響きあって、物語に感動を与えています。音楽と映像の幸福なコラボレーションも、本作の大きな魅力と言えるでしょう。

「すずめの戸締まり」のテーマ考察

現実と異世界をつなぐ”扉”の象徴性

『すずめの戸締まり』に登場する”扉”は、現実世界と異世界をつなぐ象徴的なモチーフです。扉の向こう側には、人々の記憶や無意識、忘れ去られた想いが眠っています。また扉は、隠したい真実から目を背ける「綺麗事」の象徴でもあります。草太とすずめが”扉”を閉じる行為は、現実から逃避するのではなく、真実と向き合うことを意味しているのです。

災厄と再生がもたらす人々の絆

東日本大震災という未曾有の災厄は、多くの悲しみと喪失をもたらしました。しかし同時に、困難を乗り越える中で生まれる人と人との絆の大切さも浮き彫りにしています。すずめもまた、草太との出会いと別れを通して、かけがえのない絆を手に入れました。災厄は人々から多くを奪いましたが、そこから再生する希望の芽吹きと絆の深まりを描くことで、作品は明るいメッセージを伝えているのです。

旅を通じた主人公の心の成長物語

『すずめの戸締まり』は、何より主人公・すずめの成長物語でもあります。草太との出会いによって、全国津々浦々の”扉”を巡る旅に出たすずめは、様々な経験を積み重ねていきます。かつての震災の傷と向き合い、草太との絆を育み、最後は一人の”閉じ師”として新たな人生を歩み出します。まさに旅を通した一人の少女の心の成長を丁寧に描いた作品と言えるでしょう。

日本独自の神話・伝承とのリンク

物語の根底には、日本古来の神話や伝承の影響が見て取れます。”扉”の先に広がる異世界や、日本の各地に点在する「聖地」のモチーフ、すずめの名前の由来となった神話上の人物「アメノウズメ」への言及など、所々で日本の物語文化との繋がりを感じさせます。現代の日本を舞台としながらも、その奥底に流れる古の想いを汲み取った壮大な物語が展開されているのです。

新海誠作品に通底する「切なさ」と「儚さ」

新海誠監督の作品には、「切なさ」や「儚さ」のテーマが通底しています。『君の名は。』や『天気の子』もそうでしたが、『すずめの戸締まり』では、地震によって失われた大切なものへの「切なさ」と、旅の中で織りなされる一期一会の出会いの「儚さ」が胸を打ちます。ラストで再会を果たすすずめと草太の姿に、切なくも力強い人生のメッセージを感じずにはいられません。これぞまさに、新海ワールド。私たちはその美しさと儚さに、いつまでも魅了され続けるのです。

『すずめの戸締まり』まとめ

魅力的な登場人物と美しい映像が紡ぐ冒険譚

『すずめの戸締まり』は、個性豊かな登場人物たちが織りなす冒険ファンタジーです。新海誠監督の真骨頂とも言える美しい背景美術と、繊細な心理描写が生み出す映像美は圧巻の一言。RADWIMPSの楽曲が彩りを添え、スクリーンいっぱいに広がる映像体験は、観る者の心を捉えて離しません。

災厄と再生をめぐる重層的なテーマ

東日本大震災という災厄をモチーフに、喪失と再生、現実と異世界、絆と成長など、多様なテーマが重層的に描かれています。ファンタジー設定を通して描かれる”扉”の象徴性は、単なる異世界トリップに留まらない、深い意味を持っています。ラストに明かされる草太の秘密と、すずめの選択の先にある感動の結末は、観客の心に染み入ることでしょう。

日本各地の舞台設定と綿密な世界観構築

舞台となった日本各地のロケーションは、それぞれが物語の転換点となる重要な意味を持っています。宮崎、愛媛、岡山、兵庫など、旅の途中で訪れる土地が丁寧に描かれ、まるでその場所に迷い込んだかのような感覚を覚えます。作中では古い神話や伝承へのリンクも随所に散りばめられ、綿密に構築された”すずめの戸締まり”ワールドを創り上げています。

RADWIMPSの楽曲が彩るすずめの心の機微

RADWIMPSによる主題歌「すずめ」「カナタハルカ」、そして挿入歌の数々は、すずめと草太の心情を見事に表現しています。疾走感溢れるサウンドと叙情的な歌詞は、まさに物語の転換点で流れ、すずめの胸の内を代弁するかのようです。楽曲と映像が織りなすコラボレーションは、新海作品の新たな魅力を生み出しています。

新海誠監督渾身の最新作

『すずめの戸締まり』は、新海誠監督渾身の最新作であり、集大成とも言える作品です。「切なさ」「儚さ」といった新海ワールドの象徴的なテーマを継承しつつ、喪失と再生、災厄と希望を描く重厚な物語は、新たな挑戦であり進化と言えます。美しい映像と叙情的な音楽、魅力的なキャラクター、ドラマチックな冒険と感動の物語。それらが見事に融合した本作は、新海監督の代表作の一つとして、記憶に残る傑作となるでしょう。

“扉”の先にある、一人の少女の、そして私たち自身の「明日」を想像させてくれる感動のファンタジー。『すずめの戸締まり』は、失って初めて気づく、大切なものの意味を教えてくれる物語なのです。