【ネタバレあり】映画「不能犯」の衝撃のラスト結末を解説!宇相吹の真の目的とは?

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1. 映画「不能犯」とは? 基本情報と簡単なあらすじ

(C)「不能犯」製作委員会

1-1. 作品概要と公開情報

2018年2月1日に公開された映画「不能犯」は、宮月新原作・神崎裕也作画の同名マンガを実写化した作品です。監督は白石晃士、脚本は山岡潤平と白石晃士が担当。主演は松坂桃李、共演に沢尻エリカ、新田真剣佑などが名を連ねました。上映時間は106分。犯罪ミステリー作品としての高い完成度が評価され、公開年の邦画興行収入ランキングでは7.7億円をあげる大ヒットを記録しました。

1-2. キャラクター紹介

松坂桃李演じる主人公・宇相吹正(うそぶきただし)は、「電話ボックスの男」の異名を持つ連続殺人犯。特殊な能力を使い、完全犯罪を成立させます。彼を追うのが、警視庁の若手刑事・多田友子(ただともこ)で、沢尻エリカが好演。凶悪犯に翻弄されながらも真相解明に挑みます。事件の重要参考人となる宇相吹の友人役を新田真剣佑が、多田の相棒刑事役を間宮祥太朗が演じるなど、若手実力派の共演にも注目が集まりました。

1-3. 全体のストーリー概要(ネタバレなし)

ある日、電話ボックスに「殺して欲しい人物の情報」が書かれた手紙が貼られる事件が発生。それは、「電話ボックスの男」と呼ばれる殺人鬼・宇相吹正の犯行だった。彼の殺人方法はマインドコントロールによるもので、警察は証拠不十分で立件できず、「不能犯」として扱われていた。宇相吹に振り回される新米刑事の多田友子は、難事件の真相に迫っていく。次第に明らかになる連続殺人の驚愕の事実とは? 宇相吹の真の目的は一体何なのか?

2. ラストシーンのネタバレと考察 – 宇相吹の真の目的

2-1. ラストの衝撃的な展開を詳細解説

物語のクライマックスで、多田刑事は宇相吹の親友だった高木優馬を人質に取られ、窮地に陥ります。高木は宇相吹の唯一の理解者で、多田もまた高木の協力で事件の核心に迫っていました。人質を盾に、宇相吹は多田に自首を迫ります。全ての事件の黒幕は警視庁の警部補・諏訪部だったのです。多田は真犯人を見抜いていましたが、その代償に親友の命が奪われてしまうのでした。諏訪部は自らの出世欲のために、宇相吹を利用し、裏で糸を引いていたのです。そして、宇相吹もまた、多田を罠にハメるために、親友の命さえ利用していたことが明らかになります。衝撃の最終局面、二人は銃を構えあい、宇相吹はニヤリと微笑むのでした。

2-2. 宇相吹の真の目的を読み解く

連続殺人の犯人として追われる宇相吹ですが、真の目的は別にありました。彼は、自らを「悪」として演じることで、「善」を体現する多田刑事の心の弱さを暴こうとしていたのです。多田もまた、正義感から時に過剰な行動に出る危うさを持っていました。それは、宇相吹にとっては「裏切り」以外の何物でもなかったのです。全ては、親友を人質に取られた時、多田がどう出るかの「実験」だったと言えるでしょう。そして、多田が諏訪部を見抜いていたことも、宇相吹の想定通りだったのかもしれません。

2-3. ラストへの伏線と謎の回収

終盤、事件の黒幕が諏訪部警部補だと発覚する場面は、よく見直すと伏線が散りばめられていました。多田が諏訪部を疑い始めるシーンや、高木が何者かに命を狙われるシーンなどです。また、高木の自宅に忍び込んだ宇相吹が、わざと自分の指紋を残していくのも、多田への挑発だったと分かります。一方、宇相吹の真の動機については、ラストでも曖昧に残されました。彼が多田を引きつけた理由、そして、どうして自分を「悪」に仕立てたのか。その謎は、視聴者の考察に委ねられているのかもしれません。

3. 作品の背景とテーマ考察

3-1. 監督・キャストの狙いと評価

白石晃士監督は、マンガ原作の深いテーマを丁寧に映像化したと評価されています。相反する「善」と「悪」、そして「正義」の皮を被った偽善を浮き彫りにする演出が光りました。松坂桃李と沢尻エリカの熱演も、作品の緊張感を高めています。役者たちの怪演が、観る者の倫理観を揺さぶります。

3-2. 原作マンガとの違いと映画の工夫

原作の連載期間は2013年から2020年まで。映画は、原作の完結前に製作・公開されました。そのため、映画のラストは原作とは異なるオリジナルの結末になっています。一方、犯人の動機や事件の背景など、物語の核となる部分は原作の設定を踏襲。マンガの世界観を崩さずに、映像ならではの表現を盛り込んだ点が評価されました。

3-3. 正義や善悪の観点から見るテーマ

この作品は、一見すると勧善懲悪のミステリーに見えます。しかし、「善」と「悪」の二元論では収まりきらないのが、登場人物たちの本質です。過剰な正義感から暴走する多田刑事、正義を悪用する諏訪部警部補、そして「悪」を演じる宇相吹。彼らを通して、人間の中に潜む光と闇が浮かび上がります。法や制度といった社会の「正義」も、時に個人を抑圧する側面があると言えるでしょう。

4. 「不能犯」映画のまとめと見どころ

4-1.ラストシーンのどんでん返し

唐突に思えるラストシーンですが、じつは物語全体のテーマを凝縮した重要な場面と言えます。多田刑事は、極限の状況下で「弱さ」をさらけ出してしまった。それこそが、宇相吹が暴こうとした人間の本質だったのです。私たちもまた、時に「正義」に盲目になっているのかもしれません。ラストのどんでん返しは、そんな倫理観の揺らぎを観客に突きつけているのです。

4-2. 登場人物の魅力と演技力

本作の最大の見どころは、松坂桃李と沢尻エリカの熱演でしょう。原作ファンの間では、キャスティングへの不安もありましたが、ふたりの演技は見事に原作の世界観を再現していました。松坂の内に秘めた狂気と、沢尻の熱い正義感。それぞれの役柄に深みを与えた演技は、観る者を引き込む力があります。また、新田真剣佑や間宮祥太朗らの脇を固める若手キャストの好演も光ります。

4-3. 犯罪ミステリー作品としての面白さ

一方、娯楽作品としての完成度も非常に高い作品です。次々と明かされる事件の真相、予測不可能な展開の連続は、ミステリーファンをも唸らせるでしょう。また、連続殺人のトリックを可能にした宇相吹の能力にも、SF的な設定ながらリアリティがあります。観客を飽きさせない緊迫したストーリー展開は、犯罪ミステリー作品としての王道を行くエンターテイメント性の高さを示しています。

「不能犯」は、ミステリーの面白さと、人間ドラマとしての深いテーマ性を兼ね備えた、まさに現代の問題作と言えるでしょう。衝撃のラストに隠された真意を読み解きながら、あなたなりの「解釈」を見つけてみてください。