【ネタバレあり】君の膵臓をたべたい 衝撃の結末と感動の物語

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映画「君の膵臓をたべたい」作品情報

原作情報

「君の膵臓をたべたい」は、住野よるによる2015年の青春小説であり、双葉社より出版された作者のデビュー作です。「本屋大賞」第2位を始め数々の賞を受賞し、発売から3年で累計発行部数300万部を突破する大ベストセラーとなりました。物語は高校生の「僕」と、クラスメイトの山内桜良との特別な時間を描いた感動作です。

映画情報

2017年7月、キャストに浜辺美波と北村匠海を迎え、実写映画が公開されました。監督は月川翔、脚本は吉田智子が務めています。原作の核心は守りつつ、12年後の世界を新たに描き加えたオリジナルストーリーが話題を呼びました。公開から2ヶ月で興行収入25億円を突破するヒット作となり、多くの観客を感動の渦に巻き込みました。

登場人物

本作の主人公は「僕」と、ヒロインの山内桜良です。「僕」は無口で他者との関わりを避ける孤独な少年。一方の桜良は病を抱えながらも明るくポジティブに生きる少女です。2人を取り巻く仲間に、桜良の親友・恭子、「僕」の唯一の友人・隆弘、恭子の彼氏・ガムくんがいます。映画版では12年後の「僕」と恭子も登場し、人生の意味を問いかけます。

【ネタバレ注意】君の膵臓をたべたいのあらすじ

出会いと衝撃の事実

高校生の「僕」は、ある日病院で1冊の文庫本を拾います。「共病文庫」と名付けられたその秘密の日記帳は、クラスメイトの山内桜良のものでした。日記には、桜良が膵臓の病で余命わずかであることが綴られており、「僕」はその事実に衝撃を受けます。桜良の病気のことを知った「僕」に、彼女は「死ぬまでにやりたいことリスト」の協力を依頼。交流のなかった二人の特別な時間が幕を開けます。

桜良の「死ぬまでにやりたいこと」

「僕」は、桜良の残された時間を最高のものにするため、彼女の願いを叶えることを決意します。二人はリストに沿って、美味しいスイーツを食べ歩いたり、旅行に出かけたりと、思い出作りに励みます。今までバラバラだった二人の心は、一つ一つの体験を重ねるごとに近づいていきました。しかし、親友の恭子は大切な桜良を「僕」に取られまいと、「僕」を拒絶します。

二人の特別な時間

リストを達成していく中で、「僕」は他者と関わることで得られる喜びを知り、少しずつ変化していきます。恭子との関係も徐々に修復されていき、夏休みには隆弘やガムくんとも交流を深めるようになりました。一方桜良は、「僕」に自分だけを見てくれる特別な存在として心を開き、本当の想いを伝えようとします。しかし、そこへ余命わずかの知らせが届きます。

桜良の最期

夏休み、入院中の桜良の病状が悪化したことを知った「僕」は、彼女のもとへ駆けつけます。残された時間はわずか。その事実に打ちのめされながらも、「僕」は恭子や仲間たちの協力を得て、桜良の最期の願いを叶えようと奮闘します。病に侵された体で必死に生きる桜良の姿に、「僕」は彼女への想いを募らせていきます。そして、桜良との最後の約束を胸に、強く生きていく決意をするのでした。

君の膵臓をたべたい 名シーンと名セリフ

「君の膵臓をたべたい」 衝撃のタイトルの意味

本作のタイトルとなった「君の膵臓をたべたい」というセリフは、物語の核心を突いた象徴的な一言です。病に蝕まれた自分の臓器を食べたいと願う桜良の皮肉と、病を乗り越えて生きる強さ。そして、彼女の身体の一部を自分の中に留めておきたいという「僕」への愛。このフレーズには、生と死、愛と再生、2人の絆といった本作のテーマが凝縮されています。深い意味を込めて放たれるこの衝撃のセリフは、多くの読者や観客の心に強烈に刻まれるシーンとなっています。

「仲良くなんかなりたくない。私、あんたのこと嫌いだから」 桜良の本心は?

病のことを知った「僕」に対し、最初は心を閉ざしていた桜良。図書室で本を読む「僕」に向かって放ったこのセリフは、一見すると冷たく突き放すような言葉ですが、実は彼女の精一杯の愛情表現でした。周囲との交流を避け、孤独を選ぶ「僕」に、桜良は強く惹かれていたのです。素直になれない彼女が「僕」との距離を縮めるために選んだ、不器用な関係の築き方。このシーンから、次第に心を通わせていく2人の姿が描かれます。

「人は死ぬ前に輝くっていうけど、私は君が眩しくて見えない」 本当の想い

福岡への旅行中、夜空を彩る花火を2人で見上げるシーン。満天の星空の下、「僕」の隣で花火に見とれる桜良は、その瞬間の「僕」の輝きに心を奪われます。「人は死ぬ前に輝くっていうけど、私は君が眩しくて見えない」というセリフは、彼女が「僕」に恋心を抱いていることの表れでした。桜良にとって特別な存在となった「僕」。生きる希望を与えてくれた「僕」への想いを、ここで初めて告白します。2人の心が結ばれる運命的な瞬間を描いた、本作屈指の名シーンです。

君の膵臓をたべたいが伝えるテーマとメッセージ

命の尊さと愛の意味

「君の膵臓をたべたい」が読者に問いかけるのは、命の尊さと愛の意味です。膵臓の病に冒され余命わずかな桜良は、「僕」との特別な時間の中で、一日一日を大切に生きることの幸せを実感します。彼女にとって、この出会いは孤独な日々に心の支えを与えてくれた、かけがえのないものでした。一方、桜良を失う悲しみを通して、「僕」は愛することの意味と、生きる意味を見出していきます。本作は、限りある命をどう生きるか、愛する者とどう向き合うかを深く考えさせてくれます。

生きる意味と絆の大切さ

「僕」の変化を通して描かれるのは、人との絆の大切さです。当初は他者との関わりを避けていた「僕」でしたが、桜良との思い出作りの中で、恭子や隆弘、ガムくんたちとの交流を深めていきました。かつては感じられなかった幸福感や充実感を、「僕」は仲間たちとの絆の中に見出します。桜良もまた、「僕」との絆に、生きる意味を感じていたのです。人は一人では生きられない―本作は、他者と心を通わせることの尊さを教えてくれる物語だと言えるでしょう。

人生において大切なものとは?

桜良の死は「僕」に大きな悲しみをもたらしますが、同時に、人生において本当に大切なものは何かを考えるきっかけともなりました。最期のシーンで、「僕」は桜良から教わった生きる意味を胸に、前を向いて歩み出します。読者もまた、登場人物たちの喜びと悲しみに寄り添うことで、かけがえのない人生の意味を見つめ直すのです。誰しもいつかは死ぬ―その事実を真摯に受け止め、今を精一杯生きることの尊さを本作は伝えています。一人一人の人生の物語に深く思いを馳せずにはいられない、心揺さぶる問いかけがここにあります。

【超考察】君の膵臓をたべたいの結末の意味とラストシーン解説

桜良の死の真相

「君の膵臓をたべたい」の衝撃の結末で、桜良は膵臓の病ではなく、通り魔に刺されて命を落とします。長く病魔と戦ってきた彼女を、世の中の理不尽な暴力が奪ってしまったのです。「本当の病気は膵臓の病気じゃない。この世界の病気なんだ」という桜良の言葉が、皮肉にも的中する形となりました。この予期せぬ展開は、命の儚さと不条理を物語っています。人生は思いがけない形で終わることがある―そんな現実の残酷さを、読者は突きつけられる思いがするでしょう。しかし同時に、だからこそ今を懸命に生きることの大切さを感じさせる結末でもあるのです。

「僕」はどう変わったのか

桜良を失った「僕」は、彼女の死を受け入れられずにいました。しかし、桜良の部屋で「共病文庫」を見つけたことで、「僕」の中に大きな変化が生まれます。「僕」は、桜良が自分と同じように孤独で、みんなと上手く付き合えなかったことを知るのです。そして、そんな彼女の唯一の理解者となれた喜びと、二度と会えない悲しみにも気づかされます。桜良との思い出を胸に、「僕」は前を向いて生きていく決意をするのでした。最愛の人の死を乗り越え、新しい人生を歩み出す姿は、読者に大きな感動を与えてくれるシーンです。

「共病文庫」の秘密とは

「共病文庫」は、「僕」と桜良の物語の始まりにして終わりを告げる、重要な小道具です。物語冒頭で「僕」が拾ったこの1冊は、実は最後の最後まで桜良の感情が記された秘密の日記帳でした。病と向き合い、「僕」との日々を懸命に生きた彼女の軌跡がここに記されています。そして、「僕」への愛のメッセージも。この本を通して、二人の物語は「僕」の中で生き続けていくのです。「共病文庫」は、儚くも美しい二人の絆の象徴と言えるでしょう。そして同時に、読者へと物語を引き継ぐ大切な役割を果たしているのです。

君の膵臓をたべたい 作品の評価と制作秘話

小説・映画の受賞歴

「君の膵臓をたべたい」は、発売直後から各種ランキングを席巻し、数々の賞を受賞しました。2016年の「本屋大賞」では堂々の第2位を獲得。「ダ・ヴィンチ 本のお楽しみ袋」や「TSUTAYA 年間文芸売上ランキング」など、様々なランキングで1位に輝いています。10代・20代を中心に絶大な支持を集め、珠玉の青春小説として高く評価されました。一方、映画版も公開3日間で興行収入10億円を突破する大ヒットを記録。「日本アカデミー賞」で話題賞と新人俳優賞をダブル受賞するなど、作品の完成度の高さが評価されています。

作者・住野よるからのメッセージ

著者の住野よるは、祖父の死をきっかけに「生」と「死」をテーマにした小説を書きたいと考えるようになったと言います。本作には、「死と向き合う物語を通して、生きることの意味を問いたい」という彼女の思いが込められています。儚くも強くたくましく生きる桜良の姿は、住野自身の分身でもあるのです。「膵臓の病気という設定は、桜良の生への強い意志を際立たせるために選んだ」とも語っており、命の尊さを訴える彼女の思いが伝わってきます。読者の心を震わせずにはおかない、登場人物たちの言葉の数々は、住野の真摯な筆致から生まれたものだと言えるでしょう。

映画化にあたっての監督・脚本のこだわり

映画「君の膵臓をたべたい」の大きな特徴は、原作にはない12年後の世界を軸にしたオリジナルストーリーにあります高校生だった「僕」と桜良の物語は、大人になった「僕」の回想シーンという形で描かれているのです。監督の月川翔は、「”今”を生きる若者に届けたい」という思いからこの構成を選んだと明かしています。一方、脚本の吉田智子が特にこだわったのは、桜良の人物像。「生と死が隣り合わせの17歳の少女を通して、今を生きる私たちに問いかけたい」という彼女の思いが、繊細な心理描写に表れています。2人の感性が融合することで、原作とはひと味違う感動が生まれたのです。

まとめ:君の膵臓をたべたいが教えてくれた大切なこと

「君の膵臓をたべたい」は、生と死、愛と再生をめぐる感動の物語です。桜良との出会いと別れを通して「僕」が学んだのは、限られた時間の中で精一杯生きることの尊さでした。誰しもいつか死ぬからこそ、一日一日を大切にし、自分らしく生きることが何より大事なのだと、桜良は教えてくれたのです。

そして、形のない「僕」と桜良の絆は、「共病文庫」を通して読者の心にも引き継がれていきます。愛する人を失う悲しみ、しかしその想いを胸に前を向いて生きること。そんな普遍的テーマ性と儚くも美しい青春の描写が、多くの人々の共感を呼んだのでしょう。

最後の桜良の言葉、「私、十七年間生きてきてよかった」。限られた時間の中で、その瞬間を全力で生きる。それこそが、私たち一人一人に与えられた使命なのだと、本作は教えてくれます。この愛と希望に溢れた物語を通して、かけがえのない毎日を生きる勇気をもらえる―「君の膵臓をたべたい」はそんな、いつまでも心に残る作品なのです。