【インターステラー】あらすじを20分で理解!ネタバレ解説と見どころ

「インターステラー」は、クリストファー・ノーラン監督が放つ2014年のSF超大作です。滅亡の危機に瀕した近未来の地球を舞台に、人類存亡をかけて新天地を探す宇宙飛行士の壮大な旅を描きます。

本記事では、「インターステラー」の全体のストーリーを、ネタバレを含みながらあらすじ形式で丁寧に解説していきます。主人公クーパーが愛する娘との別れを乗り越え、未知の星々を冒険する姿や、絶望の淵に立ちながらも使命を全うする宇宙飛行士たちの姿を追います。

また、親子の絆と愛情が奇跡を呼ぶまでの感動的な展開もしっかりとおさえていきます。映画史に残る名作SF巨編「インターステラー」の魅力を、余すところなくお伝えできればと思います。

目次

映画「インターステラー」とは?作品の基本情報

クリストファー・ノーラン監督が放つ、2014年の衝撃のSF巨編

「インターステラー」は、クリストファー・ノーラン監督による2014年のSF映画です。「ダークナイト」三部作や「インセプション」などで知られるノーラン監督が、弟のジョナサン・ノーランと共に脚本を手がけ、壮大なスケールで描く宇宙の旅が話題となりました。
主演は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒー。ヒロインを「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイが、マコノヒー演じる主人公の娘を「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャステインが演じるなど、実力派キャストが集結しています。さらにマイケル・ケインやマット・デイモンといったノーラン監督の盟友たちも脇を固めました。

地球の危機を救うため、ワームホールを通り新天地を探す冒険

「インターステラー」の物語は、近未来の地球が舞台。環境の悪化により食料危機が深刻化し、人類は絶滅の危機に瀕していました。元NASAのパイロットだったクーパー(マシュー・マコノヒー)は、ある日、秘密裏に進められていた宇宙探査計画「ラザロ計画」に招集されます。
科学者ブランド教授(マイケル・ケイン)の提案は、土星近くに発見されたワームホールを通り、新たに人類が移住可能な星を探すというものでした。家族との別れを決意したクーパーは、ブランド教授の娘アメリア(アン・ハサウェイ)ら仲間と共に、人類の命運を託された宇宙船エンデュランス号で旅立ちます

マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイら実力派キャストが集結

本作の主人公・クーパーを演じたのは、マシュー・マコノヒー。NASAパイロットという設定を生かし、知性と男らしさを兼ね備えた魅力的な人物像を作り上げました。
ヒロインのアメリアを演じたのは、アン・ハサウェイ。強い意志を持つ科学者でありながら、心の奥底に秘めた想いを繊細に表現しています。
マコノヒー演じるクーパーの娘・マーフ役は、ジェシカ・チャステイン。父との別れから、天才科学者へと成長を遂げる姿を好演しました。
そのほかにもマイケル・ケインやマット・デイモン、ケイシー・アフレックなど脇を固める豪華キャストたち。実力派俳優陣による説得力のある演技が、ノーラン監督の世界観を支えています。
本作は全米公開から1か月足らずで、全世界興行収入が5億ドルを突破するなど大ヒットを記録。最終的には6億7,500万ドル以上を稼ぎ出し、2014年の世界興収ランキングでも上位に食い込みました。映像美とサウンドが絶賛され、アカデミー賞では視覚効果賞を受賞しています。
人類の危機を舞台に描かれる壮大な物語と、親子の絆に焦点を当てた感動のヒューマンドラマ。「インターステラー」は、SF映画の枠を超え、多くの観客の心を揺さぶる現代の傑作として高く評価されているのです。

「インターステラー」のあらすじ①:地球の未来を賭けた計画

病害と砂嵐に蝕まれ、人類滅亡の危機に瀕した近未来の地球

「インターステラー」の物語が始まるのは、地球の未来が危機に瀕した近未来。作物の病害が蔓延し、文明の崩壊が進行していました。毎日のように発生する砂嵐は、地表を巨大な砂丘に変え果てていきます。
主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)は、かつてNASAのパイロットでした。しかし地球の危機により、もはや宇宙飛行士など不要の職業とされ、今は農場で娘のマーフ、息子のトムと共に、トウモロコシを育てながら暮らしています

元NASAパイロット、クーパーに託された人類存亡をかけた使命

ある日、クーパーは娘と共に、知性を感じさせる奇妙な現象に遭遇します。それをきっかけに、かつての上司だったブランド教授(マイケル・ケイン)と再会。実は教授はNASAの極秘施設で、ひっそりと人類存亡をかけたプロジェクトを進めていたのです。
そのミッションとは、土星の近くに突如出現したワームホールを通り、新たな恒星系へ到達すること。事前に派遣された探査隊から、いくつかの候補となる星が発見されていました。クーパーには、その候補星を調査し、人類移住の可能性を探る任務が託されます

土星近くに出現したワームホールを通り、新天地を探す壮大な計画

ブランド教授の計画は、まさに人類の命運を賭けた冒険でした。ワームホールの向こうには、地球に代わる第二の故郷となる可能性を秘めた星々が待っています。
クーパーは悩みますが、愛する子供たちのためにも、自分がその使命を引き受けるべきだと決意。12人の有人探査クルーの1人に選ばれ、48時間以内に旅立つことが告げられます。
地球と家族を救うため、未知の宇宙空間に飛び立つことを選んだクーパー。しかし、壮大な計画の裏で、別れを告げる父と子供たちの、哀しみに満ちた時間が流れ始めます。
家族のもとを旅立つクーパーに課された使命、それは人類の希望を宇宙の彼方に見出すこと。はたして、広大な銀河の中で、新たな地球は見つかるのでしょうか。人類の運命は、クーパーら探査隊の手に委ねられたのです。

「インターステラー」のあらすじ②:愛する娘との別れと旅立ち

ブラックホールの謎に挑む、科学者ブランドと運命の出会い

ミッションに旅立つクーパーが出会ったのは、ブランド教授の娘であるアメリア・ブランド(アン・ハサウェイ)でした。彼女はミッションの科学責任者を務める、優秀な科学者です。
しかしアメリアもまた、父との別れに心を痛めていました。最愛の人を失うかもしれない不安と、壮大な使命を果たさねばならない責任の狭間で揺れ動く彼女の姿に、クーパーは自身の姿を重ねます。
アメリアはクーパーに、ブラックホールを研究する科学者たちの仮説を語ります。その理論によれば、ブラックホールの中心には特異点があり、そこでは時空が歪んでいるのだと言います。はたしてブラックホールの先には何が待っているのか。アメリアの瞳には、未知への挑戦に燃える熱い炎が宿っていました。

人類の希望を乗せ、ワームホールをくぐり未知の宇宙空間へ

クーパーら探査チームは、人工知能ロボットのTARSを伴い、宇宙船エンデュランス号で土星へ。そこにあるワームホールに吸い込まれるように侵入し、未知の銀河へと到達します。人類の希望を乗せ、想像を絶する宇宙の旅が始まったのです。

「インターステラー」のあらすじ③:過酷な環境と絶望の淵

第一の候補惑星、予想外の高波

エンデュランスは土星近傍のワームホールを通り抜け、水の惑星を目指す。この惑星は超大質量ブラックホールガルガンチュアの最内軌道を回り、その強い重力の影響で惑星上の時間は地球の時間より遅い。クーパーたちが水の惑星に着陸すると、ミラー飛行士の残骸のみが見つかり、間もなく巨大な波が彼らを襲う。ドイルは死亡し、レインジャーのエンジンは水没し、離陸が遅れる事態となる。

時間の流れが違う世界、23年分の親子の思いが宿る記録

水の惑星から脱出したクーパーたちでしたが、ブラックホール近くでは重力の影響で時間の進み方が大きく異なっていました。エンデュランスに帰還した彼らを待っていたのは、23年分の時を経て壮年となったロミリー。そして地球から届いた、娘マーフからの23年分のメッセージでした。遠く離れた親子の絆と、すれ違う時の流れが胸を締め付けます。

マーフの重力の研究とブランド教授の嘘の衝撃

成長したマーフはブランド教授と共に重力の研究を進め、地球からの脱出可能にするスペースコロニーの打ち上げを目指していた。しかし、ブランド教授は重力方程式の解が不可能であることを長年隠していたと死に際に告白する。真実を知ったマーフは衝撃を受けるが、研究を続け、ブラックホールの特異点観測が必要だと理解する。ブランド教授の嘘と死をクーパーに報告するビデオレターをアメリアに送るが、自分がブランド教授の嘘知っていたクーパーに見捨てられたのではないかと涙する

「インターステラー」のあらすじ④:愛が導く奇跡と再会

惑星選択のジレンマと真実の暴露

エンデュランスの乗組員は燃料不足により、どの惑星を探査するか選択を迫られていた。クーパーとロミリーは生存信号を送るマン博士の惑星を推し、アメリアは恋人のエドマンズ飛行士の惑星を提案するが、エンデュランスは氷の惑星、すなわちマン博士の惑星へ向かう。到着後、マン博士は惑星が人類に適していると伝えるが、クーパーとアメリアはブランド教授の死と彼の嘘を知り、動揺する。マン博士はプランB、つまり人類の受精卵を新天地で孵化させることが真の目的だったと明かす。ブランド教授はプランBを隠すために真実を隠蔽していた。ロミリーはブラックホールからのデータ収集がプランAの成功に不可欠であるとし、TARSを送る提案をする

悲劇と生存の戦い: 氷の惑星からの脱出

ロミリーはマン博士のキャンプで通信装置の移植を行う中、マン博士はクーパーを裏切るが、クーパーはアメリアとCASEに救われるマン博士はエンデュランスの奪取を試みるが、ドッキングモジュールの問題で宇宙に投げ出され死亡し、エンデュランスは損傷を受けて軌道を外れる。クーパーとTARSはエンデュランスを大気圏外に押し上げる。エンデュランスは燃料と酸素が不足し、地球への帰還は叶わなくなる。クーパーとアメリアはブラックホールを利用してエドマンズの惑星への移動を計画し、人類の未来のためにプランBを遂行することを決意する。

ミッションの継承とテサラクトを通じた時間越えの交信

クーパーはエンデュランスをガルガンチュアに接近させ、TARSを乗せたランダーと共にアメリアを除く全員が脱出し、彼女にミッションを託す。クーパーとTARSはブラックホールに落下し、4次元のテサラクト空間に到達。そこで過去のマーフと交信し、特異点データをモールス信号で彼女に送る。マーフはこれを解読し、重力問題の解を見つける。その後、テサラクトは閉鎖し、クーパーは土星近くのスペースコロニーで目覚める。クーパーは年老いたマーフとコロニーでの再会を果たし、クーパーはアメリアを探すために旅立つ

【ネタバレ】「インターステラー」の見どころと鑑賞ポイント

ノーラン監督ならではのリアルな描写と心揺さぶる映像美

本作でも、ブラックホールや異次元空間、未知の惑星などの描写は圧巻の一言。最新の科学理論を基に、ありありと想像力をかき立てる映像が展開されます。
またノーラン監督の映画では、音楽も大きな役割を果たしています。「ダークナイト」シリーズなどを手がけたハンス・ジマーが、本作でも重厚で劇的なサウンドを生み出しました。映像と音楽が一体となって、観る者の感情を揺さぶります。
俳優陣の熱演も光る点です。マシュー・マコノヒーが情に厚い父親の姿を好演。アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステインらが、ヒロインたちの強さと脆さを見事に表現しています。
「インターステラー」は、スケールの大きなSFと繊細な人間ドラマが融合した、映画体験の傑作。ノーラン監督の真骨頂が遺憾なく発揮された作品と言えるでしょう。

「インターステラー」で描かれる科学理論をやさしく解説

ブラックホールの描写は、理論物理学者の監修により実現

「インターステラー」の見どころの1つが、SF作品でありながら最新の科学理論に基づいている点です。特にブラックホールの描写は、著名な理論物理学者キップ・ソーンの監修によって実現しました。
ブラックホールとは、重力があまりに強いために、光さえも脱出できない天体のこと。ノーラン監督はソーン博士の理論をもとに、ブラックホールの姿を忠実に再現したのです。
また、ガルガンチュアの内部で描かれた5次元空間も、ソーン博士の示唆を受けています。現代物理学の最先端をいく、時間と空間に関する大胆な仮説を、映像化したと言えるでしょう。

映画の中の「ワームホール」や「時間の相対性」を分かりやすく解説

本作のキーアイテムとなるワームホールも、一般相対性理論に基づく概念です。ワームホールとは、ブラックホールと白色ホールをトンネルのようにつなぐ、時空のショートカットのようなもの。現実には存在が確認されていませんが、理論上は可能とされています。
また、ミラーの星で1時間が7年に相当したエピソードは、アインシュタインの時間の相対性を表しています。重力が強いほど時間の進み方は遅くなる。大質量の天体に近づくほど、時の流れは歪むというのです。
これらの科学理論を、ドラマに盛り込みながら分かりやすく解説しているのも、本作の魅力と言えます。

SF映画でありながら、実在する科学理論に基づいた設定の数々

「インターステラー」は、ハードSF映画の枠を超えた傑作と言われています。それは、現代科学の理論に基づきながら、人間ドラマを展開させているからです。
作中では相対性理論、量子力学、ブラックホール、5次元宇宙論など、最先端の科学が数多く登場します。しかしそれらは、単なる小道具ではありません。ストーリーの根幹を成し、テーマ性を深めているのです。
人類の危機を救うためには、科学の力が不可欠である。しかしそれを扱うのは人間であり、愛する人を想う心が原動力となる。宇宙の姿を精緻に描きながら、人間賛歌を描き上げた「インターステラー」。それは、現代の科学と、変わらぬ人間の営みの物語だったのかもしれません。
まるで、愛が時空を超えるように。科学と人間性が融合した、希望に満ちた未来を指し示す作品なのです。