【いまを生きる】あらすじと感想 – 前向きに生きるための “詩の教え” とは?

映画「いまを生きる」の基本情報

「いまを生きる」は、1989年にアメリカで公開された青春ドラマ映画です。監督はピーター・ウィアー、脚本はトム・シュルマンが務めました。主演は当時人気絶頂だったロビン・ウィリアムズで、この作品でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。
若手俳優のロバート・ショーン・レナード、イーサン・ホーク、ジョシュ・チャールズらが生徒役で出演し、のちに大作映画の主役を務めるなど活躍の場を広げていきました。全米興行収入は9500万ドル以上を記録し、大ヒットを飛ばしました。
第62回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞の5部門でノミネート。見事、脚本賞を受賞しています。若者の感性を鋭く捉えた秀逸な脚本が高く評価されました。

「いまを生きる」のあらすじ – 若き日の情熱を呼び覚ます

新しい英語教師との出会い

1959年、バーモント州の名門男子全寮制学校・ウェルトン・アカデミー。自由な校風とは無縁のこの学校に、ジョン・キーティング先生(ロビン・ウィリアムズ)が新しい英語教師としてやってきます。
初めての授業で、キーティング先生は教室に並ぶ歴代卒業生の写真を見せ、こう語りかけます。
「この子たちはみんな、今はもうこの世にはいない。だが、君たちと同じように、かつては若くて、人生に希望を抱いていた。人生は儚い。だからこそ、今を精一杯生きるんだ」
型破りなキーティング先生の言葉に、生徒たちの心に熱いものがよみがえります。

「死んだ詩人の会」の復活

ある日、生徒のニール(ロバート・ショーン・レナード)は古い卒業アルバムの中に、「死んだ詩人の会」という文字を見つけます。それはキーティング先生が学生時代に親しんでいた詩の朗読サークルでした。
ニールと仲間たちは、こっそりと「死んだ詩人の会」を復活させます。放課後、森の洞窟に集まっては、バイロンやソローなど偉大な詩人の作品を朗読し合います。そこでは、普段は抑圧されている彼らの感性が解き放たれるのでした。

自分の人生を歩み始める若者たち

キーティング先生の「今を生きる」という言葉に心を揺さぶられた生徒たちは、次々と行動を開始します。
ニールは子供の頃からの夢だった役者への道を目指し、学校の秘密裏にシェイクスピア劇の主役オーディションを受けます。
シャイで大人しかったトッド(イーサン・ホーク)は、詩を書くことで自己表現の喜びを知ります。
ノックス(ジョシュ・チャールズ)は、想いを寄せる女性クリス(アレクサンドラ・パワーズ)に思いを告白。
彼女の心を溶かすことに成功します。
平凡な毎日を過ごしていた彼らが、「今」を全力で生きようと一歩を踏み出すのでした。

ニールの悲劇と、残された者たちの決意

ニールは無事オーディションに合格し、念願の舞台に立つことになりますが、それを知った父親から出演を激しく反対されてしまいます。
医者になることを父から強要され、自分の人生を生きられないことを悟ったニールは、拳銃で自ら命を絶ってしまうのです。
ニールの死をきっかけに、キーティング先生は教師としての責任を問われ、学校を去ることになります。
しかし、最後の授業でトッドをはじめとする生徒たちは、教壇の上に立ち、先生への感謝の気持ちを伝えるのでした。
悲しみに暮れる生徒たち。しかし、キーティング先生から教わった「人生を自分で選び取る」という信念を、彼らは胸に刻み続けるのです。

「いまを生きる」から学ぶ、人生を前向きに生きる方法

自分の価値観に従って生きること

キーティング先生はよく、ラテン語の格言「Carpe diem(その日を摘め)」を口にしました。これは「今を生きる」という意味で、人生で大切なのは、自分の価値観に従って生きることだと教えてくれています。
周りがどう言おうと、自分の情熱や夢を大切にする。そのためには、時に勇気を持って行動することが必要です。

時には型破りな行動が必要なこと

キーティング先生は、「人生観を変える」と言って、生徒を教室の机の上に立たせました。頭上の天井や、窓の外の景色。見える世界は一瞬で変わります。
常識の「枠」から一歩外に出れば、新しい価値観や発想が生まれる。そのためには、まず行動してみることが大切なのです。

仲間と心を通わせ、高め合うこと

詩の朗読を通して、ニールたちは感性を刺激し合いました。一人ではなく、仲間と語り合うことで、お互いの考えや価値観を共有できるのです。
信頼できる仲間がいれば、人は一人では成し得ないことができるようになります。時には厳しく指摘し合い、時には助け合う。切磋琢磨できる仲間は何よりの財産と言えるでしょう。

挫折を恐れず、夢に向かって頑張ること

ニールは夢を叶えようとして命を落としました。しかし、彼の姿は、夢を追い続けることの尊さを私たちに教えてくれます。
失敗を恐れずに頑張ることが大切です。
たとえ思い通りにいかなくても、自分なりに全力を尽くしたと胸を張れるなら、それはかけがえのない経験になるはずです。

まとめ:「いまを生きる」が伝えたかったメッセージ

「いまを生きる」は、56年も前に作られた映画でありながら、今なお色褪せないメッセージ性を持っています。
「人は誰でも、自分の人生の詩を書く権利がある」
これがこの映画の根底に流れるテーマだと言えるでしょう。

周りに流されるのではなく、自分の価値観を持って今を生きる。壁にぶつかっても、夢を追い続ける。仲間と支え合い、高め合いながら、人生の可能性を広げていく。
この映画を通して、一人でも多くの人が、人生と真摯に向き合うきっかけを掴んでくれたら嬉しく思います。