【あらすじ】「雪の女王」ゲルダとカイの絆の物語を簡単解説!

世界中で愛される童話「雪の女王」とは?

アンデルセンの代表作の1つ

「雪の女王」は、デンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって書かれた童話です。アンデルセンは、「人魚姫」や「みにくいアヒルの子」など、数多くの名作童話を生み出したことで知られています。中でも「雪の女王」は、彼の代表作の1つに数えられ、世界中で広く親しまれてきました。
深いメッセージ性を持ちつつも、子どもにも分かりやすいストーリー展開が特徴です。登場人物たちの冒険と成長を通して、勇気や愛の大切さを伝えています。また、美しい情景描写や印象的なセリフにも定評があり、文学的にも高く評価されている作品と言えるでしょう。

発表年と主な日本語訳

「雪の女王」が初めて発表されたのは、1844年のことでした。アンデルセンによる童話集『新しい童話集』の第1巻第2集に収録され、読者の前に姿を現しました。
日本での初訳は、1893年に内田魯庵によって行われました。題名を『雪女王』と改め、警醒社から出版されています。その後も複数の訳者によって翻訳され、現在に至るまで様々なバージョンが存在しています。
代表的な翻訳としては、大畑末吉訳(1959年、岩波少年文庫)や工藤直子訳(2006年、福音館書店)などが挙げられます。各訳者が持つ文体の違いを味わうのも、作品を読む楽しみの1つと言えそうです。

【ストーリーのあらすじ*ネタバレあり】少女ゲルダの冒険

仲良し幼馴染のカイとゲルダ

物語の主人公は、ゲルダという少女です。ゲルダには、カイという大切な幼馴染がいました。2人は隣同士に住んでおり、窓辺で一緒に遊ぶのが日課でした。
ある日、突然悪魔の鏡の破片がカイの目と心臓に突き刺さったのです。

カイの心変わりと雪の女王による誘拐

鏡の破片が刺さったことで、カイの心は一変してしまいます。優しかった彼は、ゲルダにも冷たくなってしまいました。
そんなある日、カイは1人でソリ遊びに出かけます。すると、白い毛皮のコートを着た美しい女性が現れました。雪の女王です。彼女はカイを魅了し、そのまま連れ去ってしまいました。

ゲルダ、カイを探して旅に出る

大切な幼馴染を探すため、ゲルダは旅に出ます。彼女は川に流されていく小舟に乗り込み、見知らぬ土地へと漂流します。
そこでゲルダは、不思議な魔法の庭園に迷い込みます。美しい花に囲まれた園の持ち主は、魔女でした。魔女はゲルダの記憶を奪い、カイのことを忘れさせてしまいます。しかし、薔薇の花を見た時、ゲルダは記憶を取り戻しました。カイを探す旅を再開します。

道中での数々の出会いと助けられるゲルダ

旅を続けるゲルダは、カラスに出会います。カラスは、カイが雪の女王の宮殿にいると教えてくれました。
その後、ゲルダは盗賊の一団に捕まってしまいます。しかし、盗賊の娘は彼女に同情し、トナカイに乗せて逃がしてくれました。
トナカイの案内で、ゲルダはラップランドのおばあさんとフィンランドの女性に出会います。2人はゲルダに暖かい服を与え、雪の女王の宮殿への道を教えてくれました。

雪の女王の宮殿に到着、涙で解けるカイの心の氷

ついに、ゲルダは雪の女王の宮殿にたどり着きます。宮殿の中では、カイが凍えそうになっていました。
ゲルダはカイに駆け寄り、彼を抱きしめます。暖かな涙が、カイの心に突き刺さっていた鏡の破片を溶かしていきました。
カイは我に返り、ゲルダとの再会を喜びます。

こうして、ゲルダとカイは自由を取り戻しました。故郷に帰った2人を、おばあさんが温かく迎えました。

物語のカギを握る3人の登場人物

主人公の少女・ゲルダ

ゲルダは、「雪の女王」の主人公である勇敢な少女です。幼馴染のカイを雪の女王から救うため、1人で旅に出ます。様々な困難に直面しながらも、諦めずにカイを探し続ける彼女の姿は、読者に勇気を与えてくれます。
ゲルダの特徴は、何よりも優しさと思いやりの心を持っていること。この性質が、旅の途中で出会った人々を味方につける要因になっています。

大切な幼馴染・カイ

ゲルダの幼馴染であるカイは、雪の女王に連れ去られてしまう不運な少年です。
もともとは、ゲルダと一緒に遊ぶのが大好きな優しい性格の持ち主でした。しかし、悪魔の鏡の破片が目と心臓に刺さったことで、性格が一変。美しいものにも興味を示さなくなってしまいます。
ゲルダとの再会によって、ようやく呪縛から解放されることになります。

カイを連れ去った雪の女王

物語のタイトルにもなっている雪の女王は、美しくも冷酷な存在として描かれています。白い毛皮のコートを身にまとい、カイを宮殿に連れ去ります。
女王はカイの心を氷で覆っていましたが、その正体は孤独と言えるかもしれません。

「雪の女王」が伝える感動のメッセージ

善悪や正義がテーマに

「雪の女王」には、善悪や正義のテーマが色濃く表れています。悪魔の鏡の破片によって心を悪くされたカイと、彼を助けようとする善良なゲルダの対比がその例です。
また、ゲルダが旅の途中で出会う人々には、善悪両方の性質を持つ者が登場します。しかし、最終的には彼女の優しさに心を打たれ、善の心を取り戻していきます。
私たちの心の中には、善悪両方の感情が存在しています。しかし、思いやりの心を忘れずにいれば、きっと正義の道を歩むことができる。そんなメッセージが込められているのかもしれません。

真実の愛の力

ゲルダの一途な想いは、カイを救う原動力となりました。雪の女王の宮殿で、カイを抱きしめたゲルダの涙は、彼の心に突き刺さった鏡の破片を溶かしたのです。
ここには、真実の愛が持つ力強さが表現されています。たとえ相手の心が凍り付いてしまったとしても、決して諦めずに想い続けることが大切だと教えてくれます。
愛する人を想う気持ちの強さは、奇跡をも起こすことができる。そんな希望に満ちたメッセージは、私たちの心を温かくしてくれるのではないでしょうか。

純粋な勇気が奇跡を起こす

ゲルダの旅は、小さな少女一人の力では到底追いつかないものでした。気力や体力の面でも、多くの困難が待ち受けていたことでしょう。
それでも、ゲルダは純粋な勇気を持って立ち向かっていきました。自分より大きな存在にも臆することなく、ただカイを助けたいという一心で。
結果的にゲルダの勇気は、カイを救うという奇跡を起こすことになります。
勇気とは、恐れを知らないことではありません。恐れを乗り越えて行動することなのです。「雪の女王」は、そんな勇気の本質を教えてくれる物語だと言えるでしょう。

まとめ:「雪の女王」の魅力を存分に味わおう!

「雪の女王」は、アンデルセンの数ある童話の中でも特に愛されている作品です。登場人物たちが織りなす冒険と友情、そして愛の物語は、私たちの心に深く刻まれることでしょう。
また、単なる童話の枠を超えて、勇気や正義の大切さを伝えてくれる点も魅力的。子どもから大人まで、幅広い層に親しまれているのもうなずけます。
ゲルダとカイの絆に感動し、雪の女王の美しさに目を奪われる。ページをめくる度に、そんな読書体験があなたを待っているはずです。ぜひ「雪の女王」の世界を、存分に味わってみてください。