『子宮に沈める』衝撃の結末!実話がベースのネタバレあらすじと徹底考察

本コンテンツはあらすじの泉の基準に基づき制作していますが、本サイト経由で商品購入や会員登録を行った際には送客手数料を受領しています。

映画『子宮に沈める』はどんな作品?注目ポイントを解説

『子宮に沈める』は、2013年に公開された社会派ヒューマンドラマです。本作は実際に起こった児童虐待事件をベースにしており、母親が育児放棄に至るまでの経緯や、子供たちの壮絶な生活が赤裸々に描かれています。

この作品はR18指定を受けており、子供への虐待や生々しい場面が多く登場するため、視聴の際は十分注意が必要です。しかし、そのショッキングな内容ゆえに社会問題に警鐘を鳴らす重要な作品としても高く評価されています。

『子宮に沈める』は実話がベース?モデルとなった事件を紹介

映画『子宮に沈める』は、2010年に大阪で実際に起きた「大阪二児放置死事件」をモデルとしています。この事件では、母親が2人の子供を自宅マンションに置き去りにし、子供たちは飢えと孤独の末に亡くなりました。

ただし、映画では母親や子供の描かれ方、事件に至る経緯などが一部脚色されています。例えば、母親の離婚理由や生活苦の描写は映画オリジナルの要素です。あくまでフィクションではありますが、現実に起きうる悲劇を如実に表現した作品と言えるでしょう。

映画『子宮に沈める』作品概要・キャスト紹介

本作の監督は緒方貴臣、主演は伊澤恵美子が務めました。キャストと役柄は以下の通りです。

  • 由希子役: 伊澤恵美子
  • 長女・幸役: 土屋希乃
  • 次男・蒼空役: 土屋瑛輝
  • 夫役: 巳蒼生
  • 恋人役: 田中稔彦
  • 女友達役: 仁科百華

主演の伊澤恵美子は、母親役作りのために15kg以上の増量に挑戦。撮影現場でも子役とのコミュニケーションを大切にし、リアルな親子関係を演じました。

『子宮に沈める』は2013年10月12日に公開されました。同年の各映画賞でも話題となり、キネマ旬報ベスト・テン第10位にランクインしています。

映画『子宮に沈める』の結末までのネタバレあらすじ

【起】幸せだった日々と家族の崩壊

(C)Netflix, Inc.

物語は由紀子が夫と幸せに暮らしていた場面から始まります。料理上手な由紀子は毎晩手の込んだ夕食を作り、夫や子供たちと楽しく団欒していました。

しかし、そんな幸せな日々は長くは続きませんでした。夫の帰りが遅くなり、やがて帰ってこなくなります。ある日、荷物を取りに戻ってきた夫は由紀子に愛想をつかし、家を出て行ってしまいました。

【承】母子家庭の苦しみと母の変化

(C)Netflix, Inc.

夫と別れたショックから立ち直れない由紀子。子供2人を女手一つで育てる大変さに、次第に追い詰められていきます。生活のために夜の仕事を始めるも、子育てとの両立に悩まされ、やがて育児を放棄しはじめるのでした。

そんな時、由紀子に新しい恋人ができます。しかし、その恋人は子供の存在をよく思っておらず、本当の安らぎを与えてくれる存在ではありませんでした。由紀子は次第に子供たちを”邪魔者”と感じるようになっていきます。

【転】弟の死と母の絶望

(C)Netflix, Inc.

由紀子が家を開けるようになり、幸と蒼空は部屋に取り残されるようになります。幸は弟の世話をしながらなんとか生き延びていましたが、次第に食べ物にも困るようになります。

そしてある日、弟の蒼空が飢えと病気で息絶えてしまいます。幸は蒼空の誕生日を祝いますが、もはや蒼空に生気はありませんでした。幸は弟の死を受け止められず、ただ母の帰りを待ち続けるのでした。

【結】衝撃のクライマックスシーン!あまりにも悲惨な最期

そんなある日、由紀子が帰ってきました。しかし彼女は子供たちに見向きもしません。蒼空の亡骸を洗濯機に入れ、幸を浴槽に沈めて殺害するのです。

その後由紀子は子宮を貫いて自殺を図ります。そして最期の場面では、レジャーシートに包まれた子供たちの遺体と、血まみれで横たわる由紀子が映し出されるのでした。

あまりにもショッキングで胸糞悪いラストシーン。誰もが口を開けて見守るしかない、強烈なエンディングとなっています。

映画『子宮に沈める』の撮影秘話

本作の撮影では、とにかくリアリティを追求しました。母子家庭の生活苦を表現するため、由紀子役の女優は1ヶ月で10kg近く体重を落としたそうです。

また、子供部屋のシーンは築40年の実在のアパートで撮影されました。散らかったゴミ屋敷のセットは、スタッフが実際にゴミを集めて再現したものだそうです。臭いや汚れすら感じられるようなリアルな空間が、映画の持つ衝撃をさらに際立たせています。

監督の緒方貴臣は、「観る人に強いメッセージを残すためにも、如実なリアリティを追求した」と語っています。だからこそ生々しい表現も厭わず、あえてR18指定を受けることを選んだのだそうです。

映画『子宮に沈める』への評価と感想

本作の評価は賛否両論でした。あまりにもショッキングな内容に嫌悪感を示す声もある一方、「重要な社会問題に目を向けさせる秀作」と絶賛する声も多くあります。

キネマ旬報の映画批評でも「リアリティのある演出と女優陣の熱演が光る問題作」と評されました。主演の伊澤恵美子は、当時の日本アカデミー賞で優秀主演女優賞にノミネート。撮影後は心身ともにボロボロになったと語っており、役への入れ込み様が伺えます。

実際に鑑賞した人からも「二度と見たくないけど、見るべき映画」「胸糞悪いけど考えさせられる」といった感想が数多く寄せられています。あまりの衝撃のラストで途中退出する人も多かったようですが、だからこそ強烈なメッセージが残る映画とも言えるでしょう。

【考察】なぜ母親は子供を虐待するようになったのか

由紀子が子供を虐待するようになった背景には、様々な要因があります。まず夫の存在の大きさが挙げられるでしょう。理想の家庭を築いていた由紀子にとって、夫の突然の離婚は大きなショックでした。心の支えを失い、ひとり親としての苦労に耐えきれなくなったのです。

また、周囲の無理解も由紀子を追い詰めました。新しい恋人は子連れという事実を良しとせず、友人からの助言もありませんでした。誰にも頼れない孤独感が、由紀子の心を蝕んでいったのでしょう。

さらに、社会的な支援の欠如も大きな問題として浮き彫りになります。ひとり親家庭への経済的援助、メンタルケア、育児サポートなど、由紀子を救える手立ては色々とあったはずです。しかしそれらが十分に機能していなかったために、由紀子は追い込まれていったのだと言えます。

児童虐待や育児放棄に関する関連作品も紹介

映画『子宮に沈める』と同様に、児童虐待問題を扱った作品はいくつも存在します。1997年の『誰も知らない』では、4人の子供が母親に捨てられる中で必死に生きる姿が描かれました。

2004年の映画『誰も守ってくれない』では、虐待を受けた少女が施設を転々とする中で、心の傷と向き合う様子が映し出されています。

また、虐待死事件をテーマにしたノンフィクション作品としては、『あの日、少年は何を見たのか 足立区3歳虐待死事件』などが挙げられます。様々なアプローチで、虐待という重たいテーマに迫った作品たちだと言えるでしょう。

映画『子宮に沈める』が伝えたかったメッセージとは

本作は”誰もが加害者にも被害者にもなりうる”ということを如実に示しています。理想の家庭を築いていた由紀子が、過酷な状況下で子供を手にかけてしまった姿は、私たち社会への警鐘と言えるでしょう。

『子宮に沈める』の緒方監督は、「この映画を通して、社会のあり方を考え直すきっかけになればと思う」とコメントしています。一人の母親を追い詰めてしまった社会構造、一人で育児を抱え込ませてしまった世間の意識を変えていく必要があるのです。

また、支援の目を行き届かせることの大切さも訴えかけているでしょう。SOSを発信できずに抱え込んでしまう親子は、今もどこかにいるはずです。そういった声なき声に耳を傾け、手を差し伸べられる社会を築いていくことが、私たち一人一人に求められていると感じさせられる作品でした。