『マトリックス』のあらすじを完全解説!SFアクションの金字塔が問いかけるもの

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『マトリックス』とは?作品の基本情報を紹介

『マトリックス』は、1999年に公開されたSFアクション映画の金字塔です。製作・脚本・監督は、ラリー・ウォシャウスキーとアンディ・ウォシャウスキーの姉弟(現在は姉妹)が務めました。キアヌ・リーヴス主演で、他にもローレンス・フィッシュバーンやキャリー・アン・モスなど豪華キャストが出演しています。

革新的なビジュアル表現と哲学的なテーマで大きな話題を呼び、シリーズ化された大ヒット作となりました。現在でもSFアクションの金字塔と評される、極めて重要な作品の1つと言えるでしょう。

ストーリーの舞台設定と概要

人工知能に支配された2199年の地球

『マトリックス』の物語は、人工知能に支配された地球が舞台となっています。人類は機械との戦いに敗れ、太陽光を遮断されて地下での生活を余儀なくされました。

人間は機械に電池として利用される存在に

一方、機械は人間を電池として利用することを選択。無数の人間を液体につけた培養装置で管理し、眠らせた状態でバイオエネルギーを搾取しているのです。

仮想現実マトリックスに繋がれ、平和な1999年を生きている

眠っている人間の脳は、「マトリックス」と呼ばれる仮想現実空間に接続されています。そこでは平和な日常が再現されており、人々は何も知らずに”普通の生活”を送っています。つまり、映画内の現実世界は、実はプログラムによって作り出された巨大なシミュレーションに過ぎないのです。

主人公ネオの目覚めと戦い

ハッカーのネオ、真実に気付き始める

主人公のネオは、普段はソフトウェア会社に勤めるサラリーマンですが、裏ではハッカーとしても活動しています。ある日、「マトリックスが見ている(The Matrix has you.)」というメッセージを受け取ったことをきっかけに、徐々に自分の認識している世界への疑問を抱き始めます。

モーフィアスから真実を知らされ、現実世界を選択

そんな中、ネオは反乱軍のリーダー・モーフィアスと接触。モーフィアスに導かれ、衝撃の事実を告げられます。人類は機械の支配下にあり、誰もがマトリックスという仮想現実に囚われているというのです。ネオは、マトリックスから抜け出し本当の現実世界に目覚めるか、偽りの幸福な日常に留まるかの選択を迫られ、覚醒のための「赤いカプセル」を飲むことを決意します。

人類解放のための戦いへと身を投じる

目覚めたネオは、人類解放のための戦士としての壮絶な戦いの日々に身を投じていきますモーフィアスはネオこそが待ち望んでいた「救世主」だと確信していましたが、ネオ自身にはその自覚はありません。途方もない使命を背負わされた彼の、葛藤と成長が本作の大きなテーマの1つとなっているのです。

ネオを導く仲間たち

人類解放軍のリーダー、モーフィアス

ネオが人類解放軍の戦士へと目覚めていく中で、彼に大きな影響を与えるのが、反乱軍のリーダーにしてネオの師匠となるモーフィアスです。ローレンス・フィッシュバーン演じる彼は、ネオこそが人類を救う存在だと信じて疑いません。ネオを戦士として鍛え上げ、人類解放のための戦いを指揮していきます。

恋人にして最強の戦士、トリニティ

そしてもう1人、ネオの恋人にして最強の女性戦士トリニティも重要な存在です。キャリー・アン・モス演じるクールな彼女は、反乱軍の中でも抜群の身体能力を持つエキスパートです。当初はネオにも懐疑的でしたが、彼の秘めた力を信じ、常に寄り添い支えていきます。2人の関係性は、人間らしさや愛情の象徴として物語に温かみを与えています。

裏切り者サイファーの存在

反乱軍の中には、裏切り者のサイファーも存在します。ジョー・パントリアーノ演じる彼は、マトリックスでの優雅な暮らしを望み、ネオたちを陥れようと企みます。味方か敵か分からない状況で、ネオは常に戦いに身を投じなければならないのでした。

エージェント・スミスとの戦い

人類弾圧の先鋒となる最強のプログラム

人類弾圧のシンボルとして立ちはだかるのが、マトリックス内に存在する「エージェント」と呼ばれる強力なプログラムたちです。中でも、ヒューゴ・ウィービング演じるエージェント・スミスは、ネオにとって最大の敵となります。

ネオvsスミスの一騎打ち

スミスは、人間という存在そのものを憎悪し、ネオの抹殺に執念を燃やします。超人的な身体能力を持つスミスに、ネオは苦戦を強いられることになります。

覚醒したネオ、救世主として君臨

最後の対決で、ネオはスミスを打ち破り、自らの使命に目覚めます。マトリックスを超越した存在となったネオは、人類の救世主としてその名を轟かせることになります。目覚めた彼の新たな戦いは、続編へと引き継がれていくのでした。

革新的な映像表現と演出

スローモーションを駆使したバレットタイム

『マトリックス』の大きな魅力の1つが、革新的なアクションシーンを生み出した映像表現です。特に有名なのが、スローモーションを効果的に使った「バレットタイム」と呼ばれる手法です。至近距離から銃弾をかわす様子を、まるで時間が止まったかのように描いたそのシーンは、今なお多くの映画に影響を与え続けています。

箸を使った格闘シーンなど東洋的なモチーフ

本作には、格闘シーンにおいて箸を使ったアクロバティックな動きが組み込まれるなど、東洋的なモチーフも数多く登場します。ハリウッド映画でありながら、香港映画のテイストを感じさせるアクションも、独特の世界観を生み出すのに一役買っていると言えるでしょう。

緑一色のコンピュータ画面が生み出す緊迫感

ネオがマトリックスに侵入したり、さまざまなプログラムが作動する様子を、一面緑色の文字が流れるコンピュータ画面で表現するのも印象的です。現実とマトリックスが交錯する不穏な雰囲気を、その緑の画面が巧みに演出しているのです。

映画が提起する哲学的テーマ

私たちは本当に自由な存在なのか

『マトリックス』には、現代社会を見つめ直すような哲学的メッセージが込められています。作中で人間は、知らず知らずのうちにマトリックスによって支配され、自由を奪われています。私たちの世界も、その状況と似ているのではないか─。映画は、そんな問いを投げかけているのです。

真実を知ることの意味と覚悟

ネオは、赤いカプセルを飲んで真実を知る道を選びました。しかしそれは、過酷な現実を受け入れ戦い続けなければならないことを意味します。真実を知るには、それ相応の勇気と覚悟が必要なのです。それでも真実に向き合うことの意義を、ネオの生き様が雄弁に語っていると言えるでしょう。

人間とテクノロジーの関係性

作中で機械は、人間を支配する存在として描かれています。AIをはじめとするテクノロジーは、果たして人間との関係をどのように築いていくべきなのか。人間の尊厳や価値観を脅かさないために、私たちは何をすべきか。SFの世界観を通して、現代社会の課題についても深く考えさせられる作品だと言えます。

SFアクション映画の金字塔として

その後の映画作品に多大な影響

『マトリックス』の革新的な映像表現やアイデアは、公開から20年以上経った今なお、多くの映画作品に影響を与え続けています。アクションシーンにおける視覚効果の表現はもちろん、近未来の世界観設定など、SFの金字塔として確固たる地位を築いていると言えるでしょう。

VFXの表現手法が大きく進化

本作の成功は、VFX(ビジュアルエフェクト)技術の発展にも大きく貢献しました。『マトリックス』のために開発されたテクニックの数々は、その後のハリウッド映画製作のスタンダードとなっています。より写実的で説得力のあるCGの登場は、映画表現の可能性を大きく広げることとなったのです。

リブート作品にも注目が集まる

2021年には、ラナ・ウォシャウスキーによる『マトリックス』シリーズの第4作『マトリックス レザレクションズ』が公開されました。オリジナルから20年以上の時を経て、再び人類の運命を懸けた戦いが描かれる本作。新旧のファンから大きな注目を集め、その世界観は現在進行形で拡張され続けています。

まとめ:現代に通じる警鐘と問いかけ

『マトリックス』は、単なるエンターテイメント作品にとどまらない奥深さを持っています。精緻に構築された世界観と独創的なビジュアルで私たちを圧倒しながら、人間とは何か、自由とは何かという哲学的命題を投げかけてきます。

同時に、人工知能が支配する近未来という設定は、現代社会への警鐘としても受け取れるでしょう。テクノロジーと人間の関係性について考えさせられる本作は、これからも私たちに問い続けていくに違いありません。色褪せることのないSF作品の傑作として、『マトリックス』の存在意義は決して小さくないのです。