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映画『ブラックパンサー』基本情報
作品概要
『ブラックパンサー』は、マーベル・コミックの同名キャラクターを主人公とした2018年公開のアメリカ映画。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の18作品目に当たり、アフリカの架空の国ワカンダの若き国王ティ・チャラが、悪役キルモンガーとの戦いを通して王としての責任と覚悟を見出していく物語。
監督・脚本を務めたのはライアン・クーグラー。主演のティ・チャラ役にはチャドウィック・ボーズマンが起用され、他にもマイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴらが出演。公開時に高い評価を得て大ヒットを記録し、第91回アカデミー賞では最優秀作品賞を含む7部門にノミネートされた。
MCUにおける位置づけ
『ブラックパンサー』の物語は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で父親を亡くしたティ・チャラが国王となった直後から始まる。作中ではこれまでのMCU作品で散りばめられていたワカンダという国の秘密が明らかになり、ヴィブラニウムという稀少資源を巡る争いが描かれる。
本作でのティ・チャラの成長と決意は、その後の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』での活躍に繋がっていく。また、ワカンダの最先端テクノロジーやドーラ・ミラージュの戦士たちの姿は、今後のMCU作品にも大きな影響を与えた。
『ブラックパンサー』登場人物紹介
ティ・チャラ / ブラックパンサー
本作の主人公。ワカンダ王国の王位継承者であり、代々受け継がれてきたハートハーブの力によって超人的な能力を得る、ワカンダの守護者”ブラックパンサー”の称号を持つ。父親の死をきっかけに国王となるが、アメリカで起きた事件によって自国の在り方を問い直すことになる。
演じるのはチャドウィック・ボーズマン。本作より前の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でMCUに初登場し、以降の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも重要な役割を果たした。
エリック・”キルモンガー”・スティーヴンス
本作の悪役。本名はエリック・スティーブンスだがキルモンガーの異名を持つ。実はティ・チャラの叔父であるウンジョブの息子で、ワカンダへの恨みと世界征服への野望を抱いている。
『クリード チャンプを継ぐ男』などで知られるマイケル・B・ジョーダンが演じた。軍事訓練で培った高い戦闘能力と、ワカンダの在り方への疑問を掲げて民衆の支持を集める姿が印象的。
シュリ
ティ・チャラの妹で、ワカンダ王国の王女。16歳の天才科学者で、ヴィブラニウムを用いた数々の発明を行っている。兄への揶揄を交えつつも、その活躍を陰から支える頼もしい存在。
演じたのは若手女優のレティーシャ・ライト。コミカルなやり取りも様になる好演が光った。
ナキア
ティ・チャラの幼馴染で、ワカンダの情報機関「ウォー・ドッグ」の一員。国外に潜伏し諜報活動を行っているが、新王の登場に伴いワカンダに帰国する。
『それでも夜は明ける』などで知られるルピタ・ニョンゴが演じた。高い戦闘能力を持ちながら、ワカンダの閉鎖性への疑問を口にするなど物語のカギを握る存在。
オコエ
ティ・チャラに仕える、ワカンダ王室直属の親衛隊「ドーラ・ミラージュ」の隊長。王家への忠誠心が厚く、鋭い戦闘センスを持つ頼れる側近。
『ウォーキング・デッド』のダナイ・グリラが演じた。母国への愛と使命感に溢れた熱演が光る。
その他の主要キャラクター
- ウカビ – ティ・チャラの親友で国境警備隊の隊長。元は親友の味方だったが、キルモンガーに寝返ってしまう。
- ズリ – ティ・チャラの師であり助言者でもある老人。過去の事件の真相を知る重要人物。
- ラモンダ – ティ・チャラとシュリの母親。夫を失った悲しみを胸に、我が子たちを支え続ける。
- エヴェレット・ロス – CIAのエージェント。当初はワカンダに懐疑的だったが、次第に協力者となる。
『ブラックパンサー』ストーリー解説
ワカンダの歴史と先代王の決断
遥か昔、アフリカの地にヴィブラニウムという鉱石を積んだ隕石が飛来した。その力を手に入れ、人々を率いて5部族を束ねたのが初代ブラックパンサーとなる人物。以来、ブラックパンサーはワカンダ王国の守護者として代々受け継がれてきた。
1992年、当時のブラックパンサーにして国王であったティ・チャカは、裏切り行為を働いた弟ウンジョブと対峙。争いの最中、ウンジョブは命を落とす。ティ・チャカは真相を隠したまま、ウンジョブの息子を置き去りにしてワカンダに帰国。時は流れ2016年、ティ・チャカは国連爆破事件に巻き込まれて殺害される。
ティ・チャラの帰還と戴冠式
父の死から1週間後、ティ・チャラはワカンダに戻り王位を継承すべく儀式に臨む。儀式の間、マウンテン族の長から挑戦を受けるも、これを退けて新たな王と認められた。
一方その頃、アメリカではウンジョブの息子で傭兵となったエリック・スティーブンスが暗躍。ヴィブラニウムを狙ってロンドンの博物館に押し入り、ワカンダの秘宝を盗み出す。事件を知ったティ・チャラは、幼馴染のナキアと親衛隊長オコエを率いて現地に急行した。
キルモンガーの襲撃と真の目的
追跡の末、韓国・釜山でヴィブラニウム密売人のクロウと接触するティ・チャラたち。その場に現れたCIA捜査官ロスと共に、取引現場に突入する。しかし、そこに現れたのは、ウンジョブの息子スティーブンスその人だった。
襲撃の最中、重傷を負ったロスを助けるため、ティ・チャラは彼をワカンダに連れ帰ることに。するとスティーブンスもまた後を追い、ついにその正体が明らかになる。彼こそがウンジョブの息子エリック・スティーブンス、通称キルモンガー。亡き父の遺志を継いで、ワカンダの王座を求めて来たのだ。
王位を奪われたティ・チャラ
ワカンダの掟に則り、ティ・チャラはキルモンガーの挑戦を受けることに。滝壺での激闘の末、ティ・チャラは敗れ、滝底に突き落とされてしまう。キルモンガーはこれによって、晴れてワカンダの王位に就いた。
初代の王から伝わる秘薬を飲み、ブラックパンサーの力を手に入れたキルモンガー。彼は世界中のアフリカ系民族に武器を与え、ワカンダの力で世界を変えようと企む。一方、瀕死のティ・チャラは、母ラモンダたちによって密かに助け出され、生き延びていた。
最後の希望を求めて
ジャバリ族の長エムバクに助けられ、生還を果たしたティ・チャラ。ラモンダたちから、キルモンガーの野望を聞かされ、再び戦うことを決意する。
ティ・チャラを支えるのは、妹シュリの開発したハイテクスーツ。そして、キルモンガーの真の目的を知ったナキアやオコエ、ドーラ・ミラージュの精鋭たちも、ティ・チャラの下に集結。かくして、ワカンダの未来をかけた戦いの火蓋が切られる。
運命の対決 チャラ VS キルモンガー
キルモンガー派と、ティ・チャラ派の激突が全土で繰り広げられる中、ティ・チャラはキルモンガーとの一騎打ちに臨む。ヴィブラニウム鉱山での死闘の末、ついにティ・チャラがキルモンガーを討ち取ることに成功。キルモンガーは、自由のために死ぬことを選んだ。
勝利を収めたティ・チャラだが、キルモンガーとの戦いを通じて、ワカンダが歩むべき道を悟る。それはキルモンガーの言葉にもあった、国際社会への門戸開放。ワカンダの最先端技術を世界と共有し、恵まれない人々を助けていくという新たな使命に目覚めたのだった。
ワカンダの未来へ
戦いを終えたティ・チャラは、国連でワカンダの”真実の姿”を明らかにする。そして、恵まれない子供たちを支援する施設をアメリカに設立。父の過ちを乗り越え、新たな一歩を踏み出す。
エンドロールの後のシーンでは、ワカンダの恩人でもあるロス捜査官が登場。世界の秘密を知る彼に、シュリが新技術を披露するのだった。こうして『ブラックパンサー』の物語は幕を閉じる。だが、ワカンダの英雄の戦いは、ここから新たなステージへと進んでいくのである。
『ブラックパンサー』の見どころ&重要ポイント
テーマ:アイデンティティと責任
本作の大きなテーマは”アイデンティティ”と”責任”である。主人公ティ・チャラは、国王としての責務とヒーローとしての理想の間で葛藤する。一方、キルモンガーは自らのルーツであるワカンダへの憎しみと、世界を変える使命感から暴力的な革命を唱える。
2人はそれぞれの信念と正義感に突き動かされながら対立し、最終的にティ・チャラは、自国の未来と世界平和のために戦う道を選ぶ。これは偏狭なナショナリズムを乗り越え、グローバルな視点で問題解決に取り組むリーダー像を示している。
ワカンダの文化と技術
作中に登場するワカンダは、アフリカの伝統文化と最先端テクノロジーが融合した魅力的な舞台設定となっている。原始的な部族社会の様相を残しつつ、ヴィブラニウムを駆使した科学技術で超文明国家を築いているのだ。
ドーラ・ミラージュに代表される勇猛果敢な女戦士の姿や、シュリが生み出すハイテクガジェットの数々など、アフリカ文化へのリスペクトとSFの想像力が交錯する、ユニークな世界観が画面狭しと展開される。
アフリカ系の英雄
本作の大きな意義は、MCU初のアフリカ系ヒーローを主役に据えた点にある。キャストもスタッフも黒人が中心で、監督のライアン・クーグラーは自身の出自を投影した社会派作品を数多く手掛けてきた。
白人が主役級を独占しがちなハリウッド映画界にあって、本作は黒人の誇りと尊厳を高らかに謳い上げた。多様性の象徴としても、マイノリティの希望の星としても、『ブラックパンサー』の功績と影響力は計り知れない。
MCU作品としての意義
MCUフェーズ3の後半戦を飾る作品として、『ブラックパンサー』は重要な位置を占めている。直接の続編ではないが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でのティ・チャラの登場と活躍が本作の伏線となった。
さらに、事件から1週間後を舞台にすることで、ティ・チャラの成長物語とワカンダ国家の変革が、MCU全体の時系列に沿って進行。以降の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でのワカンダが重要な舞台になるなど、本作の設定が直接つながっていく。個人的英雄譚でありながら、壮大なMCUの歯車として機能しているのだ。
『ブラックパンサー』は、スーパーヒーローの痛快アクションと王道ドラマを堪能できるエンタメ作である一方で、人種差別や植民地主義の負の歴史と真摯に向き合った意欲作でもある。国王として、ヒーローとして、アフリカ系として、ティ・チャラの背負うプレッシャーと責任の重さは並大抵のものではない。
だがその圧倒的な使命を果敢に引き受け、民のため世界のために戦う姿は、観る者の胸を熱くさせずにはおかない。自国の平和か、世界の安寧か。己の正義か、相手の正義か。簡単に答えの出ない難題に立ち向かい、ときに挫折しながらも、どこまでも高みを目指して進む。そこにこそ、ブラックパンサーの本当の勇気と優しさがある。
映画の幕が下りた後も、我々の心の中で生き続ける、魂を揺さぶるヒーローの物語。『ブラックパンサー』は、そんな圧倒的な感動と興奮を、すべての人に届けてくれる。自らの使命を全うせんとする者たちの、熱き戦いの記録である。国王にしてヒーローたるティ・チャラの勇姿を、いま再び見届けよう。