『とある魔術の禁書目録』のあらすじを簡単解説!作品の特徴や魅力もご紹介

『とある魔術の禁書目録』は、鎌池和馬によるライトノベルが原作のSFファンタジー作品。通称「とある」シリーズの人気は根強く、様々なメディアミックス展開を果たしています。ここではそんな『とある魔術の禁書目録』の概要から、物語のあらすじ、作品の魅力まで、初心者にも分かりやすくご紹介しましょう。

『とある魔術の禁書目録』の基本情報

『とある魔術の禁書目録』は、鎌池和馬によるライトノベルを原作としたSFファンタジー作品です。イラストは灰村キヨタカが担当しています。2004年4月より電撃文庫(KADOKAWA)から刊行が開始され、シリーズ累計発行部数は3100万部を突破する人気シリーズに成長しました。

本作の略称としては「とある」「禁書目録」「禁書」「インデックス」などが使われています。また、スピンオフ作品の『とある科学の超電磁砲』や『とある科学の一方通行』と合わせて「とあるシリーズ」と呼ばれることも多いのが特徴です。

メディアミックス展開が非常に盛んな作品でもあり、コミカライズやアニメ化、ゲーム化など多岐にわたる派生作品が制作されてきました。アニメシリーズは2008年から断続的に放送が続いており、原作だけでなくスピンオフ作品のTVアニメ化や劇場版アニメも公開されています。

ジャンルとしてはSFとファンタジーが融合したバトルアクションに分類されます。現代の東京を舞台に、超科学の結晶である「学園都市」と、魔術を操る「イギリス清教」などの相反する勢力の抗争を軸に物語が展開していきます。

『とある魔術の禁書目録』のストーリーあらすじ

『とある魔術の禁書目録』の物語は、超能力開発が行われている巨大な「学園都市」が舞台となっています。人公の上条当麻は、学園都市で暮らす平凡な高校生ですが、右手には「幻想殺し」と呼ばれる特殊な力を秘めています。ある日、純白の修道服に身を包んだ少女・インデックスが彼の部屋のベランダに倒れているのを見つけます。インデックスは魔術師に追われていると助けを求め、これをきっかけに上条は、科学と魔術が交錯する世界へと足を踏み入れていくのです。

原作小説は大きく「無印」(オリジナルシリーズ)と「新約」の2部構成に分かれています。「無印」は全22巻で、「学園都市編」「ローマ正教編」「神の右席編」の3部で物語が進行します。一方、「新約」は22巻までナンバリングがリセットされ、こちらも全22巻にわたって刊行されました。現在は「創約」シリーズが新たに展開中です。

無印(1〜22巻)のあらすじ

「無印」1巻から10巻は「学園都市編」と位置付けられています。物語の主人公である上条当麻は学園都市で暮らす平凡な高校生ですが、右手には「幻想殺し」と呼ばれる特殊な力を秘めています。ある日、上条はシスターの少女・インデックスと出会います。彼女は魔道書図書館と呼ばれる存在で、10万3000冊もの魔道書を丸暗記しているのです。インデックスを狙う魔術師との戦いに巻き込まれた上条は、徐々に科学と魔術の対立構造を知ることになります。

物語が進むにつれ、上条は学園都市の闇に潜む超能力者・アクセラレータ(一方通行)との戦いや、風斬氷華が関わる事件にも関与していきます。超能力者と魔術師、二つの脅威が交錯する学園都市の危機に、上条は立ち向かっていくのです。

11巻以降は「ローマ正教編」と「神の右席編」へと物語の舞台が広がります。魔術サイド最大の勢力であるローマ正教が学園都市への侵攻を開始し、上条はその過程でイギリスのクーデターにも巻き込まれていきます。

さらに物語は学園都市とロシアの全面戦争にまで発展していきます。魔術サイドの最高機関「神の右席」に座するフィアンマの暗躍もあり、世界規模の戦いへと物語は加速していくのです。科学と魔術、両サイドの頂点に立つ強大な存在たちが火花を散らす中、上条や一方通行、浜面らはそれぞれの信念を胸に戦場に身を投じていきます。

魔術師からインデックスを、そしてロシアの脅威から学園都市を守るため、上条当麻は幻想殺しの力を振るい戦い続けます。一方通行は、打ち止めと呼ばれるクローンの少女や黒い翼の大天使・アイワスとの出会いを経て、変革の道を歩んでいきます。そしてアイテムのリーダー・麦野沈利との因縁に決着をつけた浜面仕上もまた、仲間を守るため戦場に赴きます。

学園都市、ロシア、イギリス清教、ローマ正教など様々な勢力が入り乱れるこの戦争は、同時に魔術サイドの内部抗争の側面も持っていました。そして、魔術師最強と呼ばれるフィアンマの野望を阻止すべく、上条は単身ロシアへと乗り込んでいくのです。12巻から22巻に及ぶ長編「神の右席編」は、そんな上条と仲間たちの壮絶な戦いを描いた、「無印」シリーズの総仕上げとなっています。

新約(1〜22巻)のあらすじ

「新約」シリーズは、前シリーズ「無印」で描かれた第三次世界大戦後の世界が舞台となります。主人公の上条当麻は、新たな強敵・魔術結社「グレムリン」の脅威に立ち向かっていきます。

「グレムリン」のリーダーにして魔神オティヌスの野望を阻止すべく、上条はハワイやバゲージシティなどを舞台に戦いを繰り広げます。一方、アクセラレータこと一方通行は、自らの過去と向き合いながらも、打ち止めと呼ばれるクローンの少女を守るため「グレムリン」と激突します。また、暗部組織「アイテム」の元メンバー・浜面仕上もまた、フレンダの仇討ちに燃えて戦場に身を投じるのです。

物語が進行する中で、オティヌスによって幾度もの世界改変が引き起こされます。絶望的な状況に追い込まれながらも、上条は希望を信じて戦い続けます。そしてついに、学園都市の統括理事長・アレイスターが目論む真の計画の全貌が明かされるのです。

さらに物語後半では、禁書目録の秘密や上里翔流の能力「理想送り」の脅威が浮き彫りになります。新たな敵「コロンゾン」を名乗る大悪魔の存在が表面化する中、上条とアレイスターは禁書目録を、そして打ち止めを守るため、魔術サイドの大勢力と死闘を繰り広げるのです。

世界の破滅と創生をかけたこの戦いは、遂に大悪魔コロンゾンとの直接対決へと至ります。かつてない強敵を前に、上条、一方通行、浜面の三人は人類の命運を懸けて最後の戦いに臨むのでした。

「新約」シリーズは上条当麻の成長物語であると同時に、「とある魔術の禁書目録」世界の秘密が次々と明かされる衝撃の展開が見どころです。そして何より、仲間との絆を胸に強大な敵に立ち向かう主人公たちの勇姿は、読む者の心を熱くさせずにはおきません。

『とある魔術の禁書目録』の主要登場人物

『とある魔術の禁書目録』には魅力的な登場人物が多数登場しますが、ここでは物語の鍵を握る主要キャラクターを紹介しましょう。

まず主人公の上条当麻は、学園都市に住む平凡な高校生ですが、右手に「幻想殺し」という特殊能力を秘めています。自らを顧みない正義感の強さが、物語を動かす大きな原動力となっています。

ヒロインのインデックスは、魔術サイドの「必要悪の教会」に所属する修道女です。10万3000冊もの魔道書を完璧に記憶する「魔道書図書館」という存在です。普段は無邪気でほんわかした性格ですが、食べることが何より大好きという一面も。

また、上条のクラスメイトでもある御坂美琴は、「とある科学の超電磁砲」の主人公を務める、もう一人の重要なヒロインです。学園都市屈指の超能力者(レベル5)であり、「超電磁砲(レールガン)」の異名を持っています。正義感が強く勝気な性格が特徴的です。

一方、学園都市最強の超能力者(レベル5)と呼ばれるのが、一方通行(アクセラレータ)です。「一方通行」の能力を持つ彼は、当初は上条とは敵対する立場でしたが、「新約」シリーズ以降は物語の主人公格とも言えるポジションを担うようになります。

浜面仕上は、元はスキルアウトと呼ばれる学園都市の不良少年でした。一時は暗部組織「アイテム」に所属していた過去を持ちますが、物語が進むにつれ上条の良き盟友的な存在となっていきます。

この他、イギリス清教に所属する熱血漢の魔術師・ステイル=マグヌスや、同じく「必要悪の教会」所属で「十字教の聖人」と呼ばれる神裂火織なども、物語の鍵を握る重要な登場人物と言えるでしょう。

様々なバックグラウンドと個性を持つキャラクターたちが織りなすドラマもまた、本作の大きな魅力の一つです。

『とある魔術の禁書目録』の特徴と魅力

科学と魔術が融合した独特の世界観

『とある魔術の禁書目録』最大の特徴は、「科学」と「魔術」という相反する概念が同居する独特の世界観にあります。
物語の舞台となる学園都市は、超能力開発をはじめとしたあらゆる最先端科学技術の粋を集めた「科学の総本山」とも言える都市国家です。
一方で、世界の裏側には魔術師たちが暗躍する「魔術サイド」が存在しています。キリスト教の各宗派をはじめとした各宗教が、独自の教義に基づいた魔術体系を発達させているのです。

科学サイドは魔術の存在を認知せず、魔術サイドは科学的価値観を認めません。相容れないこの両勢力の対立構造は、物語を通して大きな軸となっています。
しかし主人公の上条当麻は、どちらの側にも与することなく、困難に直面しても己の信念を曲げずに戦い続けます。
そんな上条の生き様を描く中で、対立する価値観の狭間で揺れ動く登場人物たちの人間ドラマが浮き彫りになっていくのです。

本作では「魔法」ではなく「魔術」という言葉が使われているように、魔術サイドの描写は現実の宗教や神話をベースにしたリアリティのあるものとなっています。
科学的な裏付けのある超能力描写と、オカルト的でありながらも説得力を感じさせる魔術表現。
一見水と油のようなこの二つの要素が絶妙に融合した世界観は、『とある魔術の禁書目録』ならではの大きな魅力と言えるでしょう。現実にはあり得ない設定でありながら、作中では高い説得力を持って描かれるからこそ、私たちは作品世界に引き込まれていくのです。

個性豊かな魅力的なキャラクター

『とある魔術の禁書目録』のもう一つの大きな魅力は、個性豊かで魅力的なキャラクターの数々でしょう。
主人公の上条当麻は、常に人のために行動する正義感の強い少年です。「不幸体質」を嘆きつつも、どんな強敵が立ちはだかろうと戦いを厭わない熱い男として描かれています。

ヒロインのインデックスは無邪気で明るい性格の銀髪ツインテールの少女。10万冊以上もの魔道書を完璧に記憶する驚異的な能力を持っていますが、普段は食いしん坊でちょっとおバカな一面も見せてくれる愛らしいキャラクターです。

また、上条のクラスメイトでありもう一人のヒロインでもある御坂美琴は、電撃を自在に操る「超電磁砲(レールガン)」の異名を持つ、学園都市屈指のレベル5能力者。ツンデレ気質な性格も相まって、読者に絶大な人気を誇っています。

強大な力を持ちながらもどこか影を感じさせる一方通行(アクセラレータ)、元スキルアウトながら仲間想いの熱血漢・浜面仕上など、脇を固めるサブキャラクターもそれぞれ個性的で魅力的な面々が揃っています。

科学サイド、魔術サイド双方に、強い個性と揺るぎない信念を持つ男女が多数登場するのも見どころです。立場の違いから対立したり、時には信頼し合ったりと、複雑に絡み合う人間関係の機微もドラマチックに描かれています。

それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤、そして過去などが丁寧に掘り下げられることで、読者はキャラクターに感情移入しやすくなっています。
上条当麻という「私」の視点から描かれるキャラクター同士の人間ドラマは、この物語に厚みと奥行きを与えていると言えるでしょう。まるで登場人物たちが本当に生きているかのように感じさせてくれる、それが『とある魔術の禁書目録』の描くキャラクター像の強みなのです。

スリリングなバトルアクション

SFとファンタジーが融合した世界観を舞台に、『とある魔術の禁書目録』では数多くの爽快なバトルアクションが描かれています。
人智を超えた力を持つ者同士のぶつかり合いは、スリリングで読む者を釘付けにします。

主人公・上条当麻の右手に宿る「幻想殺し」は、物質化された魔術や超能力を一方的に打ち消す最強にして最大の謎の力。
一見普通の高校生である上条がこの力を使い、様々な強敵に立ち向かっていく姿は痛快そのものです。

科学サイド最強の超能力「一方通行(アクセラレータ)」を操る一方通行をはじめ、「空力使い」「心理掌握」など多種多様な能力を持つ超能力者たちも物語の随所で激しい戦いを繰り広げます。
炎を自在に操るルーンマジックの使い手・ステイル、聖人の頂点に立つと言われる神裂火織など、魔術サイドの面々もそれぞれに個性的な魔術で敵と対峙します。

能力と能力、魔術と魔術のぶつかり合いはもちろん、科学サイドと魔術サイドの対決など、バトルの組み合わせの絶妙な妙も大きな見どころです。
戦闘中の苛烈な駆け引きや、説得力のある技の応酬は思わず目が離せなくなること間違いなしでしょう。

さらに『とある魔術の禁書目録』の魅力は、ただ戦うだけではない点にもあります。それぞれのキャラクターの胸に秘めた想いや信念が、バトルを通して交錯していくのです。
単なるバトル作品に留まらない、キャラクター同士の機微を丁寧に描くストーリー性の高さは、本作の大きなアドバンテージだと言えます。
激しい戦闘シーンと繊細な心理描写、この絶妙なバランスこそが『とある魔術の禁書目録』の魅力なのかもしれません。

まとめ

『とある魔術の禁書目録』は、现代の東京を舞台に、超能力者と魔術師が繰り広げるバトルアクション小説です。
一見相容れない「科学」と「魔術」の融合した世界観や、個性豊かなキャラクター、スリリングな戦闘シーンなど、様々な魅力を持つ作品だと言えるでしょう。

「無印」「新約」と長期にわたって展開されてきた壮大な物語は、単なるバトルだけでなく、登場人物たちの信念や葛藤、成長をも丁寧に描き出してきました。
主人公・上条当麻の価値観と成長を軸に、魅力的なキャラクターたちが織りなす群像劇は、読み手の心をつかんで離しません。

科学と魔術、二つの対極に位置する異なる価値観がぶつかり合う物語。
そんな『とある魔術の禁書目録』の世界観は、私たちに現実とは異なる視点を与えてくれるかもしれません。
普遍的なテーマを独自の解釈で描くからこそ、この作品は多くの読者の心を惹きつけ続けているのです。

もしあなたが『とある魔術の禁書目録』をまだ読んだことがないのなら、ぜひ一度本作の世界に触れてみることをおすすめします。
きっと、上条当麻たちと一緒に、科学と魔術の狭間で繰り広げられる壮大な物語に、心躍らせずにはいられないはずです。