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「欲望という名の電車」ってどんな映画?ジャンルやあらすじを簡単に
「欲望という名の電車」は、テネシー・ウィリアムズによる同名戯曲を1951年に映画化したアメリカ映画です。アカデミー賞を含む数々の映画賞を受賞した名作で、人間の欲望や孤独、狂気をリアルに描いたことで知られています。
舞台は1940年代後半のニューオーリンズ。貧しい下町に暮らす若い夫婦ステラとスタンリーのもとに、ステラの姉ブランチが転がり込んできます。しかしブランチの気取った態度に、粗野で荒っぽいスタンリーは次第に苛立ちを募らせていきます。
一方、亡き夫への未練を残すブランチは、そんな環境に馴染めず、心の平静を失っていきます。スタンリーとの確執を深め、やがてその葛藤は悲劇的な結末へと導かれていくのです。
「欲望という名の電車」の基本情報 – 原作・監督・興行収入・受賞歴など
「欲望という名の電車」の基本情報を表にまとめました。
原作 | テネシー・ウィリアムズ |
---|---|
監督 | エリア・カザン |
脚本 | テネシー・ウィリアムズ、オスカー・ソウル |
製作 | チャールズ・K・フェルドマン |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 | 1951年9月18日 |
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
興行収入 | $8,000,000(推定) |
受賞歴は以下の通りです。
- 第24回アカデミー賞 主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演男優賞(カール・マルデン)、助演女優賞(キム・ハンター)、美術賞(黒澤明,リチャード・デイ)
- 第4回英国アカデミー賞 主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)
- 第9回ゴールデングローブ賞 主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)
- 第12回ヴェネツィア国際映画祭 国際賞、女優賞(ヴィヴィアン・リー)
- 第16回ニューヨーク映画批評家協会賞 作品賞、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)
「欲望という名の電車」の主要登場人物を紹介!
ブランチ・デュボア(演:ヴィヴィアン・リー)
南部の没落した名家の娘。教養があり上品だが、亡き夫への未練と経済的な困窮から、精神的に不安定になっている。妹夫婦の家に転がり込むが、無骨な義理の弟と衝突し、悲劇を迎える。
スタンリー・コワルスキー (演:マーロン・ブランド)
ステラの夫。ポーランド系移民の2世で肉体労働者。男尊女卑の考えの持ち主で、粗野で乱暴な性格。妻を愛しているが、義姉のブランチとは正反対の人間で対立する。
ステラ・コワルスキー(演: キム・ハンター)
ブランチの妹でスタンリーの妻。姉とは対照的に素朴で世間知らず。スタンリーへの愛情は深いが、姉を心配しながらも、夫と姉の板挟みに苦しむ。
ハロルド・ミッチェル(ミッチ) (演:カール・マルデン)
スタンリーの友人で、ブランチに好意を寄せる。控えめで優しい性格だが、ブランチの過去を知って幻滅し、結婚の話は立ち消えになる。母思いの男でもある。
「欲望という名の電車」のあらすじを結末までネタバレ!
孤独な未亡人ブランチ、妹を頼ってニューオーリンズへ
教師をしていたミシシッピの田舎町から、ブランチは妹ステラの住むニューオーリンズにやってきた。ブランチは亡き夫への未練から精神的に不安定で、一家の財産を使い果たし、職も失っていた。
妹夫婦が住む家は、粗末なアパートの2階。ブランチの到着を喜ぶステラとは対照的に、夫のスタンリーはあからさまに歓迎せず、ブランチの高慢な態度に我慢ならない様子だった。
ブランチとスタンリーの確執が深まる
ある日、酔って帰宅したスタンリーがステラを殴りつけ、ブランチはそれを目撃してしまう。ブランチはステラに「こんな男のもとを去るべきだ」と進言するが、ステラは夫への愛を捨てきれない。
スタンリーはブランチのトランクを荒らし、高価な毛皮や宝石を発見する。「お前はこれを売って金に換えた」とブランチを問い詰め、事実を知って激怒。2人の確執は決定的なものとなる。
ブランチとミッチの関係
スタンリーの友人のミッチは、心優しい男。ブランチに好意を抱き、ブランチも彼に心を開く。2人はデートを重ね、ミッチはブランチにプロポーズする。
しかしその矢先、スタンリーからブランチの過去の素行の悪さを聞かされたミッチは、幻滅し、結婚を取りやめる。打ちのめされたブランチは、現実逃避からますます不安定になっていく。
スタンリーの凌辱によって崩壊するブランチの精神
スタンリーに過去を暴かれ、ミッチとの結婚話が破談になったブランチは、絶望のどん底に突き落とされる。そんなブランチを、スタンリーは欲望のままに犯してしまう。
スタンリーの凌辱によって、ブランチの心は完全に崩壊。妄想に取り憑かれ、「欲望という名の電車」に乗って逃げ出そうとするが、結局精神病院に連れて行かれるのだった。
「欲望という名の電車」のあらすじに隠された意味とは?
「欲望という名の電車」のストーリーには、当時のアメリカ社会の縮図が投影されています。南部の没落貴族の末裔であるブランチは「古き良きアメリカ」の象徴であり、スタンリーに代表される移民2世は「新しいアメリカ」の象徴と言えるでしょう。
2人の対立は、新旧のアメリカ社会の軋轢と見ることができます。また、ブランチの悲劇的な結末は、旧来の価値観が新しい価値観に取って代わられる必然を物語っているのかもしれません。
一方で、ブランチの抱える孤独や絶望、死への願望は普遍的な人間の心象風景とも言えます。特にブランチを演じたヴィヴィアン・リーの名演によって、その深層心理は見事に表現されています。
「欲望という名の電車」の名言3選
「欲望という名の電車に乗って、星に願いを!」
「欲望という名の電車」には、ブランチが「欲望という名の電車に乗って、星に願いを!(原文: I have always depended on the kindness of strangers.)」と叫ぶラストシーンが有名です。精神の崩壊によって現実と妄想の区別がつかなくなったブランチの悲劇が象徴されたシーンと言えるでしょう。
「魔法にかかりたいの。」
また、ミッチとデートするシーンで、ブランチが「魔法にかかりたいの。(原文: I don’t want realism. I want magic!)」というセリフを放つ場面も印象的。現実から逃避したいブランチの心情がよく表れています。
「何もかも、あなたのせいよ。」
ブランチが精神病院に連行される直前、スタンリーに「何もかも、あなたのせいよ。(原文: I blame you for this.)」と言い放つシーンは、2人の相克が極限に達した瞬間です。ブランチの怒りと絶望、そしてスタンリーへの軽蔑が込められた言葉と言えます。
「欲望という名の電車」の見どころ
「欲望という名の電車」の見どころは、何と言ってもヴィヴィアン・リーの熱演でしょう。彼女はブランチを演じることで、アカデミー主演女優賞を受賞しています。繊細で美しくも、どこか影を感じさせるブランチを見事に表現しています。
スタンリーを演じたマーロン・ブランドの怪演ぶりも見逃せません。原作では「類人猿のような」と表現されるスタンリーを、ブランドは強烈な存在感で演じています。狂気じみた歪んだ欲望を感じさせる演技は圧巻の一言に尽きます。
エリア・カザン監督の演出も秀逸です。ワンシーンごとの精緻な心理描写、リアリティのある会話劇、スリリングな展開は、カザンならではの手腕と言えるでしょう。名作たる所以を感じずにはいられません。
「欲望という名の電車」の視聴方法 – 配信サービスなど
「欲望という名の電車」は、各種の動画配信サービスで視聴可能です。以下のサービスで取り扱いがあります(2023年6月現在)。
- Amazon Prime Video
- U-NEXT
- Google Play
- YouTube
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