森見登美彦の青春恋愛小説「夜は短し歩けよ乙女」ってどんな話?
森見登美彦の人気小説「夜は短し歩けよ乙女」をご存知でしょうか?この作品は、2006年に発表された森見登美彦の代表作の1つで、2017年には同名タイトルでアニメーション映画化もされました。
キャッチーなタイトルからは想像しにくいかもしれませんが、「夜は短し歩けよ乙女」は、ちょっぴり不思議な雰囲気漂う青春恋愛小説。舞台は京都の大学で、個性豊かな登場人物たちが織りなす恋の物語が描かれています。
森見登美彦独特の洒落の効いた文章と、ユーモアを交えた会話劇が魅力的。登場人物たちが巻き起こすハプニングの連続に、思わず引き込まれてしまうこと間違いなしです。
そして、「夜は短し歩けよ乙女」というタイトルには、儚くも愛おしい青春の日々と、「人生は短いから、思い立ったが吉日」という前向きなメッセージが込められているのです。
あらすじ 第1章:夜は短し歩けよ乙女
出席:京都の結婚披露宴
5月末、京都府木屋町にある料理店で、大学のクラブOBである赤川康夫と東堂奈緒子夫妻の結婚披露宴が開かれました。先輩も出席しており、中意中の女性である黒髪の乙女と懇意になることを企てていました。
不思議な出会い:先斗町の夜
披露宴後、一人の黒髪の乙女が二次会を断り、先斗町を散策して一杯の酒を求めました。その途中で、錦鯉の養殖を生業とする東堂や、酒を求める羽貫、樋口という人物と出会いました。彼らは乙女に、地元で密かに愛されているカクテル「偽電気ブラン」の存在を教えます。
追求:伝説のカクテル「偽電気ブラン」
黒髪の乙女は、このカクテルの所有者である高利貸しの老人、李白を探すことに決め、羽貫と樋口と共に先斗町をさらに探索します。彼らは酒を交わしながら多くの人々と友情を深め、老人を探してさまよい続けました。
異常な夜:東堂のトラブルと決断
一方、乙女を追っていた先輩は追い剥ぎに遭い、下着を奪われるトラブルに見舞われましたが、東堂に助けられます。東堂は、春画の蒐集と商売の失敗から生じた借金を返済するために、その夜、春画コレクションを売る予定でした。しかし、李白を探す乙女の噂に興奮した調査団の態度に影響され、彼は春画を破り、やけになって死んでやると喚きました。
決着:飲み比べの勝負
その時、乙女たちが現れ、借金の取り立てのために現れた李白と遭遇します。乙女は李白に対して、勝負に勝てば全員の借金を帳消しにし、負ければ2倍にするという条件で飲み比べを提案します。最終的に、乙女は偽電気ブランを手にし、幸福な気分で次々と瓶を開け、ついに李白が飲めなくなり、乙女の勝利で飲み比べが終了しました。
あらすじ 第2章:深海魚たち
盆休みのイベント:下鴨納涼古本祭り
盆休みに入った時期、京都府の下鴨神社では「下鴨納涼古本祭り」が開催されていました。古本市には普段、古本を毛嫌いする先輩も、黒髪の乙女が出かけるとの噂を聞きつけ、これを好機と捉えて参加することにしました。
想定外のトラブル:美少年との遭遇
会場で乙女を探していた先輩は、古本市の神を名乗る美少年に絡まれてしまい、乙女との接触は叶いませんでした。この少年は古書に関する深い知識を持ち、市場の古本を悪質な人々から守り、正しい場所へ戻すために活動していました。その過程で、少年の虚言が原因で先輩は警察に連行されかける事態に。
助けの手:千歳屋の若旦那
先輩を間一髪で助けたのは、「千歳屋」の若旦那でした。若旦那の要請で、先輩は李白が主催する特殊な古書の売り立て会に参加することになります。
極限の試練:火鍋チャレンジ
宴会場では「火鍋」と称される極端に辛い鍋が振る舞われ、参加者はそれを一口食べた後、意識を保った者だけが望む古書を一冊もらえるというルールで競われました。先輩は、乙女が幼少期に愛読していた絵本「ラ・タ・タ・タム」を手に入れるために火鍋チャレンジに全力を尽くします。
決着と予想外の展開
激しい辛さに多くの参加者が倒れる中、最終的に残ったのは先輩と樋口の二人でした。熾烈な勝負の末、先輩が樋口を打ち負かしますが、勝利の直後に古本市の神を名乗る少年が現れ、李白の蔵書を「正しい場所」へ戻してしまいます。
最後のチャンス:絵本の再発見
先輩は必死で古本市を探し回り、「ラ・タ・タ・タム」を見つけ出します。しかし、本を手に取ろうとした瞬間、乙女も同じ本に手を伸ばしていました。先輩は巧みな言葉をかけることができず、本を譲ってその場を後にしました。
あらすじ 第3章:ご都合主義者かく語りき
ナカメ作戦の開始
先輩は黒髪の乙女への一目惚れをきっかけに、「なるべく彼女の目にとまる作戦」、略して「ナカメ作戦」を実行しました。大学内外で偶然を装って乙女と出会い、毎回「先輩、奇遇ですね」や「たまたま通りかかったものだから」と軽い挨拶を交わすのみで、作戦開始から半年が経過しても仲の進展は見られませんでした。
学園祭の到来と問題の発生
晩秋になり、先輩と乙女が通う大学では学園祭の季節が到来しました。学園祭では、先輩の友人である事務局長が、神出鬼没な集団「韋駄天コタツ」やゲリラ演劇「偏屈王」に頭を悩ませていました。樋口さんや羽貫さんなどお馴染みの人物に加え、新たにパンツ総番長や須田紀子という女性が登場し、先輩と乙女は奇怪な事件に巻き込まれていきます。
偶然のチャンス:ゲリラ演劇「偏屈王」
乙女が偶然、ゲリラ演劇「偏屈王」の主演女優として抜擢されることになります。先輩はこの機会を活かして、劇中でヒロインを演じるプリンセス・ダルマとしての乙女と再会するため、「偏屈王」を演じる役を獲得することに奮闘します。
劇的な展開とクライマックス
パンツ総番長から「偏屈王」の役を奪い取った先輩は、学園祭の最終幕で見事にその役を演じます。そして、劇の終わりには黒髪の乙女を抱きしめることに成功し、「ナカメ作戦」は劇的な成功を収めるのでした。
あらすじ 第4章:魔風邪恋風邪
思い出と風邪の苦しみ
十二月も中旬になり、乙女は先輩の腕に抱かれたことを思い出しながらボーっとしていました。一方、先輩はアパートの一室で一人、風邪に苦しんでいました。京都中の人々も同様の症状に悩まされており、その中には樋口さんや東堂さんも含まれていました。
神秘の薬「ジュンパイロ」の登場
乙女は夏の古本市で出会った少年（古本市の神様）に再会し、どんな病気でも治せるという薬「ジュンパイロ」を譲り受けました。この薬を京都中を騒がせている風邪の元凶とされる李白さんの元へ届けると、李白さんが薬を舐めたことで大きな咳が起こります。
竜巻の中の再会
李白さんの咳により、その身体内で暴れていた風邪の神様が竜巻となって飛び出し、その竜巻に乙女も巻き込まれて天空へと連れ去られました。天空で乙女は竜巻によって同じく攫われていた先輩に再会します。
新たな始まり
先輩が下宿で目を覚ますと、そこには乙女が自分の手を握っていました。この出来事を経て、二人の仲はさらに進展し、新年を迎えた時には一緒にデートに行く仲にまで発展していました。
小説とアニメ、それぞれの魅力を味わい尽くそう!
「夜は短し歩けよ乙女」の魅力は、小説とアニメ、それぞれの表現方法の違いにも存在します。原作小説では、森見登美彦独特の文体や言葉遊びを堪能できるでしょう。一方アニメ版では、独創的な映像表現と、耳に残る音楽の数々が印象的です。
原作の文体の妙味や、アニメの映像美・音楽の素晴らしさにも注目
小説「夜は短し歩けよ乙女」では、森見登美彦のシュールでユーモラスな文章が物語を彩ります。会話文のリズムの良さや、巧みな言葉遊びなど、読み手を飽きさせない工夫が随所に散りばめられています。
一方、アニメ「夜は短し歩けよ乙女」では、独創的な映像表現が目を引きます。独特のタッチで描かれたキャラクターたちの表情や、京都の街並みの美しさは必見です。さらに、アニメーション制作スタジオ・サイエンスSARUならではの、躍動感あふれる演出にも注目したいところ。
小説とアニメ、それぞれの表現方法の違いを楽しむことで、「夜は短し歩けよ乙女」の魅力をより深く味わえるでしょう。ぜひ両方に触れて、作品の世界観を存分に堪能してみてください。あなたもきっと、先輩と黒髪の乙女の恋模様に胸を躍らせずにはいられないはずです。
