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「ジュラシック・パーク」は、1993年に公開された映画史に残る傑作です。
絶滅した恐竜を現代に蘇らせた孤島のテーマパーク。そこで起きた、想像を絶する恐竜パニック。
スティーブン・スピルバーグ監督が、リアルなCGを駆使して描いた、スリリングなサバイバル・アドベンチャー。
その革新的な表現は、公開から30年経った今なお、色褪せない魅力を放っています。
空前の大ヒットを記録し、シリーズ化された本作。人間の驕りと、自然の脅威が衝突する、究極のエンターテインメントをお楽しみください。
映画ファンなら知っておくべき伝説の作品を、5分で分かるあらすじと見どころでご紹介します。
「ジュラシック・パーク」のあらすじ【起】恐竜テーマパークの誕生
ジョン・ハモンド率いるインジェン社が、恐竜のDNAからクローンを復元
ハモンドはかねてより、太古の昔に絶滅した恐竜の復活を夢見ていた。コハク中に閉じ込められた蚊の血液から恐竜のDNAを抽出することに成功し、ついにその夢を実現させたのだ。現代の技術で、6500万年前のジュラ紀やクジラ紀に生きていた恐竜を蘇らせる。それはまさに奇跡とも言えるプロジェクトであった。
コスタリカの離島にテーマパーク「ジュラシック・パーク」を建設
ハモンドはクローン技術の実用化に成功しただけでなく、観光事業としても成功を収めようと考えていた。サンフランシスコの近海に浮かぶイスラ・ヌブラル島を購入し、そこに恐竜を放し飼いにするためのテーマパークの建設を開始したのだ。トカゲのような小型の草食恐竜から、ティラノサウルス・レックスのような超大型肉食恐竜まで、多種多様な恐竜を繁殖させ、生態系を再現。世界中から観光客を集める一大アトラクションを目指していた。
「ジュラシック・パーク」のあらすじ【承】専門家たちによる試験運転
古生物学者のグラント博士、古植物学者のサトラー、数学者のマルコムらが招待される
オープン直前、ハモンドはパークの安全性を確認するため、専門家を招いて試験運転を行うことにした。エリー・サトラーは、ジュラ紀やクジラ紀の植物についての第一人者。アラン・グラントは鳥類の起源であるとされる小型の肉食恐竜ディロフォサウルスを研究するパレオンドロジストだ。イアン・マルコムは数学の理論に基づき、複雑系の挙動を予測するカオス理論を提唱した人物。三者三様の視点から、ジュラシック・パークというプロジェクトの是非を問うことになる。
ハモンドの孫のティムとレックスも一緒に園内を見学
ハモンドの孫であるティムとレックスも、パークの試験運転に同行することになった。恐竜マニアのティムにとって、それは夢のような体験だった。姉のレックスも大興奮で、目を輝かせながらジープの窓から身を乗り出す。
ティムは各恐竜の特徴を、まるで博士のように語ってくれた。彼の博識ぶりは目を見張るものがあり、グラントたち専門家も舌を巻く。大人顔負けの知識と探究心を見せる少年に、ハモンドは我が事のように誇らしげだ。
「ジュラシック・パーク」のあらすじ【転】恐竜たちの脱走と大パニック
不正を企んだ職員により、システムが停止。ティラノサウルスが柵を突き破る
パークの管理プログラムを設計したデニス・ネドリーは、あるスパイから企業秘密を盗み出すよう持ちかけられていた。大金と引き換えに、恐竜の胚を持ち出そうと企む。
その過程で、彼はパークのシステムを止めてしまう。セキュリティシステムはダウンし、電気柵が無力化されてしまった。
絶好の隙を突いたのが、ティラノサウルス・レックスだった。想像を絶する筋肉で電気柵を踏み倒し、自由の身となる。キングオブモンスターの咆哮が園内に轟く。
人間の驕りが生み出した “楽園” が、一瞬にして恐竜たちの狩り場へと変貌する。
猛威を奮うティラノサウルス。次々と犠牲者が。必死の脱出劇が始まる
Tレックスに襲撃されたジープの中で、グラントとマルコム、子供たちは恐怖に震えていた。
グラントは必死に子供たちを庇いながら、車外に脱出する方法を探る。マルコムが身を挺して囮になり、なんとか子供たちを逃がすことに成功する。
しかし、Tレックスの前に無力な人間たち。法廷弁護士のジェナロは、Tレックスに見つかり、無残にも食い殺されてしまった。恐竜の本能と人間の理性が衝突し、犠牲者の数は増える一方だった。
「ジュラシック・パーク」のあらすじ【結】恐竜パークの崩壊と生還
グラントたちはレックスとティムを連れ、ビジターセンターに避難
グラントは子供たちを守りながら、ビジターセンターを目指す。
恐竜に翻弄されながらも、なんとか無事にビジターセンターへとたどり着いた。
そこでグラントは、システムを復旧させて脱出する算段を立て始める。しかし、制御室のコンピューターに不慣れな彼らには、容易なことではない。
建物内でも恐竜に襲われる危機が。ようやく救助のヘリコプターが到着
ビジターセンターの中は静まり返っていた。だが、不気味な音が建物の奥から聞こえてくる。
知能の高いラプトルがビルに侵入していたのだ。グラントと子供たちは、再びラプトルから必死に逃げ惑う。
間一髪のところで、救助のヘリコプターが到着。あわやというところで、グラントたちは屋上のヘリポートまで逃げおおせた。
大きく揺れるヘリコプターの中から、崩壊していくジュラシック・パークを振り返る。そこには、人間の驕りが招いた悲劇の爪痕が残されていた。
「ジュラシック・パーク」のみどころ【1】リアルな恐竜のCG
本作の革新的なCGが、リアルな恐竜の姿を映画史上初めて実現
「ジュラシック・パーク」以前は、恐竜を映像化する際にはストップモーションなどの特殊撮影が使われていた。
しかし、それらは現代の目で見ると、どこか不自然で、リアリティに欠ける。
ところが「ジュラシック・パーク」では、CGによってこれまでにないレベルのリアルさを実現。恐竜の皮膚のディテールから、目の動きに至るまで精密に再現されている。
本作の登場によって、恐竜映画の表現は革命的に進化した。まさに、恐竜映画の金字塔と言えるだろう。
スピルバーグ監督は最新技術を駆使し、圧倒的な臨場感を演出
スティーヴン・スピルバーグ監督は、「ジュラシック・パーク」では恐竜の造形にとことんこだわった。
彼の目指したのは、恐竜を”再現”することではなく、あたかも本当に”復活”させること。そのためには、最新鋭の映像技術が不可欠だった。
当初はフィル・ティペット率いるチームによるコマ撮りのアニメーションが予定されていた。しかし、ILMがCGでの恐竜表現に成功したのを見たスピルバーグは、大胆にも全面的にCGを使う決断を下す。
絵コンテの段階からCGを前提に構成を練り直し、ロケーションの選定にも気を配った。実写とCGをシームレスに融合させ、圧倒的なリアリティを生み出すことに成功したのだ。
「ジュラシック・パーク」のみどころ【2】スリリングな恐竜パニック
次々と恐竜が脱走し、人間たちを襲う。息つく暇のないパニック展開
ジュラシック・パークのシステムがダウンし、恐竜たちが次々と柵から脱走する。
大股で迫り来るTレックス、俊敏な動きのラプトル、大きな体で襲いかかるブラキオサウルスなど、多種多様な恐竜が人間を襲う。
主人公たちは、絶え間ない恐竜の脅威から逃れようと、必死で走り回る。時には身を隠し、時には果敢に立ち向かう。
予測不能な恐竜の行動と、驚がくの展開に、観客は息をつく暇もない。まさに手に汗握るパニックアドベンチャーだ。
ティラノサウルスの迫力、ラプトルの知能の高さなど、恐竜たちの脅威が全編に
中でも、シリーズの顔とも言えるのが、ティラノサウルス・レックスだ。
そのあまりの巨体と、鋭い歯を むき出しにして 咆哮する姿は、見る者の度肝を抜く。
一方、ヴェロキラプトルの機敏な動きと高い知能は、人間をも上回る脅威だ。ドアの開け方を学習したり、驚くべき素早さで獲物に襲いかかる。
そうした恐竜たちの生態は、映画を通して克明に描かれる。まるで本当に恐竜が生きているかのような感覚を、観客は味わうことができるのだ。
「ジュラシック・パーク」の興行成績と評価
公開当時、空前の大ヒットを記録。興行収入は全世界で9億ドル以上
「ジュラシック・パーク」が生み出した興行収入は、当時の映画史上空前のものだった。
公開から数週間で2億ドルを突破し、最終的には全世界で9億2000万ドル以上を記録。1993年の全米興行収入ランキングでも、堂々の1位に輝いている。
スピルバーグ監督の驚異的な記録は、「E.T.」に次ぐ歴代2位の成績。「ジュラシック・パーク」の社会現象ぶりが伺える。
当時の1ドル100円計算で考えると、900億円以上の興行収入ということになる。まさに、モンスターヒットと呼ぶにふさわしい結果を残した。
アカデミー賞の視覚効果賞など、多くの映画賞を受賞
「ジュラシック・パーク」は、映画賞でも絶賛された。
何と言ってもアカデミー賞視覚効果賞の受賞は記憶に新しい。当時の映像技術の粋を集めたCGが高く評価され、スピルバーグ作品としては初のVFX賞獲得となった。
他にも、サウンド・エディティング賞とサウンド賞の計3部門を制覇。「ジュラシック・パーク」の映像と音のクオリティの高さを裏付ける結果となった。
この他、英国アカデミー賞やサターン賞などでも軒並み受賞。まさに、1993年を代表する最高の映画として、広く認知されたと言えるだろう。
シリーズ化され、現在も人気を博している
「ジュラシック・パーク」は、”パーク”シリーズと、”ワールド”シリーズの2つに枝分かれしながら、続編が作られ続けている。
スピルバーグ監督自らメガホンを取った「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」を筆頭に、パークシリーズは3作品が製作。
2015年からは、新たに「ジュラシック・ワールド」シリーズが展開されている。「炎の王国」では、シリーズ初のロケーション撮影も敢行された。
そして2022年、「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」にてシリーズは一旦の完結。「パーク」シリーズと「ワールド」シリーズのキャストが集結し、壮大なフィナーレを迎えた。
これだけ長きにわたって人気を博しているシリーズは、そうそうない。それだけ「ジュラシック」の世界観が、人々を魅了してやまないのだ。
「ジュラシック・パーク」を小説で読むなら?
「ジュラシック・パーク」の醍醐味は、何と言っても恐竜の存在感とスリリングな物語だ。
しかし、2時間ほどの映画では描ききれない背景も数多くあるはず。 そんな映画の”外側”を知りたい方におすすめなのが、原作小説だ。
作者はマイケル・クライトン。映画とタイムラグなく、1990年に発表された。
小説版「ジュラシック・パーク」は、400ページを超えるボリュームながら、むしろ内容は映画よりコンパクト。
その分、恐竜の生態や登場人物の心理、ジュラシック・パークの仕組みなどが、より掘り下げて描かれている。
映画ではあっさりしていた伏線も、しっかりと回収されるのが小説版の魅力だ。
小説版は、マルコムの予言や恐竜繁殖の仕組みなど、より詳細に描かれている
小説版の主要人物の一人に、イアン・マルコムがいる。
彼はカオス理論の専門家で、当初からジュラシック・パークの欠陥を指摘していた。マルコムの警告は、パークの悲劇を暗示するかのようだ。
また、小説版では恐竜の繁殖を巡る驚くべき事実も明かされる。全ての恐竜を雌にする管理システムの罠とは?生命の神秘に対する畏敬の念が、より強く描かれている。
他にも、ネドリーの裏切りの理由やハモンドの人物像など、キャラクターの背景にも踏み込んでいる。まさに、「ジュラシック・パーク」の全貌に迫る一冊だ。
ティムとレックスは映画とは逆の年齢設定。ストーリーの細部にも違いが
小説版で最も印象的なのは、ティムとレックスの年齢設定だ。
実は2人の兄妹は、映画とは逆の設定になっているのだ。小説版では、ティムが年上で、レックスが年下の妹という設定。
ティムは小説版でも恐竜マニアだが、博識ぶりはさらに際立っている。一方、妹のレックスは少々わがままなところもあり、ピンチの際には非常にパニックになる。
この設定の違いによって、物語の細部にも変化が生まれている。例えば、映画ではティムがフェンスの電流に触れてしまうが、小説ではレックスの方が感電してしまう。
その後のティムの機転により窮地を脱するエピソードも、小説版ならではの見どころだ。
こうした設定の違いは、小説と映画それぞれの魅力を生んでいる。ぜひ、原作小説を通して「もう一つのジュラシック・パーク」を味わってみてはいかがだろうか。