「ある閉ざされた雪の山荘で」のネタバレ徹底解説!衝撃のラストと映画・舞台の見どころは?

「ある閉ざされた雪の山荘で」のあらすじをネタバレ

プロローグ

主人公の俳優志望の青年・久我和幸は、憧れの女優・元村由梨江に近づくため、彼女が所属する実力派劇団「水許」の次回作オーディションを受け、300人の中から唯一の合格者となる。合格通知とともに、オーディション合格者7人による乗鞍高原のペンションでの合宿の案内が届く。久我はそこで、「誰かに口外したり欠席をした者は、オーディションの合格を取り消す」と書かれているのを見つける。

1日目〜4日目

合宿当日、ペンション「四季」に集められた7人。しかし演出家の東郷陣平の姿はない。代わりに東郷からの手紙が届き、「豪雪に閉ざされた山荘での殺人劇」の設定で即興劇をするよう指示される。さらに「外部と接触した者はオーディション合格を取り消す」とも書かれていた。
2日目、1人目の「殺され役」笠原温子が失踪。遺された紙には「ピアノ傍の笠原の死体」と書かれている。残された6人は犯人探しを始めるが、3日目に2人目の元村由梨江が失踪。次々とメンバーが姿を消す中、久我は「これは本当に芝居なのか」と疑念を抱き始める。
そして4日目の朝、全員が催眠状態に陥り、3人目の雨宮恭介が殺害される。久我はこの時点ですべての事件の真相に辿り着いており、最後の場面で犯人に向かって「もうこれで終わりなんですね?」と語り掛けるのだった。

「ある閉ざされた雪の山荘で」の登場人物

劇団「水許」の団員

  • 久我和幸 – 俳優志望の青年。元村由梨江に一目惚れし、彼女の所属する劇団のオーディションを受ける。
  • 元村由梨江 – 久我が憧れる「水許」の女優。2日目に失踪する。
  • 笠原温子 – ピアノが得意な女優。1日目の夜に姿を消す。
  • 雨宮恭介 – 4日目の朝に殺害される3人目の被害者。
  • 田所義雄、本多雄一、中西貴子 – 事件の生存者。複雑に絡み合う人間関係が物語のカギを握る。

その他の人物

  • 東郷陣平 – 「水許」の演出家。合宿には姿を見せず、手紙で指示を送る。
  • 麻倉雅美 – 先月のオーディションで不合格となり、スキー事故で重傷を負った元劇団員。彼女の存在が事件に大きな影響を与える。
  • 小田伸一 – ペンション「四季」の管理人。オーディション合格者7人の到着を伝えるが、東郷の宿泊は聞いていないと告げる。

「ある閉ざされた雪の山荘で」の見どころ3選

1. 狂気に満ちた密室劇

孤立したペンションを舞台に、次々と登場人物が殺されていく本作。実際には閉ざされておらず、豪雪に見舞われてもいないのに、あたかもそうであるかのように振る舞わなければならない状況設定が、7人の若者を徐々に追い詰めていく。外界から隔絶された極限空間で、人間の本性が剥き出しになる様は圧巻だ。

2. 不気味に交錯する人間模様

事件の背景には、オーディションに落ちて自殺未遂をした麻倉雅美の存在があった。彼女と7人の若者たちの関係性など、劇団内外の複雑な人間ドラマが絡み合う。表面上は芝居の設定で動いているように見えながら、登場人物たちの内面に渦巻く嫉妬や憎しみ、恐怖心理が絶妙に描かれている。

3. 鮮やかに決着する驚愕のトリック

ラストで明かされる真犯人と、その意外な動機。唐突に見えて、しかし伏線は至る所に張り巡らされていた。芝居と現実が入り混じる異様な状況設定自体が、犯人の周到な計算によって生み出されたものだったのだ。本格ミステリとしても見事に完成されており、ぜひ味わってほしい作品である。

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」と原作の違い

新たに書き下ろされたエピソード

2024年公開の映画版には、原作にはないオリジナルのエピソードがいくつか盛り込まれている。例えば、久我と元村の出会いのシーンや、事件後の2人の関係性など、より人間ドラマに焦点を当てた描写が追加されている。

キャラクターの心情描写の違い

映画版では、各登場人物の心理描写がより丁寧に描かれている印象だ。特に事件のキーパーソンとなる麻倉雅美の心情や、犯人の動機に関わる部分は、原作よりも掘り下げられているように感じられる。役者の表情や身振りによって、登場人物の内面がより立体的に浮かび上がるのは、映像作品ならではと言えるだろう。

舞台「ある閉ざされた雪の山荘で」の注目ポイント

緊張感あふれる演出

2024年1月に上演された舞台版は、密室劇の持つ閉塞感や息苦しさを巧みに表現していた。舞台セットの工夫や照明効果によって、外界から遮断された孤立無援の状況が見事に演出されている。観客もまるで劇中の登場人物になったかのような錯覚を覚えずにはいられないだろう。

個性豊かなキャスト陣の好演

7人の若手俳優たちが織りなす息のあったアンサンブルも必見だ。演技派の面々が集結し、それぞれの登場人物の特徴を見事に体現している。彼らの繊細な表情や所作から、隠された秘密や真意をはっきりと読み取ることができるはずだ。生で観る舞台ならではの臨場感と一体感を、ぜひ味わってもらいたい。