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ヴィンランド・サガの基本情報
「ヴィンランド・サガ」は、幸村誠による日本の漫画作品です。2005年から「週刊少年マガジン」(講談社)で連載が開始されましたが、週刊連載に作者の執筆が追いつかず、「月刊アフタヌーン」(講談社)に移籍し、月刊連載のペースで続けられています。
単行本の発行部数は2019年9月時点で550万部を突破する人気作品となっており、数々の漫画賞も受賞しています。2019年7月からは、WIT STUDIO制作によるテレビアニメが放送され、原作のファンのみならず多くの新たなファンを獲得しました。
物語の舞台設定と内容
あらすじを読む上で知っておきたい設定
物語の舞台は11世紀初頭のヨーロッパです。当時のイングランドやデンマークを中心に、ヴァイキングが跳梁跋扈していた時代が描かれます。ヴァイキングとは、スカンディナヴィア半島からやってきた海賊集団のことで、その勇猛果敢さから「海の荒くれ者」と恐れられていました。
作中に登場する「ヴィンランド」とは、ヴァイキングの一団が到達したとされる北アメリカ大陸の一部のことです。主人公のトルフィンは、11世紀に実在したとされるアイスランド人の商人をモデルとしています。
物語全体の概要
本作は、ヴァイキングに父親を殺されたトルフィンが、仇であるアシェラッドに復讐するために戦士となり、やがて「本当の戦士」の意味を知っていく成長物語です。壮大な歴史ロマンと、魅力的なキャラクターたちの生き様が描かれた作品となっています。
物語は、少年期のトルフィンがアシェラッドの部下となって戦場を駆け抜ける「戦士編」、クヌート王の下で戦う「デンマーク編」、奴隷となったトルフィンの葛藤を描く「奴隷編」、新天地を目指す「ヴィンランド編」と、大きく分けて4部構成となっています。
ヴィンランド・サガの主要登場人物
トルフィン
本作の主人公。幼くして父を殺されたことで、その仇・アシェラッドに復讐心を燃やす。アシェラッドの部下となり、剣の腕を磨く日々を送る。感情を表に出さない静かな青年だが、戦闘では凄まじい闘志を見せる。
アシェラッド
トルフィンの仇であり、ヴァイキング戦士長。戦略眼に優れ、卓越した武術の持ち主。トルフィンの父・トールズを部下に取り込もうとするが、拒絶されたため彼を殺害する。王族の血を引くウェールズ人の母を持つ。
クヌート
デンマーク王・スヴェンの末子。病弱で臆病な少年王子だったが、アシェラッドとの出会いを経て、立派な王へと成長していく。トルフィンとは、互いに影響を与え合う存在。
トールズ
トルフィンの父であり、ヨーム戦士団「戦鬼(トロル)」の異名を持つ伝説の戦士。戦場に倦んで平穏な生活を求めるが、アシェラッドの策略により命を落とす。トルフィンにとって、戦士としての目標となる存在。
ヴィンランド・サガ プロローグ編・幼少編のあらすじ
物語は、1013年のイングランド・フランク王国領でのヴァイキングの略奪シーンから始まります。アシェラッド率いる兵団は、フランク軍を壊滅させ、略奪を繰り返します。アシェラッドの部下の中には、まだ幼いトルフィンの姿もありました。
10年前、アイスランドに住むトールズは、妻のヘルガと娘のユルヴァ、幼い息子のトルフィンと穏やかに暮らしていました。しかしある日、トールズの旧友フローキがやってきて、デンマーク王スヴェンのイングランド遠征に参加するよう迫ります。
実はトールズは、かつてヨーム戦士団の大隊長を務めていましたが、ある日突然姿を消していたのです。村人を人質に取られ、やむを得ずイングランド行きの船に乗り込むトールズ。そこへトルフィンが密航してしまいます。
フェロー諸島に立ち寄った一行を待ち受けていたのは、アシェラッドの罠でした。アシェラッドはトールズの首と引き換えにフローキから金をせしめるつもりでしたが、トールズは素手の戦いでアシェラッドを追い詰めます。しかし人質となったトルフィンを盾に取られ、一行の無事を約束させた上でトールズは命を落としてしまいます。
復讐心に燃えるトルフィンは、トールズ譲りの剣の才能で戦士としての力をつけ、アシェラッドのもとで仇討ちの機会を伺います。一方アシェラッドは、スヴェン王の子・クヌートを担ぎ上げて、デンマークの王位を狙っていました。
ヴィンランド・サガ ブリテン編のあらすじ
トルフィンは、アシェラッド率いるヴァイキング軍の一員として、デンマーク王スヴェンのイングランド征服戦争に加わります。当時イングランドを守っていたのは、ロンドン領主のトルケルでした。トルフィンはアシェラッドの命を受け、トルケルと対決するも善戦するだけで敗北します。
一方、トルケルに敗れたスヴェン王は、息子のクヌートを人質として差し出し、和睦を図ろうとします。しかしアシェラッドはこれを好機ととらえ、クヌートを奪還。自分の野望のために王子を担ぎ上げようと目論みます。
デンマーク軍はウェールズを経由してデンマークに帰還することになりますが、国王スヴェンはクヌートを抹殺しようと軍を差し向けます。絶体絶命のピンチに陥ったアシェラッドでしたが、クヌートを盾に取り、王に反旗を翻します。
追い詰められたスヴェン王は、クヌートにアシェラッドの始末を命じます。アシェラッドはこれを予期していたかのように、自ら命を絶ってクヌートに王位を譲ります。目的を失ったトルフィンは、復讐心から解き放たれますが、同時に生きる意味を見失ってしまうのでした。
ヴィンランド・サガ 奴隷編のあらすじ
アシェラッドの死後、錯乱状態に陥ったトルフィンは奴隷身分に落とされ、デンマークの大農園主ケティルに買われていきます。そこで出会ったのが、同じく奴隷の青年エイナルでした。
ともに農場で働くことになった2人は、次第に信頼関係を築いていきます。ケティルもまた、かつては「鉄拳のケティル」と呼ばれる戦士でしたが、今は領主として農場を治めていました。
ケティルには、跡取り息子のオルマーと、もう1人の息子トールギルという2人の息子がいました。オルマーは跡取りとしてのプレッシャーから、トルフィンたち奴隷を見下す態度を取ります。一方のトールギルは、かつての戦士の勲章を誇る人物でした。
一方、新王となったクヌートは、イングランドとデンマークの双方を統治下に収めるため、軍資金が必要となっていました。目をつけたのがケティルの農場でした。裏切り者の烙印を押すことで、ケティルの財産を没収しようと企みます。
ケティル農場に兵が差し向けられ、戦闘状態に突入します。圧倒的な軍勢を前に、トルフィンは一計を案じます。クヌートのもとに直談判に行き、農場の存続と引き換えに自分が人質になる、という提案を行ったのです。
クヌートはトルフィンとの対話を通じ、武力による支配ではない道を模索し始めます。戦いを避けるため、クヌートは農場の接収を取りやめることを決断。トルフィンは平和な世界を作る決意を新たにするのでした。
ヴィンランド・サガ その後の展開
繋がれたアジサシ編のあらすじ
ヴィンランドでの平和な国作りを目指し、トルフィンは仲間を集めて旅に出ます。立ち寄ったアイスランドで、グズリーズという女性が密航してきたことから、思わぬトラブルに巻き込まれることに。
グズリーズはレイフの義理の妹で、戦士に憧れる勝ち気な少女でした。約束の結婚を控えていましたが、自由を求めてトルフィンたちの船に乗り込んできたのです。一行はグズリーズを追ってきた婚約者シグルドとその一味に追われる羽目になります。
ヴィンランド建国編のあらすじ
トルフィンたちはついにヴィンランドへとたどり着きました。しかしそこで出会ったのは、先住民や他のヴァイキング集団など、思わぬ障害の数々でした。
武力によらず、耕作と交易によって共存共栄を目指すトルフィンでしたが、それは容易なことではありません。様々な苦難を乗り越えながら、新たな理想郷を作り上げていくトルフィンの戦いは、新章を迎えるのでした。
以上が「ヴィンランド・サガ」のあらすじとなります。戦乱の世を生きる若者トルフィンが、仇討ちの運命に翻弄されながら、最終的には平和な世界を目指していく冒険譚をダイナミックに描いた作品です。ぜひ原作やアニメで、より詳細なストーリーをお楽しみください。