【結末までネタバレ】映画『クロッシング』のあらすじと見所を徹底解説!キャストや評価も紹介

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映画『クロッシング』のあらすじ【ネタバレあり】

ストーリー概要

『クロッシング』は、2009年に公開されたアメリカ映画で、ニューヨークのブルックリンを舞台に、3人の警察官の交錯する人生を描いたクライムサスペンス作品です。事件が多発する地域で、それぞれ異なる立場と問題を抱えた警官たちが、思わぬ事件に巻き込まれていきます。

退職間近のベテラン刑事エディは、もはや刑事の仕事に情熱を失っており、事なかれ主義で日々を過ごしています。一方、麻薬捜査課のサルは、より良い環境に家族を引っ越しさせるため、必死に貯金をしようとしますが、 現状を打破するのは容易ではありません。そして、ギャングに潜入捜査を続けるタンゴは、時に命の危険を感じながらも、組織の一員として振る舞い続けなければなりません。

3人の警官は、それぞれの立場で難しい決断を迫られる事件に直面します。エディ、サル、タンゴの3人の人生が交錯していく中で、彼らは自らの信念や正義感に問いを投げかけられることになるのです。

登場人物と警察官3人の関係性

本作の主要登場人物は、以下の3人の警察官です。

  • エディ(リチャード・ギア):ベテランの刑事。定年退職が近く、 仕事に対する情熱を失っている。
  • サル(イーサン・ホーク):麻薬捜査課の刑事。家族のために奮闘するが、金銭的に苦しい状況にある。
  • タンゴ(ドン・チードル):ギャングに潜入している捜査官。二重生活に疲れ、精神的に限界が近づいている。

3人の警官は同じ警察署に所属していますが、普段はそれぞれ異なる部署で働いています。ただし、麻薬絡みの事件で情報共有や協力をすることがあります。また、ベテランのエディは若手の刑事の相談役として時折登場します。3人は直接の上下関係にはありませんが、階級や経験の違いから、微妙な力関係が存在しています。

本作では、3人がそれぞれ抱える問題が絡み合い、思わぬ形で人生が交差していきます。個人的な悩みを抱える3人の警官が、同じ事件に巻き込まれていく中で、それぞれの正義感や信念が試されていくのです。

『クロッシング』の見所と重要なシーン

エディが直面する道徳的ジレンマ

ベテラン刑事のエディは、ある事件の調査中に、女性の情報提供者と親密な関係になります。彼女から得た情報で捜査が進展するものの、その過程でエディは彼女を裏切らざるを得ない状況に追い込まれます。正義のために不正をただすべき警官でありながら、情に流されて情報提供者を利用するエディの姿は、彼の道徳的ジレンマを如実に表しています。

エディはこの件で良心の呵責に苛まれますが、最終的には刑事としての職責を全うするために、苦渋の決断を下します。エディの選択は、警察官という立場と個人の感情の間で揺れ動く、人間味あふれるキャラクターを印象づけています。

サルの家族のために奮闘する姿

麻薬捜査課の刑事サルは、妻子を持つ家族思いの男性ですが、金銭的に苦しい状況に置かれています。より安全で良い環境に家族を住まわせるため、必死に貯金をしようとするサル。しかし、倹約を重ねても捻出できる金額には限りがあります。

追い詰められたサルは、ローンの審査に通すために必要なお金を得るべく、違法な捜査にまで手を染めてしまいます。家族を守るという目的のためとはいえ、警察官でありながら不正に手を染めるサルの姿は、彼の決死の覚悟と愛情の深さを同時に感じさせます。

タンゴの内面的葛藤と自己犠牲

ギャングに潜入している捜査官タンゴは、長期間に渡る潜伏でストレスを抱えています。表向きはギャングの一員として振る舞わなければならないタンゴは、いつ正体がバレるかという恐怖と、二重生活の疲労に苦しんでいます。潜入先のボスであるカスパーとは親友のように接していましたが、その関係性ゆえに、裏切り者として処刑される危険性も高まっています。

そんな中、タンゴはカスパーから重要な情報を得る機会を得ますが、それを警察に伝えることはカスパーを裏切ることを意味します。任務を全うするべきか、友情を選ぶべきか。究極の二者択一を迫られたタンゴは、最終的には潜入捜査官としての使命感から、カスパーを裏切ることを決意します。任務のために自分の命を危険に晒し、心を痛めながらも職責を果たすタンゴの姿は、彼の強い正義感と自己犠牲の精神を体現しています。

『クロッシング』のキャストと評価

主要キャストの紹介

『クロッシング』の主要キャストは、ハリウッドを代表する実力派俳優たちが名を連ねています。

エディ役を演じるのは、『プリティ・ウーマン』などで知られるリチャード・ギア。ギアはベテラン刑事の渋みとどこか人生に疲れた様子を見事に演じています。

サル役のイーサン・ホークは、『ビフォア』シリーズなどで知られる名俳優。身に迫る危険と家族への愛情の間で葛藤するサルの姿を熱演しました。

そして、タンゴ役を務めるのは、『ホテル・ルワンダ』などで知られるドン・チードル。極限状態に置かれた潜入捜査官の苦悩を、チードルは繊細な演技で表現しています。

その他、脇を固める俳優陣も豪華で、ウェスリー・スナイプスやエレン・バーキンなども出演しています。

映画の評価と受賞歴

『クロッシング』は、批評家からは賛否両論の評価を受けました。映画レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは、支持率44%、平均スコア5.5/10という結果になっています。また、Metacriticでは43/100点と、やや低めのスコアが付けられています。

批評家からは、「ストーリーの展開が予定調和的」「登場人物の心理描写が表面的」といった辛口のコメントが寄せられる一方で、「俳優陣の演技力は高い」「スリリングな展開が良い」など、好意的な意見もありました。

本作はアカデミー賞などの主要な映画賞には縁がありませんでしたが、出演者たちの演技力は高く評価されました。特に、リチャード・ギアとイーサン・ホークの名演技は、本作の見所の一つと言えるでしょう。

興行的には、2,500万ドルの製作費に対し、全世界で3,600万ドル以上を稼ぎ出し、一定の成功を収めました。

評価は分かれるものの、ハリウッドを代表する俳優たちが結集した本作は、クライムサスペンス映画としての見応えは十分。緊迫感溢れるストーリー展開と、俳優陣の熱演を楽しむことができる作品だと言えます。

『クロッシング』の関連情報

監督と製作背景

『クロッシング』の監督を務めたのは、アントワーン・フークア。フークアは、2001年の『トレーニングデイ』で、デンゼル・ワシントン主演の刑事映画を手がけ、高い評価を得ています。本作では、再び警察を題材にしたストーリーを描いており、フークア監督の得意分野と言えます。

本作の製作総指揮には、ダニー・ディンボートやトレヴァー・ショートなど、ハリウッドで長年活躍するベテランプロデューサーたちが名を連ねています。撮影監督は、リーアム・ニーソン主演の『96時間』シリーズなどで知られるパトリック・ムルギアが担当しました。

『クロッシング』は、ミレニアム・フィルムズとプレシディオの共同製作により実現しました。製作費は2,500万ドル。2009年1月に米国で公開され、その後世界各国で上映されました。日本では2010年10月に公開されています。

類似作品と続編の可能性

『クロッシング』と同様に、複数の警官の物語が交錯するマルチストーリー構成の作品としては、1997年の『L.A.コンフィデンシャル』や2004年の『Crash』などが代表的です。これらの作品では、様々な立場の警官たちが登場し、それぞれの物語が絡み合っていくという点で共通しています。

また、近年では、『トレーニングデイ』のテレビシリーズ化も話題になりました。このように、警察を題材にしたドラマは根強い人気があり、本作の世界観を発展させた新たな作品が製作される可能性は十分にあると言えるでしょう。

ただし、本作については続編の製作は発表されておらず、スタンドアローンの作品として完結しています。エディ、サル、タンゴの3人の物語は、本作できっちりと終わりを迎えているため、彼らを主人公にした続編が作られる可能性は低いかもしれません。

とはいえ、ブルックリンを舞台に、また別の警官たちの人生の交錯を描くような新作が登場する日が来るかもしれません。刑事映画ファンとしては、本作と同じようなスリリングな作品が生まれることを期待したいところです。

以上が、映画『クロッシング』のあらすじや見所、キャスト、評価、関連情報などをまとめた記事となります。この作品を通して、警官という職業の難しさと、人間の弱さ、そして強さが描かれています。ぜひ、本作を観ていただき、登場人物たちの生き様を感じてみてください。