【ネタバレあり】小説『モモ』のあらすじを全編解説!登場人物や見所もまとめ

本コンテンツはあらすじの泉の基準に基づき制作していますが、本サイト経由で商品購入や会員登録を行った際には送客手数料を受領しています。

『モモ』ってどんな作品?あらすじを簡単に紹介!

『モモ』の基本情報

『モモ』は、1973年に発表されたドイツの作家ミヒャエル・エンデの児童文学作品です。ドイツ語のオリジナル版のページ数は、304ページ。日本では岩波書店から出版されており、大島かおり氏の翻訳で読むことができます。

本作は、エンデが9年の歳月をかけて執筆した力作として知られ、発表当時から世界的なベストセラーとなりました。少女モモを主人公に、「時間」をテーマにしたファンタジー性あふれるストーリー展開が特徴的です。

ストーリー全体の簡単なあらすじ

物語の舞台は、イタリアのとある小さな町。主人公の少女モモは、古い円形劇場の廃墟で暮らす孤児です。町の人々に愛され、自由気ままな日々を送っていました。

しかしある時、灰色の服を着た不気味な男たちが町に現れ、人々から「時間」を奪い始めます。大人たちは次第に余裕を失い、仕事に追われる毎日を送るようになってしまいました。

モモは仲間たちと力を合わせ、時間泥棒に立ち向かうことを決意。時間を司る亀のカシオペイアに助けられながら、奪われた時間を取り戻すための冒険の旅に出発します。

『モモ』の魅力的な登場人物たち

主人公モモ(Momo)の紹介

本作の主人公、モモは小さな女の子。くせっ毛の黒髪と、大きな目が印象的な容姿をしています。

持ち物は、絵の具で色を塗った男性物の上着に身を包み、廃墟で見つけた時計の中に住んでいます。町の人々からもらった食べ物で生活しており、お金は持っていませんが、自由に生きる不思議な少女です。

モモには特別な力があります。それは、人の話を胸に響くまで聞く力。人々は彼女と話すことで、自分の考えが整理でき、悩みも解決へと向かいます。町の人々にとって、モモの存在は欠かせないものでした。

その他の主要キャラクターを紹介

  • ベッポ:道路清掃夫で、モモの良き理解者。ゆっくりと物事を考えることを好む、物静かな性格。
  • ジジ:町で活躍するガイドで、饒舌で陽気な青年。空想の物語を即興で語るのが得意。
  • マイスター・ホラ:時間を司る人物で、カシオペイアと共に、モモたちを助ける。
  • カシオペイア:時間を司る賢い亀。モモに時間の重要性を教え、戦いを導く。

『モモ』各章のあらすじネタバレ解説!

第1章「第1章「腕白者の勝利」

物語は、町でベッポとモモが出会うシーンから始まります。ベッポはモモの話を聞く力に感銘を受け、彼女に古い円形劇場の存在を教えます。そこでモモは、町の人々と交流しながら暮らし始めるのでした。
モモの噂を聞きつけた子供たちが、彼女のもとへとやってきます。最初は物珍しさから集まった子供たちでしたが、モモと遊ぶうちに、だんだんと彼女の魅力に引き込まれていきました。
一方、大人たちはモモのことを「怠け者」「ごろつき」と呼んで蔑んでいました。しかし、モモと話をすることで、彼らも少しずつ変わっていくのでした。

第2章「不思議な客たちの訪問」

灰色の男たちが町にやってきたのは、そんな頃のことでした。彼らは「時間貯蓄銀行」の行員を名乗り、人々に時間の無駄遣いを止めるよう勧誘します。
最初は誰も信用していませんでしたが、次第に町の人々は灰色の男たちの甘言に乗せられ、効率的な時間の使い方を求めるようになっていきました。大人たちは余暇を削って働き、子供たちは遊ぶ時間もなくなっていきます。
町の変化に、モモは違和感を覚えます。彼女は灰色の男たちの正体を暴こうと、仲間と共に調査を開始するのでした。

第3章「ある一日のでき事」

街から笑顔が消えた中、モモは町を覆う異変に立ち向かうべく奮闘します。彼女は道端で、一人の老人ベーポと知り合います。ベーポはモモに、時間を大切にすることの意味を諭しました。
一方、モモの親友ジジは、町の児童劇場で人気者になることを夢見ていました。しかしある日、灰色の男にそそのかされ、友人を裏切ってしまいます。
裏切りに傷つきながらも、モモは灰色の男たちの本拠地へ乗り込みます。そこで明かされる衝撃の事実。灰色の男たちの正体は、人々から盗んだ「時間」を食べ物にする怪物だったのです。

第4章「時の支配者」

モモは灰色の男たちの本拠地で、彼らのボス「時の支配者」と対面します。その姿は、灰色の男たちよりもさらに大きく、冷たい目をした恐ろしい存在でした。

時の支配者は、人間から時間を奪うことで生きながらえていると告白します。そして、効率と合理性を追求する現代社会こそが、自分たちを生み出したのだと主張するのです。

モモは必死に抵抗しますが、圧倒的な力の前に為す術もありません。絶体絶命のピンチに、時計職人のマイスター・ホラが現れ、二人は時の支配者との闘いに挑みます。

マイスター・ホラの導きにより、モモは「時間」の神秘に触れ、大切なものは目には見えないことを悟ります。そして、人々の心に秘められた「時間」こそが、最強の力であると気づくのです。

モモの説得によって目覚めた人々は、奪われた時間を取り戻すため、灰色の男たちに立ち向かいます。争いの中、時の支配者も徐々に弱っていきました。

最後に、マイスター・ホラの時計職人としての技術と、人々の思いが結集した時計「ホラリウム」の力によって、時の支配者は時空の狭間に吸い込まれていったのです。

こうしてモモの活躍により、町から灰色の男たちの脅威は去りました。人々は失われた「時間」と、かけがえのない日常を取り戻したのです。

モモもまた、自由と希望に満ちた日々を送れるようになりました。彼女はこの経験を通して、人生において本当に大切なものは何なのかを学んだのでした。

『モモ』の解釈と評価 – なぜ名作と言われるのか?

『モモ』のテーマと現代への警鐘

『モモ』が世界中の読者を魅了するのは、「時間とは何か」という普遍的なテーマを、誰もが共感できる形で描いているからでしょう。
物語の中で、大人たちは効率を追求するあまり、本当に大切なものを見失っていきます。これは現代社会の縮図とも言えます。私たちは日々、仕事に追われる中で、ゆっくり考えたり、人と向き合ったりする時間を失っているのかもしれません。
作中、登場人物の一人は「時間は命だ」と語ります。エンデはこの言葉を通して、一瞬一瞬を大切にすることの意味を問いかけているのです。

世界各国での評価と影響力

『モモ』は発表されるとたちまち話題となり、1970年代には世界35カ国以上で翻訳されるベストセラーとなりました。
児童文学作品としては異例の大ヒットを記録し、1974年にはドイツ児童文学賞を受賞。現在も、世界中で読み継がれる不朽の名作として高く評価されています。
日本でもベストセラーとなり、文庫版の発行部数は120万部を突破。2005年に実施された読者投票「第9回 産経児童出版文化賞 JR賞」では堂々の1位に輝きました。
また、『モモ』に触発された読者によって、「もものこ」と呼ばれる朗読会が各地で開催されるなど、社会現象にもなりました。エンデの思想は、日本人の心にも深く根付いていると言えるでしょう。

『モモ』の関連情報 – 映画化や著者について

『モモ』の映画化作品を紹介

1986年には、『モモ』を原作としたドイツとイタリアの合作映画が公開されました。興行的にも成功を収め、原作のテーマを映像でも見事に表現したと評価されました。
原作者のエンデ自身も、本人役で映画に出演。エンデと作品世界の関わりの深さを物語るエピソードとして知られています。

著者ミヒャエル・エンデのプロフィール


ミヒャエル・エンデは、1929年11月12日にドイツ・バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヘンで生まれました。彫刻家の父エドガー・エンデと、裕福な家庭に育ちました。

第二次世界大戦中は、少年兵として召集されますが、召集令状を無視し続け、戦争に加わることはありませんでした。戦後、エンデは演劇を学び、俳優や劇作家として活動を始めます。

作家としてのキャリアは、1960年代から本格化。1960年に処女作『ジム・ボタンの機関車大旅行』を発表し、注目を集めました。以降も独創的な作風で、数々の作品を生み出していきます。

エンデの代表作には、『モモ』の他に『はてしない物語』(1979年)があります。『はてしない物語』は、「本の中の本」という斬新な設定で話題を呼び、世界中でベストセラーとなりました。

作家活動と並行して、エンデは社会問題にも積極的に声を上げました。反核運動や環境保護活動に尽力し、人間性や倫理観を重視する姿勢は、彼の作品にも色濃く反映されています。

私生活では、1964年に女優のイングボルク・ホフマンと結婚。しかし1985年に離婚し、その後は再婚することなく、ローマやミュンヘンを拠点に生活をしていました。

晩年のエンデは、長年の喫煙が原因で重い病に冒されていました。1995年8月28日、ヘリコプターで搬送される途中、心不全のため65歳で死去。現代ファンタジー文学の第一人者として、多くの読者に惜しまれました。

「本当の財産は目に見えない」という言葉を残し、エンデはこの世を去りました。彼の作品に込められた思想は、今も世界中の人々の心に生き続けています。