【ネタバレあり】ドラマ「白い巨塔」のあらすじを全話解説!原作との違いも 

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「白い巨塔」ドラマと原作小説の基本情報

ドラマ「白い巨塔」の概要

2003年10月から12月にかけて、フジテレビ系で放送されたドラマ「白い巨塔」は、山崎豊子の同名小説を原作とした医療ドラマです。平均視聴率20.3%を記録し、大きな話題を呼びました。

ドラマ「白い巨塔」は、東都大学医学部第一外科教室を舞台に、2人の天才外科医、財前五郎(唐沢寿明)と里見脩二(江口洋介)の確執と、病院内の権力闘争を描いた作品です。豪華キャストが集結し、脚本は「高校教師」などで知られる井上由美子が手がけました。

原作小説「白い巨塔」について

原作小説「白い巨塔」は、1963年に新潮社から刊行された山崎豊子の長編小説です。大学病院を舞台に、外科医たちの欲望が渦巻く姿を赤裸々に描いた社会派小説で、権力闘争や医療ミスなど、医療界の閉鎖性や腐敗を鋭くえぐった内容が話題を呼び、ベストセラーとなりました。

ドラマと原作の主な相違点

ドラマ「白い巨塔」は、原作小説の持つメッセージを踏襲しつつも、現代の医療問題を織り込んだオリジナルの展開を見せています。ドラマでは、原作には登場しないオリジナルキャラクターの看護師・比企(大塚寧々)が登場し、財前と里見の確執に一石を投じる存在として物語に深みを与えています。

また、ドラマと原作では、里見の妻・景子の役割や性格設定、財前が関与した医療ミスの内容や顛末など、細部で相違点が見られます。特に結末部分では、ドラマオリジナルの展開が用意されており、原作とは異なる視点から「白い巨塔」の世界を描き出しています。

1966年に初めてテレビドラマ化されて以来、幾度となく映像化されてきた「白い巨塔」ですが、2003年版ドラマは、現代の医療問題を背景に、原作の持つ普遍的なテーマを見事に昇華させた作品として高く評価されています。ドラマと原作、それぞれの魅力を味わいつつ、「白い巨塔」が投げかける問題について考えてみるのも一興かもしれません。

「白い巨塔」登場人物の紹介

財前五郎(唐沢寿明)

財前五郎は、浪速大学第一外科教授であり、日本を代表する外科医です。その類まれな手術の腕前とスピードは、同僚からも一目置かれています。しかし、その一方で傲慢で独善的な性格は、周囲との軋轢を生むこともしばしば。病院内での権力を握ることに執着し、教授の椅子を狙う野心家でもあります。

財前にとって、同期の里見脩二は最大のライバル。互いに一流の外科医として認め合いながらも、思想の違いから対立することが多々あります。財前は自身の野望のために、時に非情な判断を下すことも厭いません。

里見脩二(江口洋介)

里見脩二は、救命救急センター長を務める天才外科医です。財前と肩を並べる腕前の持ち主ですが、患者第一主義を貫き、医療倫理を何よりも重んじる熱血漢として知られています。

財前の非人道的な姿勢には強く反発し、たびたび対立します。理想主義者ゆえの悩みも多く、妻の景子との関係の悪化や、婦長の比企真知子との不倫関係など、私生活では苦悩を抱えています。

その他のキーパーソン

看護師長の比企真知子(大塚寧々)は、里見の不倫相手であり、彼の良き理解者でもあります。一方、里見の妻・景子(鈴木京香)は、夫の不倫に苦しみながらも、献身的に支え続ける妻の象徴的存在です。

若手外科医の高橋晶(伊藤英明)は、財前派に属していますが、次第に里見の姿勢に惹かれていきます。東都大学第一外科助教授の蛯原和雄(伊武雅刀)は、財前の右腕的存在ですが、彼なりの葛藤も抱えている様子。

他にも個性的なキャラクターが多数登場し、ドラマに奥行きを与えています。彼らが織りなす人間模様は、「白い巨塔」の大きな魅力の一つと言えるでしょう。

「白い巨塔」第一部・各話あらすじ

第1話


浪速大学病院で大阪府知事・鶴川の食道がん手術が行われていた。執刀医の財前五郎助教授は遅れて現れ、手術を速やかに進行させ、大動脈まで浸潤したがんも手際よく取り除いた。その間、他の医師たちは緊張して見守る中、財前の技術に注目が集まった。一方で、里見助教授は患者の症状に疑問を抱き、再診断を試みるが、鵜飼医学部長は取り合わない。財前は教授職への野望を隠さず、教授会や愛人の影響も受けながら、医局内の確執や家庭内の問題も浮き彫りになる。彼は自分の能力と外科への情熱に自信を持っていたが、教授選の動向や医学部内の権力争いにも巻き込まれていく

第2話

浪速大学医学部の外科助教授、財前五郎は、貧しい出身の柳原の論文を見て厳しく評価し、自分とは違うと断言する。同時に、膵臓がんの患者、小西みどりの病状に気づき、手術を申し出るが、政治的な理由で一度は断る。しかし、東教授が不在のタイミングで、手術を強行し、見事に成功させる。一方、東教授は後任の人選を巡り、東都大の船尾教授に相談し、財前ではなく東都大の人材を推す計画を進める。財前はさらなる手術の成功を自身のキャリアアップに繋げようと画策し、周囲の反対を押し切るが、その行動は周囲に波紋を広げる。財前は自己の野望と医学部内の権力争いに巻き込まれながら、専門の範囲を広げるためにリスクを取る選択を続ける

第3話

浪速大学の鵜飼医学部長は、財前五郎から送られた油絵を微妙に受け取り、その真意を明かさなかった。財前はこの対応に動揺し、舅の又一に報告する。又一はこれを褒め、地区医師会長の岩田を紹介する。岩田は財前の教授選への支持を約束する。一方、鵜飼はその絵を家から外すよう命じるが、妻典江は動じない。別の場所では、東教授が財前の膵臓がん手術を問題視し、鵜飼に財前を査問するよう申し入れる。里見はこの手術を擁護しようとするが、東は緊急性がないと解釈し、財前を査問会に呼び出す。ショックを受けた財前は里見をクラブで問い詰めるが、里見は教授会で真実を話すと言って立ち去る。その後、財前は家で不安にかられるが、妻の杏子は積極的に対応を試みる。一方、岩田と又一は鵜飼を講演会に招き、影響力を行使しようとする。

第4話

浪速大学に訪れた製薬会社営業の加奈子は財前や里見に新抗がん剤を売り込むも、財前は大物社長五十嵐の特別診療へと急ぐ。五十嵐は財前の手術を希望しており、不愉快ながらも東は財前を呼ぶ。その後、加奈子は突然倒れ、末期がんが発覚する。里見は加奈子の治療に熱心だが、財前は手術不可能と断言し、外科は治る見込みのある患者を優先すると主張。東は教授選に関して政子に迫られつつ、後任を選ぶ政治的動きに頭を悩ます。五十嵐の手術中、予期せぬ出血が発生し、緊迫した状況となる。

第5話

財前五郎は特診患者・五十嵐の手術後、東教授の部屋で後継候補とされる心臓外科の菊川を見つけ、教授選に対する緊張を感じる。東家での夕食会で、菊川は教授職を固辞するが、政子の結婚話で気まずい雰囲気に。里見は末期がん患者・林田加奈子の延命治療に尽力し、大河内教授と協議するが、財前は外科的治療を優先する立場を取る。五十嵐は財前に感謝し、研究費として1億円の寄付を提案するが、財前はこれを医学部創立120周年の基金に充てることを提案し、教授選に利用する動きを見せる。教授会で鵜飼の影響力を背景に教授選の選考委員を調整する一方で、里見は加奈子の看取りを約束する。

第6話

浪速大学医学部で第一外科教授の選考委員選びが行われ、学究派の病理学の大河内教授が委員長に就任した。財前は、東が推す菊川に対抗するため、医局長の佃を扇動し、自身の地位を守ろうと策を練る。同時に、東は財前にニューヨークへの転出を勧めるが、財前は拒否。教授会では権力争いが続き、里見は末期がん患者・林田加奈子の治療を続けることに困難を抱えながらも、彼女の意志を尊重して看取りを約束する。一方、教授選に向けた駆け引きが激化する中、加奈子は病院を退院し、里見は医師としての自問自答を続ける。

第7話

財前五郎は、教授選考委員会の結果が全国公募になるという予期せぬ展開を知り動揺する。一方、東教授は家で菊川と最終意思統一を行い、政子は菊川を佐枝子の結婚相手として取り入れようとしていた。その夜、財前は東の手術助手としての機会を求め、承諾される。東の手術では財前が助手として参加し、見事な技術を披露する。同じ頃、里見は加奈子が亡くなったとの連絡を受け、鵜飼に末期患者の受け入れ方針の見直しを訴えるが、聞き入れられない。医学部では教授選考が続き、財前と杏子は各自の問題に対処しようと苦悩していた。

第8話

財前五郎は大河内教授に教授選考の支持を求めるが、見透かされたように感じ取る。里見は大河内から市民講座の講師を依頼されるが、その日が息子の誕生日で複雑な心境に。一方、財前と教授選の関係者たちは最後の票読みに苦慮し、杏子は財前とケイ子の距離を制限しようとする。財前はアラジンで医局員たちとの結束を図る。同時に、東は退官後の計画を進め、里見は公開講座で講演。教授選は最終段階に至り、東が意味深な発言をする場面で緊張が高まる

第9話

東教授の突然の棄権により教授会は混乱し、財前は佃からこの事態を聞かされる。投票結果は混沌とし、財前、菊川、葛西の票は分散し決選投票へと持ち越される。その後、財前と佃は菊川に辞退を迫るが、反発に遭う。一方、東と野坂は整形外科医学会の理事職を交渉のテーブルに持ち出し、野坂はこれを拒む。佃と安西の行動により、船尾は東の交渉力を疑い、自ら介入する。最終的に財前は東に呼び出され、棄権の責任を問われながらも、平然と対応する。

第10話

財前五郎の教授選での強硬な行動に鵜飼も不快感を隠せず、夜の会合で財前に対して直接問い詰めた。財前は鵜飼に土下座し支援を求めるが、翌日の教授選投票では大河内教授が不正を訴え、会場は緊張に包まれた。投票中、財前は授業を行い、里見は診察を続ける一方で、ケイ子と菊川はそれぞれの時間を過ごしていた。庸平の手術に関して、財前は26日に行うと決め、その日が東の退官日と重なる。手術同意書にサインしない庸平に対し、財前は断固として手術の必要性を説くも、庸平は消極的であり、柳原は財前にさらなる検査を提案するが、財前はそれを拒否し手術を強行することに決める

「白い巨塔」第二部・各話あらすじ

第11話


新年が明け、財前五郎は第一外科の教授として、自身の体制を確立し、国際外科医学会の準備に忙しくしていた。一方で、手術を受けた佐々木庸平は回復を喜んでいたが、里見は庸平の咳に疑問を持ち始めていた。不満を感じた財前は里見の助言を拒否し、手術を強行する方針を固めた。その後、財前はポーランドでの学会で成功を収め、名誉会員への推薦を受けるが、庸平の状態は悪化し、里見からの連絡も無視し続けた。最終的にケイ子から別れを告げられる中、財前はアウシュビッツで人類の暗部に直面し、深く反省する瞬間を迎えた。

第12話

財前五郎がポーランドから帰国すると、手術を受けた庸平の息子庸一に「あなたに殺された」と非難される。空港で里見は、庸平の死因が手術成功後の肺がん転移によるものだと説明するが、財前はそれを無視し病院へ向かう。その夜、財前の帰国を祝う会が開かれるが、鵜飼は懸念を示す。翌日、庸平の葬儀で、里見はよし江から病院の関係者の立ち入りを拒否される。よし江は財前を訴えると決意し、庸一も訴訟を進める意志を固める。関口弁護士の事務所でバイトをしている佐枝子は、事務所が閉められる理由を聞く。その後、よし江と庸一が関口のもとを訪れるが、彼らは裁判所からの証拠保全連絡を受け取り、医局は混乱に陥る。

第13話

よし江の訴訟依頼により、弁護士の関口が浪速大病院に乗り込むが、財前は佃と柳原に落ち着いて対応するよう指示し、証拠収集は困難を極める。よし江は着手金200万円を持参し、関口は難しい訴訟の継続を検討中であることを伝える。鵜飼は、病院の信用問題を懸念し、問題解決を財前に期待する。一方で、よし江は庸平の死を財前のせいとし、訴訟を進める決意を固める。関口は裁判で勝てないことを悟りながらも、借金返済のため訴訟を引き受け、佐枝子はその矛盾に苦しむ。最終的に関口は佐枝子と共に佐々木家に着手金を返還しに行くが、里見の証言提供の申し出により、裁判の可能性が再び生まれる

第14話

財前五郎が佐々木庸平の死亡に関する医療過誤裁判に直面し、病院内外での緊張が高まる。一方、佐々木家では家業の困難が続き、関口弁護士は裁判の難しさを認識しながらもよし江を励ます。里見を訪ねた国平弁護士は証人出廷撤回を求めるが、里見は拒否。佐枝子は裁判関与を父・東に明かし、理解を求める。裁判初日、大河内と佃の証言から佐々木側が有利に進む中、庸平の母・きぬが現場に現れ、家族への謝罪を訴える。裁判には財前の支持者も動員され、よし江と柳原の証言が予定されている中、財前は柳原に「記憶の整理」を圧力をかける。

第15話

裁判での財前派とよし江の対立が激化し、国平弁護士はよし江を厳しく追及し、財前は里見の不利な証言を恐れる。一方、里見は緊急入院の美香を診察し、手術が必要だが財前は裁判に集中しているため代わりに金井に手術を任せると言う。里見は裁判と手術の間で葛藤し、三知代は里見に家族を優先するよう訴える。裁判の行方は未定で、財前と里見の対立が裁判所で決着を迎える準備が進んでいる。

第16話

裁判で里見は財前にがん転移の可能性を伝えたと証言し、国平弁護士の厳しい尋問にも「医師は患者のために競い合うべき」と堂々と答えた。裁判は鑑定医の報告を受けて結審することに。一方、財前は敗北を拒否しケイ子に強く言い放つが、ケイ子は医師の責任の重さを感じながらも、里見なら敗北も受け入れるべきだと応じる。家に戻った里見は、家族が出て行ったことを知り孤独を感じる。鑑定医報告では財前に有利な意見が示され、判決日を迎える

第17話

よし江と庸一の執念で、財前は控訴されたが、国平は新証拠や新証言がない限り裁判は維持できないと断言。関口と佐枝子は重い気持ちになる。里見は大学を辞め、大河内から千成病院での仕事を提案され、受け入れる。財前はケイ子と将来のがんセンターを夢見ながら歩き、里見にはがんセンター内科部長のポジションを提案するが、里見は拒否。一年後、里見は千成病院で、関口は証言者を探すために東の家を訪れる。財前は患者の手術中に庸平を思い出し、手が震えてしまう

第18話

財前が手術中に患者の顔に庸平の面影を見てしまい、手元が狂う事故が発生。東は関口に東都大の正木教授を紹介し、関口は正木から鑑定を受けることに。しかし、財前の圧力により正木が鑑定を断り、関口は失意の中、看護婦の君子に望みを託す。同時に、財前は東宅を訪れ、直接関口と対峙し、脅迫めいた言葉を残す。

第19話

東は医師生命を賭けて法廷に立ち、確執は認めるも恨みからではなく医療の未来のために証言したと述べた。佐枝子は法廷外へ出ようとするが、里見に引き留められる。船尾の証言は財前に過失がなかったと断言し、関口は圧倒される。その後、裁判の祝勝会が開かれ、国平は次回の予定を読み上げる。よし江と庸一は失望しつつも、関口は新たな戦い方を見出す希望を抱く。財前はがんセンターの計画を進める中、部下に忠誠を求めるが、里見には拒否される。

第20話

柳原の法廷での突然の叫び後、証人尋問が却下され、関口は落胆する。一方、関口と君子は財前のカンファレンス記録が重要証拠になることを思い出すが、財前は記録の処分を指示。記録を取りに行った柳原は佃と安西に阻止され、国平が処分を実行する。裁判では、君子の証言が切り捨てられるも、関口は「術前説明」記録を提出し、裁判長がこれを採用。財前の治療に関する質問に対し、堂々とした財前の答えと里見の発言により、国平は言葉を失う。裁判の判決後、財前は昏倒する

第21話


東は財前の手術を行うが、開胸した瞬間、胸膜全体にがんが広がっていることが明らかになり、手術の意味がないと判断し閉胸する。又一は財前とその家族に病状を知らせないよう懇願し、東はそれに疑念を抱くが、又一の要望に従って財前には病状を隠すことになる。手術後、意識が戻った財前は手術時間を尋ねるが、金井は嘘をつく。数週間後、財前は自身の重篤な状態を自覚し始め、医局で自分のカルテを探すが、真実は隠されていた。財前は里見の診察を求め、自分の病状が進行していることを認識する。

「白い巨塔」から考える医療問題

医療ミス・事故

ドラマ「白い巨塔」では、財前が関与した医療ミスが物語の重要な軸となっています。残念ながら、現実の医療現場でも、ミスや事故は後を絶ちません。その原因として、医療従事者の過重労働、安全管理体制の不備、倫理観の欠如などが指摘されています。

患者の生命を預かる医療従事者には、高い倫理観と責任感が求められます。ドラマの中で里見が体現したような、患者第一主義の姿勢が何よりも大切なのです。一方で、医療事故を防ぐためには、個人の努力だけでなく、システム全体の改善も不可欠です。

医局の派閥抗争

財前と里見の対立に象徴されるように、ドラマでは医局内の権力闘争が赤裸々に描かれました。現実の医局でも、派閥争いは珍しくありません。医局の序列が絶対視され、縦社会的な関係性が蔓延しているのです。

こうした状況下では、医療の質の向上よりも、派閥の利益が優先されるケースすらあります。医師たちが患者のために力を尽くすことができる環境を整えるには、医局文化の抜本的な改革が必要不可欠でしょう。

理想と現実のギャップ

ドラマの中で、里見は患者第一主義を貫く理想の医師像を体現していました。一方、財前は野心家であり、理想よりも現実的な利益を優先する姿勢を見せました。この2人の対比は、医師たちが直面する「理想と現実のギャップ」を象徴しているとも言えるでしょう。

多くの医師たちは、理想の医療を実現したいと願っています。しかし、効率性や採算性を重視する病院経営、医師不足や過酷な労働環境など、理想に立ちはだかる現実の壁は厚いのです。こうした状況の中で、医師たちは日々ジレンマを抱えながら、懸命に職務に励んでいます。

ドラマ「白い巨塔」が投げかけた問題は、今なお我々に多くの示唆を与えてくれます。医療の質を高め、患者中心の医療を実現するには、医療従事者一人一人の努力はもちろん、社会全体で医療のあり方を見直していく必要があるのです。このドラマを通して、私たち視聴者も医療問題について考えを深めていく必要があるでしょう。

「白い巨塔」の魅力と現代的意義

リアリティある医療ドラマ

「白い巨塔」の大きな魅力の一つは、医療現場の描写が非常にリアルなことです。手術シーンの臨場感は圧巻で、まるで自分が手術室にいるかのような錯覚すら覚えます。医師たちの会話や心理描写も説得力があり、現場の雰囲気が手に取るように伝わってきます。

このリアリティの高さは、脚本家や制作陣の入念なリサーチの賜物でしょう。「白い巨塔」は、医療ドラマの新しい金字塔として高く評価されています。

キャラクターの魅力と成長

「白い巨塔」に登場するキャラクターたちは、どこか憎めない魅力を持っています。野心家の財前、理想主義者の里見、仕事と恋に悩む比企など、それぞれが個性的で印象的です。

彼らが物語を通じて成長していく姿も、このドラマの大きな魅力と言えるでしょう。特に、里見の心境の変化や、比企の女性としての葛藤などは、視聴者の共感を呼ぶはずです。登場人物たちの多面性と人間味が、ドラマに奥行きを与えています。

現代にも通じる問題提起

「白い巨塔」が放送されたのは2003年。しかし、このドラマが提起した問題は、20年以上経った今もなお、現代社会に通じる普遍的なテーマだと言えます。

医療ミス、派閥争い、理想と現実のギャップ。権力や地位、お金といった誘惑に揺れ動く人間の姿。理想を貫くことの難しさ、組織の中で生きることの苦悩。こうした要素は、今も昔も変わらない人間社会の課題です。

だからこそ、「白い巨塔」は単なる医療ドラマにとどまらない、社会派ドラマとしての意義を持っているのです。このドラマを通して、私たち視聴者は医療問題や組織の問題について考えを深めることができます。

「白い巨塔」が投げかける問いは、今なお色褪せていません。むしろ、現代だからこそ、このドラマから学ぶべきことは多いのかもしれません。リアリティとエンターテインメント性を兼ね備えた傑作ドラマ。それが「白い巨塔」の魅力であり、現代的意義なのです。

まとめ:「白い巨塔」が問いかけるもの

「白い巨塔」は、2003年に放送されて以来、多くの視聴者を魅了してきたドラマです。その人気の理由は、リアリティあふれる医療現場の描写と、魅力的なキャラクターたちの人間ドラマにあるでしょう。

しかし、「白い巨塔」の真の価値は、単なるエンターテインメントを超えたところにあります。このドラマは、医療ミス、派閥争い、理想と現実のギャップなど、現代社会に通じる様々な問題を鋭く指摘しているのです。

財前と里見、二人の天才外科医の対立は、医師という職業に内在する光と影を象徴しています。理想を追い求める心と、名誉や権力への欲望。この相反する感情は、多くの医師たちの心の中に、程度の差こそあれ、存在しているものではないでしょうか。

また、「白い巨塔」が描く医局の派閥抗争は、医療界だけでなく、あらゆる組織に潜む問題点を浮き彫りにしています。組織の論理が個人の良心を上回ってしまう危険性。私たちは、このドラマから、組織と個人の関係性について、改めて考えさせられるのです。

「白い巨塔」は、医療ドラマでありながら、私たち視聴者に多くの問いを投げかけます。理想と現実をどう折り合いをつけるか。組織の中で、いかに自分の信念を貫くか。そして、人としてどう生きるべきか。

このドラマに答えはありません。しかし、「白い巨塔」は、私たち一人一人に、これらの問いについて真剣に考えることを促しているのです。古くて新しい問題を、エンターテインメントという形で問いかけ続ける。それが、「白い巨塔」の最大の魅力であり、現代的意義なのかもしれません。