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『ダ・ヴィンチ・コード』とは? 作品の概要を簡単に紹介
ベストセラー小説からメガヒット映画へ – 作品の誕生秘話
『ダ・ヴィンチ・コード』は、2003年にダン・ブラウンによって発表されたミステリー小説です。2005年には、早くも全世界で4000万部を超える大ベストセラーとなりました。この圧倒的な人気を受けて、2006年には映画化。世界的スターのトム・ハンクスを主演に迎え、ロン・ハワード監督によってスクリーンに華麗に蘇りました。
原作小説では、物語の随所に実在する美術作品や建造物、歴史的事実などが織り交ぜられており、それらをめぐる著者の想像力豊かな解釈が魅力となっています。一方、映画版では映像美と音楽、名優たちの熱演が相まって、スリリングかつ壮大なサスペンス作品に仕上がりました。公開から15年以上経った今でも色褪せない興奮と感動を味わえる作品です。
『ダ・ヴィンチ・コード』のジャンルと基本情報
本作は、ミステリー、スリラー、サスペンスなどに分類される娯楽作品です。重厚な歴史考証やアカデミックな宗教議論もありますが、あくまでもフィクションであり、娯楽性を主眼に置いたエンタメ小説・映画と言えるでしょう。
小説版の基本情報は以下の通りです。
- 原題:The Da Vinci Code
- 著者:ダン・ブラウン
- 出版年:2003年
- ページ数:454ページ(ハードカバー初版)
また、映画版の基本情報はこちらです。
- 原題:The Da Vinci Code
- 監督:ロン・ハワード
- 主演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン
- 公開日:2006年5月19日(日本)
- 上映時間:149分
- 興行収入:7億5,800万ドル
映画版の製作背景 – 巨額の製作費と話題性
史上最大級のベストセラーとなった原作小説の映画化は、全世界から熱い注目を集めました。製作に当たっては、1億2,500万ドル(約140億円)という巨額の予算が投じられ、物語の舞台となるパリやロンドンでの大規模ロケが敢行されました。
加えて、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画を映画用に精巧に再現したり、ルーブル美術館内部を壮大なスケールでセット化したりと、あらゆる面で圧倒的なクオリティにこだわった超大作となりました。ダ・ヴィンチ作品や聖杯伝説など、物語に登場する歴史的要素も大きな話題を呼び、公開前から全世界のメディアが大々的に取り上げました。
ダ・ヴィンチの絵画に隠された”暗号” – 物語の鍵を握る重要な要素
「最後の晩餐」に隠された驚くべき秘密
物語の重大な転換点となるのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」に隠された暗号の発見です。ルーブル美術館を訪れたラングドンとソフィーは、館長ソニエールの遺体のそばに残された、最後の晩餐の複製画に異変を感じ取ります。
よく見ると、イエス・キリストの右隣に座る人物は、使徒ヨハネではなくマリア(マグダラのマリア)ではないか?画面の構図はまるでVの字を描いており、聖杯(グラール)を象徴しているのでは?ラングドンとソフィーは、ダ・ヴィンチが最後の晩餐に秘密のメッセージを込めたことに気づきます。
実は、最後の晩餐に関するこの解釈は、本作が発表される以前から一部の芸術史家や陰謀論者の間で提唱されていました。つまり、イエスの右隣の人物は愛弟子ヨハネではなく、イエスの妻であるマグダラのマリアであり、さらに二人の間に見える「V」の形は聖杯、すなわちマリアの子宮を象徴している、というのです。
ラングドンとソフィーは、ダ・ヴィンチがこうした驚くべき事実を知っていたがゆえに、最後の晩餐に暗号を仕込んだと推理します。つまり、キリスト教の聖杯伝説とは、実はマリアとイエスの血脈が現代に続いているという秘密を伝えるための「隠された福音書」だったのです。
「モナ・リザ」に秘められた謎
ダ・ヴィンチの傑作「モナ・リザ」(ルーブルに所蔵)も、物語のカギを握る重要なファクターとして登場します。ラングドンは、ダ・ヴィンチが「モナ・リザ」に隠した暗号を解読しようと試みます。
まず、「モナ・リザ」という題名そのものが、「Mon」(私の)と「Lisa」を逆から読んだ「Amon L’Isa」(古代エジプトの神アモンとイシス)を意味するとラングドンは推理します。つまり、男性原理と女性原理の結合を象徴しているのです。
また、絵の背景が男女の性器を思わせる形に見えたり、モナ・リザの髪の毛が水銀の記号「☿」を連想させたり、微笑みが男女両性具有を想起させるなど、さまざまな意味深な要素が見て取れるのです。
加えて、ラングドンはダ・ヴィンチの日記に「モナ・リザはマグダラのマリアの肖像だ」という記述を発見します。レオナルド自身が、聖杯の秘密を記した大作に仕上げたのでは?浮かび上がる衝撃の仮説に、ラングドンとソフィーは驚愕します。
『ダ・ヴィンチ・コード』の主要登場人物を紹介
ロバート・ラングドン – 宗教象徴学者
ハーバード大学教授にして著名な宗教象徴学者。ダ・ヴィンチの作品に秘められた暗号の解読を試みるうちに、教会の陰謀に巻き込まれていく。知的でチャーミングな性格。映画版ではトム・ハンクスが好演。日本語吹き替え版の声優は大塚芳忠。
ソフィー・ヌヴー – 暗号解読官
フランス司法警察の暗号解読官。ルーブル美術館の館長ジャック・ソニエールは彼女の祖父であり、その死の真相を追ってラングドンとタッグを組む。聡明で勇敢な女性。映画版ではオドレイ・トトゥが演じ、日本語吹き替え版ではともさかりえが声を担当。
リー・ティービング – 宗教史学者
王立陵墓歴史学者。グラール騎士団のメンバーとして、聖杯の謎を追い続ける。映画版ではイアン・マッケランが好演。日本語吹き替え版では久米明が声を担当。
シラス – 凶悪な修道士
オプス・デイ(光明結社)に所属する狂信的な修道士。聖杯の謎を巡って暗躍する。容赦なく人を傷つける冷酷さと狂気を併せ持つ。映画版ではポール・ベタニーが演じ、日本語吹き替え版では内田直哉が声を担当。
『ダ・ヴィンチ・コード』の基本的なストーリー展開
ルーブル美術館館長殺害事件 – 物語の発端
物語は、パリのルーブル美術館での殺人事件から始まります。深夜、館長のジャック・ソニエールが何者かに襲われ、重傷を負います。彼は息絶える間際、自らの血で暗号を記して倒れていました。
その頃、ハーバード大学の宗教象徴学教授ロバート・ラングドンは、パリでの講演を終えたところでした。ところが、真夜中、彼はパリ司法警察から緊急の呼び出しを受けます。ルーブルで殺人事件が起き、被害者が最期にラングドンの名を告げたというのです。
ルーブルに駆けつけたラングドンを迎えたのは、若き女性警官ソフィー・ヌヴーでした。彼女の説明によれば、ラングドンは容疑者として疑われているとのこと。犯行現場の遺体の隣には、奇妙な暗号とともに、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模した図形が残されていたのです。
暗号と謎の連続 – ラングドンとソフィーの逃亡と解読の旅
警察に疑われたラングドンは、ソフィーの助けを借りて警察の追跡をかわします。そして二人は、ソニエールが残した暗号の解読に乗り出すのです。するとそこから、レオナルド・ダ・ヴィンチの芸術作品に隠された驚くべき秘密が明らかになっていきます。
ラングドンとソフィーは、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」に秘められたメッセージから、イギリスへと向かいます。そこで二人が出会ったのは、エクセントリックな王室系歴史学者リー・ティービングでした。彼もまた、聖杯の謎を追い求める一人だったのです。
ティービングから、聖杯とは単なる黄金の杯などではなく、マグダラのマリアその人を指す象徴だという衝撃の説を聞かされます。マリアはイエス・キリストの妻であり、その子孫が現代まで続いているのだと。つまり、聖杯の探求とは、イエスの血脈の発見にほかならないのです。
聖杯をめぐる陰謀 – シオン修道会の秘密
一方、ヴァチカンの保守派からは、聖杯の秘密を抹殺せんとする勢力が暗躍していました。彼らは、マリアとイエスの真実が明らかになれば、カトリック教会の権威が失墜すると恐れたのです。
その陰謀の中心にいたのが、シオン修道会でした。修道会は、聖杯の発見と、イエスの血脈の擁護を目的とする秘密結社でしたが、内部で保守派と革新派の対立が起きていたのです。
ラングドンとソフィーは、オプス・デイの修道士シラスに命を狙われながらも、聖杯探求の旅を続けます。果たして二人は、マリアとイエスの真実にたどりつくことができるのでしょうか。
『ダ・ヴィンチ・コード』の魅力と見どころ
世界中を巻き込んだ歴史ミステリー
『ダ・ヴィンチ・コード』の最大の魅力は、聖杯伝説やキリスト教史など、馴染み深い歴史ネタを軸に、壮大なミステリーを紡ぎ出している点です。レオナルド・ダ・ヴィンチの芸術作品に隠された「暗号」というフックも実に秀逸です。
単なる空想の物語ではなく、歴史的事実や美術作品を織り交ぜながら、極めてリアリティのあるストーリーを構築している点が見事。史実との絶妙なバランスが、世界中の読者を虜にしたと言えるでしょう。
宗教と芸術をめぐる壮大なスケール感
物語は、キリスト教やカトリック教会の歴史から、シンボリズム芸術、ゴシック建築、はたまたフィボナッチ数列やユダヤ教のカバラ思想にまで及びます。宗教、芸術、数学、建築、歴史など、あらゆる分野の叡智が縦横無尽に語られるスケール感は圧巻です。
「知の饗宴」とも言うべきダン・ブラウンの博識ぶりは、読者を虜にするに十分。ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。それでいて、物語の核心に迫る謎解きは飄々とシンプル。まさに、知と感性が融合した稀有なエンターテインメント作品と言えます。
読み応え抜群のスリリングな展開
『ダ・ヴィンチ・コード』は、中世の騎士物語のようなロマンと正義感、学者らしい知的な推理、スパイ小説を思わせるスリリングなアクションなど、様々な要素を絶妙にブレンドしています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの天才的な暗号からロスリン礼拝堂の地下墓地まで、パズルのピースがはまっていくように謎が解き明かされる快感は痛快の一言。伏線と復線を巧みに張り巡らせた、絶妙な複線プロットも秀逸です。
全編を通して、目が離せないスリリングな展開が続きます。特に、ルーブル美術館やウェストミンスター寺院など、由緒ある歴史的建造物を舞台にしたシークエンスは圧巻。ミステリーの定番でありながら、これほどスケール感と緊迫感に溢れた作品は稀有でしょう。
原作小説と映画版、それぞれの魅力
『ダ・ヴィンチ・コード』は、小説と映画、それぞれに独自の魅力があります。原作小説は、主人公ラングドンの内面描写や、芸術作品・建築物などの細かな描写が秀逸。読者の想像力を最大限に喚起させる文章力は、ダン・ブラウンの真骨頂と言えるでしょう。
一方、映画版は名優トム・ハンクスの渋い演技と、オドレイ・トトゥの凛とした美貌が光ります。物語の舞台となるパリやロンドンの美しい景観や、ルーブル美術館の荘厳な雰囲気など、映像ならではの魅力が存分に発揮されています。
また、エンターテイメント色を強めたキャスティングや、スピーディな編集など、原作とは一味違った魅力も。原作ファンも、映画ファンも、それぞれに楽しめる仕上がりになっています。小説と映画、二つの『ダ・ヴィンチ・コード』を味わい尽くすのも一興でしょう。